福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 7月の日本昔話 > 娘の寿命
7月26日の日本の昔話
娘の寿命
妹仔个壽年
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、年をとってから、やっと女の子にめぐまれた老夫婦がいました。
頭擺頭擺,有一對老了正得著妹仔个老阿公、老阿婆。
ある夏の事、年頃になった娘が留守番をしていると、汚い身なりの旅のお坊さんがやってきて家の前で物乞いをしました。
某隻熱天,適合婚配个妹仔留在屋下掌屋時節,一個著到律律不不个遊學和尚行過來化緣。
「旅の僧です。空腹で、困っております。何か食べ物を」
「𠊎係一個遊學和尚,肚屎枵了,無結煞,有麼个做得食个無?」
「あっ、はい。ではこれを」
「啊,好,這分你。」
娘が食べ物を渡すと、お坊さんは娘の顔を見ながら言いました。
妹仔拿食物分佢个時節,和尚師父緊捉佢看,講:
「美しい娘さんじゃな。いくつになられた?」
「還靚个一個細妹仔哪,幾多歲了?」
「はい。十八です」
「十八歲了。」
「十八か。・・・お気の毒に」
「十八係無...還可惜。」
お坊さんは、なぜか悲しそうに言うと、そのまま立ち去っていきました。
和尚師父仰會恁悲傷講後,做佢離開呢。
この様子を、畑仕事から帰ってきた父親が見ていました。
該種情形分做園事轉个爺仔看著。
気になった父親はお坊さんを追いかけると、お坊さんに理由を聞きました。
當愁勞个爺仔去追和尚師父,問佢原因。
するとお坊さんは、
和尚師父斯講:
「娘さんはまだ若いのに、もうすぐ急な病で亡くなります。それがお気の毒で」
と、いうのでした。
「若妹仔還後生,毋過,無幾久就會得著急症死忒,正會講當可惜。」
「娘が病で!どっ、どうしてわかるのです! もしそれが娘のさだめなら、どうすれば逃れる事が出来るかお教えください!」
「妹仔得著急症!你仰會知!假使該係吾妹仔个劫數,請你摎𠊎講愛仰般形正避得開!」
父親がとりすがるように言うと、お坊さんはこう言いました。
爺仔求求乞乞後,和尚師父講:
「白酒と杯を三つ、目隠しした娘さんに持たせて、日の出とともに東の山に向かって歩くように言うのです。
「摎三隻杯仔摎白色雞尾酒(桃花節用),交分蒙等目珠个妹仔拿等,喊佢日頭出來時節向東片个山直直行過去,
どこまでも歩いてもう進めなくなったら、目隠しをとりなさい。
行到做毋得行了,蒙目珠个布子就打開來。
すると岩の上に三人のお坊さんが座っているから、何もいわずにどんどんお酒を飲ませなさい。
有三個和尚師父坐在岩石頂背,麼个斯毋使講,定定仔請佢兜啉酒。
お酒がなくなったら、三人のお坊さんに命ごいをしなさい。
酒若係啉忒了,請摎三個和尚師父祈求長壽。
うまくいけば、娘さんは長生き出来るでしょう」
若係順利,若妹仔壽年會較長兜。」
「ありがとうございました。さっそく、その通りにいたします」
「承蒙。煞煞來去辦。」
次の日、父親は教えられた通り娘にお酒を持たせて、目隠しをしました。
第二日,爺仔照和尚師父教个方法,喊妹仔拿等酒,蒙等目珠。
そして日の出とともに、家から東の山に向かって歩かせました。
日頭出來个時節,在屋下向東片个山直直行過去。
娘がどんどん歩いていくと、やがて行き止まりになりました。
妹仔順順行,無幾久就行到盡步了。
娘が目隠しを取ると、そこは岩穴の中でした。
打開蒙目珠个布仔時節,該為係一隻岩窿肚。
目の前の一段高い岩の上に、赤い衣を着た三人のお坊さんが座っています。
面頭前較高个岩石頂,有三個著紅色袈裟个和尚師父坐在該位。
娘はお坊さんたちにどんどんお酒をすすめ、お酒がなくなるとお坊さんたちに言いました。
妹仔慢慢仔勸和尚師父啉酒,等酒啉忒後,斯摎該兜和尚師父講:
「わたしは、お願いがあってまいりました。
「𠊎有一項事情拜託,
旅のお坊さまの話によると、わたしはもうすぐ急な病で死ぬそうです。
照遊學和尚師父講,過無幾久𠊎就會得著急症死忒,
どうか、お助けくださいませ」
請你兜出手相救好無?」
娘が深く頭をさげて命ごいをすると、三人のお坊さんは赤くなった顔を見合わせました。
妹仔頭那犁低低行禮祈求長壽時節,三個啉到面紅漬炸个和尚師父你看𠊎𠊎看你。
やがて、一人のお坊さんが言いました。
無幾久,一個和尚師父講:
「人の寿命を知り、あんたをここに連れてくるとは、あの大師の仕業か。
「知一個人个壽命,又會摎你渡來這,敢係該个大師做个嘎?
本当は人の運命を変えてはいけないのだが、こんなにごちそうになってはことわれんな」
事實一個人个命運做毋得改變,你拿恁好食个酒來請𠊎啉,嗄無法度拒絕。」
続いて二人目のお坊さんが、持っていた帳面を見ながら言いました。
續等第二個和尚師父緊看帶來个生死簿,講:
「なるほど。確かにあと三日の寿命じゃな。まだ十八だというのに」
「有影。確實還伸三日壽年定定,還正十八歲哪。」
三人目のお坊さんが、娘にたずねました。
第三個和尚師父問妹仔講:
「あんたは、何才まで生きたいんじゃ?」
「你,想愛食到幾多歲?」
娘は少し考えて、答えました。
妹仔想一下,回答講:
「はい。子宝に恵まれて、その子を大きく出来るまでは」
「係哦。到𠊎子女成群,長大成人為止。」
それを聞いたお坊さんたちは、にっこり笑うと言いました。
和尚師父聽著笑咪咪講:
「うむ。よい答えじゃ。あんたの寿命に、八の字をくわえてやろう」
「m11,盡好个答案,摎你个壽年加隻八字。」
そいてお坊さんたちは帳面に八の字を書きくわえて、娘の寿命を八十八にしたのです。
講煞,和尚師父就在生死簿頂高寫一隻八字,分妹仔食到八十八歲。
その後、娘は幸せな結婚をして子宝にも恵まれ、大した病気も無く八十八才まで長生きをしたという事です。
過後,聽講,妹仔婚姻美滿,降當多子女,無麼个大病痛,食到八十八歲。
おしまい
煞咧
|