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6月3日の日本の昔話
米のご飯を腹一杯
米飯食到飽𩜰𩜰
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六个人,非常樂線。
吉四六さんは、いばっている人が大嫌いで、そんな人は得意のとんちでやっつけたりしますが、貧しい人や困っている人にはとても親切な人でした。
吉四六先生當惱該兜沙鼻摝天、耀武揚威个人,還會利用厥智慧去教訓佢兜,但係對窮苦人非常親切。
ある時、吉四六さんは近所の貧しい家の子どもを預かりました。
有一擺、窮苦鄰舍摎細人仔搭吉四六先生。
「なあ、坊主、お前の一番の望みは何だい?」
「噯,細猴仔,你最想愛麼个東西?」
吉四六さんが尋ねると、子どもが言いました。
吉四六先生問時節,細人仔應講:
「ああ、おら、一度でいいから、米のご飯を食べてみてえ」
「啊,𠊎,一擺就好,食一擺米飯試看阿仔。」
それを聞くと吉四六さんは、何とかしてお米のごはんを食べさせてやりたいと思いました。
聽著該話,吉四六先生想,無論仰般乜愛拿米飯分佢食。
でも、その頃のお百姓さんは貧乏で、食べ物はアワかムギのおかゆで、お米のご飯は、お祭りや祝い事などの特別な時しか食べる事が出来ませんでした。
毋過,該量時个農民當苦,食个係小米抑係小麥煮个糜,白米飯愛等節日摎慶典,特殊日仔正有好食。
「弱ったなあ。お祭りは、まだまだ来ねえし」
「還慘哪,節日還吂到。」
そこで次の朝、吉四六さんはわざと外へ行くとすぐ戻って来て、おかみさんに言いました。
所以,第二日朝晨,吉四六先生挑挑行到外背去,黏時又倒轉來,摎厥餔娘講:
「実は、今日は村のみんなで、壊れた道を直す事になった。だから早く弁当を作ってくれ」
「實際上,今晡日村里个逐儕人都定著愛去修路,所以請遽兜做飯包分𠊎。」
村の仕事で出かけるとなると、弁当を作らないわけにもいきません。
去為村莊做事个時節,無理由毋做個飯包。
それにみんなと一緒に食べるのですから、アワやムギでは恥ずかしいので、おかみさんはとっておきのお米を炊いて弁当箱に詰め、干し魚もたくさん入れてあげました。
還因為共下食飯,所以係食小米抑小麥飯會當見笑,所以厥餔娘拿出珍藏个米煮好飯張在飯篼肚,放了當多魚脯。
「ありがとよ」
「承蒙你。」
吉四六さんは弁当を持って、あわてて家を飛び出して行きました。
吉四六先生拿等飯包,舂出屋下。
ところがしばらくすると、がっかりした顔で帰ってきたのです。
過一下仔,當失望樣倒轉來。
「まったく、しょうのない話だ。せっかく弁当を持って行ったのに、急に仕事が取り止めになった。もう少し早く教えてくれれば 弁当なんか作らずにすんだものを」
「這還奇怪哦,𠊎特別帶等飯包去,若係早兜講,就毋使準備飯包了。」
吉四六さんは、わざと怒ったふりをしました。
吉四六先生詐意發閼樣。
それから急に、やさしい顔になって言いました。
忽然間,佢又變到慈眉善目,講:
「しかし、せっかくの弁当を捨てるわけにもいかん。どうだろう、この弁当をあの子に食わせてやっては? きっと喜ぶぞ」
「但係,特別準備个飯包做毋得㧒忒,分該細人仔食仰般?定著當歡喜。」
するとおかみさんは、ようやく吉四六さんのやろうとしていた事が分かって、
後來厥餔娘總算知厥老公愛做麼个。
「ええ。そうしてあげましょう」
と、にっこり微笑みました。
笑咪咪講:「好,分佢做得。」
「あはは。まったく、お前はいい嫁さんだ」
「啊哈哈,你實在係一個好餔娘。」
そこで吉四六さんは、さっそく子どもを起こしてくると、
吉四六先生遽遽喊醒細人仔,講:
「ほら、米のご飯だ。これは全部、お前が食ってもいいんだぞ」
「噯,白米飯哦,你做得總下食落去。」
と、言って、腹一杯米のご飯の弁当を食べさせてあげました。
做得食到飽𩜰𩜰个白米飯包拿分細人仔食。
「おいしい!おいしい!」
「好食!好食!」
夢中で弁当を食べている子どもを見ながら、吉四六さんとおかみさんは顔を見合わせて、
看著像枵鬼樣專心食飯包个細人仔,吉四六先生摎厥餔娘你看𠊎𠊎看你,
「よかった、よかった」と、言いました。
講:「還好,還好。」
おしまい
煞咧
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