| 福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話 >こわいみやげ
 
 4月17日の日本の昔話
 
 
  
 こわいみやげ
 得人驚个禮物
 
 福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
 
 にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
 むかしむかし、つる平(へい)さんという人が、お嫁さんの実家へ出かけました。頭擺頭擺,有一個人安到鶴平,摎餔娘共下轉外家。
 お嫁さんの実家の人は、みんな大喜びです。
 餔娘个外家大家都非常歡喜。
 「よく来てくれたのう」
 「歡迎你!」
 「婿どのには、おいしい物をごちそうするからな」
 「細郎來愛煮豐沛兜來請佢。」
 お母さんは台所に行くと、何かを作り始めました。
 丈人哀去灶下,開始煮東西。
 すると台所へ、子どもたちが行きました。
 過一下仔細人仔來灶下看,
 お母さんは子どもたちを追い出そうと、子どもたちに言いました。
 丈人哀像想愛摎細人仔逐出灶下,就對該兜細人仔講:
 「これこれ、近寄るんじゃないよ。今作っているのは、恐ろしい物だからね」
 「噯!你兜毋好行過來哦!因為這下煮个係當得人驚个東西。」
 「きゃーっ、恐ろしい物だって!」
 「阿姆哀!得人驚个東西哦!」
 「逃げろ!逃げろ!」
 「遽走!走哦!」
 子どもたちは、あわてて逃げて行きました。
 細人仔驚到瀉屎馬走去了。
 さて、これを聞いていたつる平さんも、なんだか恐ろしくなりました。
 鶴平聽著又乜驚著會死。
 (恐ろしい物とは、何だろう?)
 《得人驚个東西到底係麼个?》  しばらくして、お母さんは作った物をつる平さんの前に運んできました。
 過一下仔,丈人哀就摎煮好个東西兜到佢面前。
 「さあ、おいしい物が出来ましたよ」
 「好食个東西煮好了!」
 けれど、つる平さんは食べようとせず、真っ青な顔でブルブルと震えていました。
 毋過,鶴平先生並無想食,顛倒面仔青里里、完身打激顫。
 「どうしました? たんと作ったから、どんどん食べてくださいよ」
 「仰仔呢?煮盡多,做你盡量食!」
 そう言われても、恐ろしくて手が出せません。
 雖然聽佢恁樣講,還係驚著手都毋敢伸出去。
 出された物をチラリと見ると、まっ黒な気味の悪い物がたくさん並んでいます。
 偷偷仔晟一下,兜出來个東西,烏疏疏鼻著味道盡毋好,排等當多。
 「あの、その、・・・わしは、腹が、いっぱいで」
 「ng11 ... 𠊎,肚屎飽飽。」
 「ああ、そうね。そんならお重に詰めてあげるから、おみやげに持って行きなされ」
 「啊,係恁樣哦,無斯拿盒仔張等,帶轉去做等路。」
 お母さんはそう言って、怖い物を詰めたふろしき包みをつる平さんの首にゆわえてくれました。
 丈人哀講了後,就用大手巾仔包該得人驚个東西,
 怖いふろしき包みを首にゆわえたつる平さんは、生きた心地がしません。
 得人驚个包袱綯在頸根个鶴平先生,心情當毋好。
 「もし、怖い物が食いついて来たら、どうしよう?
 「若係分得人驚个東西咬著仰結煞?
 でも、せっかくのもらい物を、捨てるわけにもいかんし。
 毋過,恁難得个東西做毋得㧒忒。
 ・・・あっ、良い物が落ちているぞ」
 ...啊!有一隻好東西跌忒哦!」  つる平さんは道に落ちていた長い木の棒を拾うと、ふろしき包みを棒の先の方にゆわえつけて、さわらない様にして歩いて行きました。
 鶴平先生拈起路項該長長个樹棍仔後,摎包袱䌈在棍仔尾,詐無事樣行等轉。
 「よし、これなら大丈夫」
 「恁樣安全了。」
 安心して歩いて行くと、石につまずいて転びそうになりました。
 非常安心緊行个時節,踢著石頭種隻觔斗。
 「あっ!」
 「啊!」
 そのひょうしに棒の先の包みが滑って、つる平さんの首にペタンとすいついてきました。
 該下棍仔尾个包袱溜過來,堵堵好黏著鶴先生个頸根。
 「ひゃあっ、助けてくれえー!」
 「阿姆哀,救命喔!」
 つる平さんはふろしき包みを投げ出して、家にかけ出しました。
 鶴平先生將包袱㧒忒,走轉屋下去。
 家に逃げ込んだつる平さんは、大急ぎでお嫁さんに怖いおみやげの話をしました。
 瀉到屋下个鶴平先生,緊觸觸仔摎得人驚个包袱个事情講分餔娘聽。
 それを聞いたお嫁さんは、つる平さんに言いました。
 其餔娘聽著就摎佢講:
 「まあまあ、それはきっと、おはぎですよ」
 「唉哦!該絕對係豆𩜄糯米飯糰。」
 「おはぎ?」
 「豆𩜄糯米飯糰?」
 「知りませんか?それなら一緒に拾いに行きましょう」
 「毋知係無?共下來去拈轉來。」
 お嫁さんはそう言うと、つる平さんと一緒に、ふろしき包みを拾いに出かけました。
 厥餔娘講忒以後,鶴平先生就共下去拈包袱。
 ふろしき包みは、すぐに見つかりました。
 一下仔就尋著包袱, 
 お嫁さんが包みを開くと、中からおはぎが出て来ました。
 厥餔娘打開包袱,看著係豆𩜄糯米飯糰,
 「ほら、やっぱりおはぎですよ」
 「你看!係豆𩜄糯米飯糰。」
 お嫁さんに言われて、つる平さんがそれを見てみると、おはぎのあんこのところがくずれて、中の白いごはんが見えていました。
 分厥餔娘講了後,鶴平先生就看一下該東西,糯米飯糰紅豆𩜄个位所裂忒,看著裡肚白白个糯米飯。  「あっ、やっぱり怖い物だ!白い牙をむいてる!」
 「阿姆哀,還得人驚个東西哦!走出白白个牙齒!」
 つる平さんはまっ青な顔をして、飛ぶ様に逃げてしまいました。
 鶴平先生面仔青里里,像飛樣瀉等走。    おしまい煞咧
  
 
 |