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6月24日の日本の昔話
じょうるり半七
淨琉璃半七
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある村に、半七(はんしち)という、じょうるり(→物語を語ること)好きの若者がいました。
頭擺頭擺,某一隻村莊,有一個後生人安到半七(Hanshichi),當好表演淨琉璃(淨琉璃joururi→用三弦琴伴奏、講古。)。
自分ではそこそこ上手なつもりですが、誰も半七のじょうるりをほめてくれません。
自家認為當慶了,毋過無人欣賞佢。
そんなある日のこと。
有一日,
半七のところへ山奥から、一人のお百姓(ひゃくしょう)がたずねてきました。
一個農民對深山肚來到半七該位拜訪。
「半七さま。わしには、よく働く娘が一人おります。その娘が今度、婿(むこ)をとることになりました」
「半七先生,𠊎有一個當煞猛个妹仔。這妹仔這下愛招親。」
「はあ、それはおめでたいことで」
「ha,該係一件好事。」
「その祝いに、ぜひとも半七さまにじょうるりを語っていただきたいのでございます」
「𠊎想在慶祝活動時節愛請半七先生表演淨琉璃。」
「へっ?わたしの?・・・はいはい!喜んで引き受けましょう」
「he24?𠊎係無?...好,好!當歡喜接受。」
あくる朝、半七は教えられた山へと出かけました。
第二朝晨,半七行去交帶个該座山。
「確かに、この道で間違いないはずだが」
「確實,這條路無毋著。」
長い間歩きましたが、いくら歩いても頼まれた百姓の家が見つかりません。
行了盡久,但係無論仰般行,都尋毋著來拜託佢个農民屋下。
「もしかして、道を間違えたかな?」
「敢會行毋著路?」
辺りがだんだん暗くなってきて、半七が心細くなった頃、ようやく向こうの山に明かりが見えました。
天時越來越暗,半七驚著會死,總算看著對面山頂有火。
「ああ、あそこにちがいない」
「啊,定著在該片無毋著。」
明かりを目指していくと立派な百姓家があって、にぎやかな人の声が聞こえてきます。
跈等火行過去,有一座派頭个農家,聽得著當鬧熱个聲。
半七が屋敷をのぞくと、昨日のお百姓が羽織(はおり)はかまで現れて、
半七睞一下大座屋時節,昨晡日該個農夫著等禮服出現。
「これはこれは半七さま。さあさあ、どうぞこちらへ」
「唉哦,半七先生你來了。請,落來。」
と、半七を屋敷の奥に案内しました。
並渡半七去大座屋裡背。
屋敷の広い座敷(ざしき)には、百姓の女房や娘夫婦、そして近所の人たちが集まっており、すでににぎやかな酒盛りが始まっていました。
在大座屋个人客間裡肚,農民个餔娘,妹仔摎細郎還過鄰舍聚集共下,鬧熱煎煎个酒筵早就開始了。
お百姓は半七を座敷の上座(かみざ→目上の者が座る席)に案内すると、おいしい料理やお酒をどんどんすすめました。
農民摎半七安排到人客間个(上座kamiza)大位(上座→長輩坐个位仔),拿當多好食个食物摎酒。
これほどていねいなもてなしを受けたのは初めてで、半七はすっかりうれしくなりました。
第一擺受到這恁樣个款待,半七非法歡喜。
そして自慢のじょうるりを、いつもより心を込めて語りました。
佢開始表演沙鼻个淨琉璃,比平常時還較用心。
みんなは半七のじょうるりがあまりにも見事なので、すっかり聞きほれています。
逐儕感覺半七个淨琉璃表演非常好,聽到當入文。
そして一段が語り終わると、
一段故講煞後,
「どうぞ、もう一段」
「請,再過講一段。」
そこで、また一段を語り終わるとまた、
再過講一段講忒後,
「ぜひ、もう一段」
「定著愛講加一段。」
と、何度も何度ものぞまれました。
一遍又一遍要求,
何度も何度も語るうちに、半七は自分でもビックリするほどうまく語る事が出来るようになっていました。
一遍又一遍講,半七自家乜嚇著,講古能力仰變恁好。
ようやく語り終わった半七は、夜もふけていたのでこの家に泊まる事になりました。
半七淨琉璃表演結束後,因為係半夜了,所以留下來過夜。
半七は、今まで寝たこともないようなフカフカの上等のふとんで、ゆっくり眠りました。
半七睡在佢從生人毋識睡過恁鬆軟个被肚,慢慢睡忒了。
「ああ、芸というものは、ありがたいものじゃ。こんなに良い目にあえるとは」
「啊,表演藝術係當寶貴个東西,恁好看。
次の朝、半七は目を覚ましてビックリです。
第二日朝晨,半七醒个時節,著下驚。
「これはまた、どうした事じゃ?」
「這,又仰會恁樣?」
半七はフカフカの上等のふとんではなく、わらの上に寝ていたのです。
半七毋係睡在鬆軟个被肚,係睡在禾稈堆頂背。
あたりを見回すと、そこは立派な百姓家ではなく、ボロボロのひどいあばら家でした。
四圍看看,這毋係派頭个農家,係一間邋邋涉涉(lab2 lab2 shab2 shab2)个爛屋仔。
「もしや、これも?」
「無定,這乜係?」
半七がお礼にもらった祝儀袋(しゅうぎぶくろ)を開けてみると、中からヒラヒラと一枚の木の葉が落ちてきました。
半七打開為著答謝佢个禮金袋,斯一皮樹葉仔跌下來。
里に戻った半七は、この不思議な出来事を村一番の物知りじいさんに話しました。
轉到村莊,摎這件事情講分村内萬事通个老阿伯聽。
すると、物知りじいさんは、
老阿伯講:
「半七や。わしが若い頃もタヌキが人間に化けて、山奥から芝居をしてくれと頼みに来たことがあったわ。
「半七,在𠊎後生个時節,識有狸仔變做人,對深山肚來請做戲。
お前も、タヌキの婚礼(こんれい→結婚式)に係無」
你乜分佢要求參加狸仔个婚禮。」
「なるほど、そうかもしれん。
「有影,係恁樣乜無一定。
それにしても、ようまあ、あんなに身を入れて聞いてくれたもんじゃ。
總講,仰會恁用心聽,
ありがたいことじゃ。ありがたいことじゃ」
承蒙你、承蒙你。」
半七はだまされながらも、あの晩の事をとてもうれしく思い、それから芸にもいっそうはげむようになりました。
就算分人欺騙,但係半七乜該暗晡感覺非常歡喜,過後對藝術創作還較煞猛。
この事があってから、半七のじょうるりは大変な人気をよんで、『竹本狸太夫(たけもとたぬきだゆう)』と呼ばれるようになりました。
經過這件事,半七个淨琉璃變當受歡迎,分人喊做『竹本狸太夫』。
そして遠くの町からも、じょうるりを語ってくれと呼ばれるようになったそうです。
所以,聽講當多遠位城市來請去表演。
おしまい
煞咧
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