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6月17日の日本の昔話
ちょうふく山のやまんば
調福山个山中女妖
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ちょうふく山という山のふもとに、小さな村がありました。
頭擺頭擺,調福山半山排有一隻細村莊。
このちょうふく山には、恐ろしいやまんばが住んでいると言われています。
聽講這座調福山有個得人驚个山中女妖戴在該位。
ある年の十五夜の晩、村人たちがお月見をしていると、にわかに空がかきくもり、ちょうふく山から恐ろしい声がひびきわたりました。
某年十五暗晡,村民在該欣賞月光个時節,天頂忽然間天烏地暗,對山頂傳來當得人驚个聲。
「ちょうふく山のやまんばが、子どもを産んだで、もち持って来い!来ないと、人もウマも食い殺すぞ!」
「調福山山中女妖降嬰兒仔了,愛拿粢粑粄來送庚!若無,人摎馬都愛摎佢㓾來食忒!」
村人たちは、びっくりです。
村民嗄著驚。
そこでみんなで米を出し合って、大あわてで祝いのもちをつきました。
所以,大家共下拿出米緊拚拚舂粢粑,準備去送庚祝賀。
こうしてもちは出来たのですが、ところがみんなやまんばを怖がって、ちょうふく山にもちを届けようとはしません。
雖然粢粑粄做好了,毋過,逐儕驚女妖驚到會死,無人敢送去山頂去。
「お前が行けよ」
「你去好啦。」
「とんでもない、おれには女房と子どもがいるんだ」
「無這道理,𠊎有餔娘細子。」
「おれもいやだぞ」
「𠊎乜毋愛去。」
「じゃあ、誰がよい?」
「該,麼人去較好哪?」
「そうだ、いつも力じまんをいばっておる、かも安(やす)と権六(げんろく)に行かせたらどうだ?」
「係哪,逐擺逞自家力當大个鴨安(kamoyasu)摎權六(kenroku)仰般?」
そこで二人が呼び出されたのですが、二人は、
所以喊佢兩儕去,兩儕應講:
「持って行ってもいいが、おれたちは道を知らねえぞ。知らねえところへは、持って行けねえぞ」
と、断りました。
「送過去做得,毋過𠊎兩儕毋知路。毋知哪位愛仰般送?」
拒絕。
すると村一番の年寄りの大ばんばが、進み出て言いました。
村肚最老个老人家行到面前講:
「わしが知っとる。子どもの頃、ちょうふく山でやまんばを見たことがあるでな。わしが、道案内をしよう」
「𠊎知,細人仔个時節,識在調福山山頂看過山中女妖,𠊎會摎你帶路。」
こうなっては、かも安と権六も断れません。
在這種情況下,鴨安(kamoyasu)摎權六(kenroku)無法度過拒絕。
二人は仕方なくもちをかかえると、大ばんばの後をついてちょうふく山ヘと登っていきました。
兩儕無法度、高不將拿等粢粑粄跟等老人家行去調福山。
ちょうふく山の山道を進む三人に、なまあたたかい風が吹いて来ました。
一陣溫暖个風吹向去調福山山路項該三儕。
「お、大ばんば、大丈夫か?」
「哦,老人家你好無?」
「大丈夫、大丈夫」
「好,好。」
「大ばんば。まだ行くんか?」
「老人家,還愛去無?」
「ああ、もうちっと先だ。はやく行くぞ」
「啊,斯在頭前。行較遽兜哦。」
その時、さっと強い風が吹き付けて、不気味な声がひびきました。
該量時,堵堵一陣強風吹過來,一種奇怪个聲音傳過來。
「もちは、まだだかーーー!」
「粢粑粄還吂送過來!」
それを聞いたかも安と権六はびっくりです。
聽著个鴨安(kamoyasu)摎權六(genroku)嗄嚇著。
「ひえっ、出たあー!」
「hie24,送來!」
「た、助けてくれえー!」
「救,救命哦!」
二人はもちを放り出すと、たちまち逃げてしまいました。
兩儕摎粢粑粄㧒忒,走到尾瀉屎。
「ああっ、これ、待たんか。・・・やれやれ、わし一人では、もちを運べんだろ」
「啊,做毋得等一下嘎?...算了、算了,𠊎自家一儕人送。」
仕方がありません。
無法度。
大ばんばはもちを置いて、やまんばの家を訪ねていきました。
老人家摎粢粑粄放下來,去山中女妖屋下。
やまんばは大ばんばを見ると、うれしそうに笑いました。
山中女妖看著老人家時節,歡喜个笑。
「おう、ごくろうじゃな。実は昨日赤子を産んで、もちが食いとうなったんだ。そこで赤子にもちをもらってくる様に使いに出したんじゃ。して、もちはどこじゃな?」
「哦,辛苦你哪,實際上,𠊎昨晡日降一個嬰兒仔,想食粢粑粄,因為恁樣,嬰兒仔𠊎喊人去尋。粢粑粄在哪位?」
大ばんばは、びっくりです。
老人家著驚。
あの恐ろしい声を出したのが、生まれたばかりの赤ん坊だったのです。
該得人驚个聲哨係堵出世生个嬰兒仔喊个,
「はい、はい。持って来たども、あんまり重いので、山の途中に置いてきましただ」
「有,有。帶來了,但係,因為粢粑粄當重,所以放在半路。」
これを聞くと、やまんばは赤ん坊に言いつけました。
聽到這個消息後,山中女妖摎嬰兒仔講:
「これ、まる。お前、ちょっと行ってもちを取ってこい」
「噯,丸仔你去拿轉來!」
すると、まると呼ばれた赤ん坊は、風のように飛びだしていき、一人で重いもちをかついで帰ってきました。
過後,該個安到丸仔个嬰兒仔,像風樣飛等出去,一儕人㧡等當重个粢粑粄轉來。
さすがは、やまんばの子です。
就係山中女妖个細人仔。
「それじゃあ、わしはこれで」
「無恁樣,告辭。」
恐ろしくなった大ばんばが帰ろうとすると、やまんばが引き止めました。
驚到會死个老人家想愛轉時節,山中女妖摎佢擋下來。
「せっかく来たんだ。ついでに家の手伝いをしてくれ」
「專工來了,順續摎𠊎屋下𢯭手。」
「・・・はあ」
「...ha24。」
大ばんばは嫌とも言えず、それから二十一日間、やまんばの家で掃除をしたり洗濯をしたりして働きました。
老人家毋敢講毋愛,續下來二十日,在山中女妖屋下掃屋、洗衫褲。
するとやまんばが、
過後山中女妖講:
「長い事、引き止めてすまんかった。それじゃ、土産にこれをやるべ」
「盡失禮,留在這做事恁久時間。𠊎應該送兜禮物分你。」
と、やまんばは見事なにしきの布を大ばんばにくれたのです。
山中女妖摎當靚个錦緞布仔分老人家。
「ほれ、まる。大ばんばを、村まで送ってやれ」
「噯,丸仔。你送老人家轉去村莊。」
言われたまるは大ばんばを軽々とかつぎあげ、あっという間に村に運んで行きました。
分人交代著个丸仔,輕輕鬆鬆擎等老人家,一下仔送到村莊。
さて、大ばんばが村に帰ってみると、みんなは大ばんばが死んだと思って葬式の最中でした。
老人家轉到村莊時節,逐個人都認為老人家死忒了,當當正該辦葬事。
「大ばんば、生きていたのか!?」
「老人家你還在哦?!」
「当たり前だ。そう簡単に死んでたまるか。それより、やまんばから土産をもらったぞ」
「當然。哪有恁該死?𠊎還得著當多山中女妖送个禮物。」
大ばんばはやまんばのにしきを、村人たちにも分けてやりました。
老人家摎山中女妖送个錦緞布仔送分該兜村民。
ところがそのにしき、切っても切っても次の朝には元の長さに戻るという、不思議なにしきでした。
毋過,該錦緞布仔,無論你仰般剪,第二日朝晨還係本本恁長,還奇怪个錦緞布仔。
それからと言うもの、そのにしきはこの村の名物となり、みんなはにしきを売って幸せに暮らしたという事です。
從該量時起,錦緞布仔變成該隻村莊个名產,逐儕人都賣緞織布仔,非常快樂幸福過日仔。
おしまい
煞咧
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