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6月7日の日本の昔話
浮称堂(じょうしょうどう)のきず薬
淨稱堂个傷藥
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、浄称堂というお寺に、とても心正しい和尚さんが住んでいました。
頭擺頭擺,一個心當正个和尚,戴在一間安到淨稱堂个寺廟。
和尚さんは悪い事をした人がどんなに偉い人でも、心の底から反省するまで許しません。
和尚師父對做壞事个人,無論佢係幾偉大,愛直直到從心肝肚悔改正會原諒佢兜。
でも、本当に悪かったと心の底から反省すると、その人の力になろうと手を差しのべてくれるのでした。
正經從心肝肚反省後,正會伸手摎人幫忙。
ある夜の事です。
有一暗晡,
和尚さんが便所に行くと、どこからか手が出てきて、おしりの穴にさわりました。
和尚師父去便所時節,毋知哪位伸出个手,摸厥屎朏空。
おどろいた和尚さんは、おしりの穴をとられては大変と、ふところから小刀を出してその手を切り落としました。
著驚个和尚,屎朏分人摸著驚到會死,就在袋肚拿出刀仔摎該隻手剁下來。
すると外の方から、
過後,聽著外背
「あーん、あーん」と、泣き声します。
「a~n,a~n」滾叫。
便所を出てみると、外で泣いていたのはカッパでした。
行出便所去看,係一隻河童在外背叫。
「和尚さん、おらの手を返してくれよー」
「和尚師父,拜託摎吾手還𠊎。」
「いかん!人のおしりから、大事な物を取ろうとした罰じゃ。何と言っても、お前の手は返さぬからな。さっさと、出て行け!」
「做毋得!處罰你想在人屎朏該拿走東西。無論仰般講若手都毋會還你。遽遽出去!」
和尚さんにどなられたカッパは、泣きながらどこかへ行ってしまいました。
分和尚師父咄个河童,叫等走,毋知走去哪位。
次の日の夜、和尚さんが寝ていると、
第二日暗晡,和尚師父睡目个時節,
♪とんとん、とんとん
と、戸をたたく者がいます。
♪ dondon,dondon,
有人碰門。
(誰じゃ?こんな夜中に)
(恁暗會係麼儕?)
和尚さんが戸を開けてみると、立っていたのは昨日のカッパでした。
和尚師父打開門來看,企等个係昨晡日該隻河童。
カッパは、しょんぼりした顔で和尚さんに言いました。
河童無氣無脈摎和尚講:
「和尚さま、おらの手を返してください。
「和尚師父,拜託摎該隻手還𠊎。」
昨日は、おらが悪かったです。
昨晡夜係𠊎毋著。
もう二度と、あんな事はしません」
該種事情毋會再過做了。」
「うむ、・・・・・・」
「m11、‧‧‧」
和尚さんはしばらくの間、腕組みをして考えるまねをしました。
和尚師父兩隻手攙等像形在該想。
本当の事を言うと、和尚さんもカッパの手を切ってしまったのは、かわいそうだったと思っていたのです。
講實在,和尚師父想著摎河童个手割忒有較衰過。
でもすぐに手を返したら、カッパはまたいたずらをするかもしれません。
若係黏時摎手還佢,河童可能會再過搣耍人乜無一定。
和尚さんはしばらくしてから、カッパにこう言いました。
一站時間後,和尚師父摎河童講:
「今日は、だめじゃ。
「今晡日做毋得。
お前には、まだ反省がたりん。
你還係反省毋罅。
だが、本当に二度といたずらをしないと決心できたなら、もう一度来い。
若係你正經決心下二擺毋會再過搣耍人,正再過來一擺。
その決心が本物なら、その時は手を返してやろう」
斷真有這種決心,到時𠊎會摎手還你。
「・・・はい、また来ます」
「...好,𠊎會再過來。」
カッパは頭を下げて、月明かりの中を帰って行きました。
犁下頭,在華華个月光下背行轉屋下去。
次の日の夜、またカッパがやって来ました。
第二暗餔,河童又來囉。
「和尚さま、おらは心の底から、二度といたずらをしないと決心しました。
「和尚師父,𠊎正經決心毋會再過搣耍人。
その証拠に、カッパの宝を和尚さまに差し上げます。
摎河童个寶藏拿分和尚師父做保證。
カッパの宝は薬で、この薬を塗ればどんな傷もぴたりとふさがって、すぐに治ってしまいます」
河童个寶係藥仔,無論麼个傷,使用這種藥仔膏傷口黏時癒合。」
カッパはそう言うと、貝がらに入れた薬を差し出しました。
河童講煞就拿出該用螺殼張等个藥仔。
「うむ、その薬が本物なら、お前の言葉を信じてやろう」
「好,若係正經有效,𠊎會相信你个話。」
和尚さんはカッパに手を返してやると、言いました。
和尚師父摎厥手交還河童。
「その薬が本物なら、この手をぴたりとつけてみろ」
「若係這藥仔係正品,試接這手來看。」
「はい」
「好。」
カッパはこくんとうなずいて、切られた手の切り口に薬を塗りました。
河童點頭,然後在手剁下來个割口膏藥仔。
そして切られた手を自分の体につなげると、本当にみるみるうちに傷口がふさがって、つなぎ合わせたあともきれいに消えてしまいました。
割斷个手摎自家身體接轉去後,一下仔傷口黏時癒合,生轉去了。
そしてカッパは、つないだ手を曲げたり伸ばしたりしてみせました。
過後河童試摎接轉去个手拗轉來、伸直來看會仰般無。
「これはすごい。だがその薬、カッパだけに効くのではあるまいな」
「這好哦,毋過這藥仔會對河童正有效無?」
「はい、カッパほどではありませんが、人間にも効き目があります」
「毋止對河童有效,人用乜當有效。」
そう言ってカッパは、和尚さんに薬の作り方を教えました。
河童講煞,斯教和尚仰般製作這種藥仔。
和尚さんはにっこり微笑むと、カッパに頭を下げました。
和尚師父笑咪咪,摎河童行禮。
「ありがとう。この薬のおかげで、多くの人が助かるだろう。
「承蒙你,好得有這種藥仔,正會救較多兜人。
お前は多くの人を助けたカッパとして、これから先、何百年も語りつがれるだろう」
你係救當多人个河童,你會留名萬世。」
「えへへ」
「ehehe」
カッパは恥ずかしそうに笑って、和尚さんにぺこりと頭を下げると浄称堂を出て行きました。
河童畏羞个笑,摎和尚師父行禮後,行出淨稱堂。
それから和尚さんはこの薬に金創(きんそう)と名前をつけて、切り傷に苦しむ人たちに分けてあげました。
過後,和尚師父摎這種藥仔安名安到金創,送分割傷个人。
この薬は人間にもよく効いて、浄称堂のきず薬はとても有名になりました。
這種藥仔對人類當有效,淨稱堂个傷藥變非常有名。
おしまい
煞咧
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