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7月28日の日本の昔話
うば捨て山
拋棄老人家个山
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、六十才をこえたお年寄りを、『うば捨て山』という山に捨てる国がありました。
頭擺頭擺,有一個會摎六十歲以上个老人家,㧒到一隻安到『拋棄老人家个山』个國家。
はじめは食べ物がなくなったために仕方なくお年寄りを捨てていたのですが、食べ物がある今でも、この国では六十才をこえたお年寄りを山に捨てるのです。
當初,係因為食物毋罅,無法度正會摎老人家拋棄,毋過,這下食物充足,這隻國家乜照常摎老人家㧒到山頂。
そうしないと、殿さまからひどい目にあわされるからです。
若無恁樣做,會分國主嚴厲處罰。
ある年の事、ちょうど六十才になったおじいさんがいました。
某一年,有一個堵堵六十歲个老人家。
息子や孫たちはおじいさんをかごに入れると、仕方なくうば捨て山へ出かけて行きました。
倈仔、孫仔摎阿公放在籠仔裡肚後,高不將扛去『拋棄老人家个山』。
うば捨て山は昼でも暗い森の奥なので、ちゃんと目印をつけていないと、ふもとには帰れません。
『拋棄老人家个山』這座山係在森林裡背,雖然日時頭也係暗冬冬,一下無做著記號斯無法度轉來山下了。
かごの中のおじいさんは時々かごから手を出して、道の木の小枝をポキポキと折りました。
籠肚个阿公成時會摎手伸出來,拗路脣个樹椏。
「おじいさん、こっそり村へ帰るつもりかな?」
「阿公,會係想偷偷倒轉去村莊無?」
孫の言葉に、息子が心配顔で尋ねました。
倈仔照孫仔个話,當愁慮个面色問老阿公。
「おじいさん、ポキポキ折った小枝をたよりに、また帰るつもりか?」
「阿公,拗路脣个樹椏,你還想愛轉屋下係無?」
もしそうだとすると、殿さまにひどい目にあわされます。
若係恁樣,會分國主處罰。
おじいさんは、静かに首を振りました。
阿公恬靜搖搖頭。
「いいや、そうじゃない。
「毋係,毋係恁樣。
わしは、死ぬ覚悟は出来ておる。
𠊎決心愛死了。
この枝は、お前たちが村へ帰るための目印だ。
拗路脣个樹椏係摎你兜做倒轉去个記號。
道に迷わぬようにな」
毋好撞走哪!」
それを聞いた息子や孫たちの目から、涙がこぼれました。
聽著該,倈仔摎孫仔目汁雙流。
「おじいさん、ごめんなさい!」
「當失禮,阿公!」
「おじいさん、かんべんな!」
「阿公,請原諒!」
「あははは。泣くな、泣くな。それよりも日がくれる前に、早くうば捨て山に行こうじゃないか」
「啊哈哈哈。毋好噭,毋好噭了。俚愛在日頭出來以前去到『拋棄老人家个山』。」
おじいさんは孫の頭をなでながら言うと、息子がきっぱりと言いました。
老人家緊挲孫仔个頭那,講煞後,倈仔當堅定講:
「いいえ、だめです!殿さまから、どんなひどい事をされても構わない!おじいさんも一緒に、村へ戻るんです!」
「毋好,做毋得!國主愛判麼个刑都無相干!阿公乜愛共下轉去村莊!」
こうして息子たちはおじいさんを連れ戻すと、こっそりと家の奥に隠しておきました。
過後,倈仔摎阿公渡轉去,偷偷囥在屋肚裡背裡背秘密个位所。
それから数年後、このお年寄りを大事にしない国に隣の国から使いが来て、こんななぞかけをしました。
幾下年後,鄰國使者來到這個無照顧老人家个國家,做下背像令仔个問題分人揣。
どこから見ても色も形もそっくり同じ二匹のヘビを持って来て、
捉兩條無論色抑係形投當相像个蛇來,問講:
「どちらがオスで、どちらがメスかを当ててみろ」
と、言うのです。
「哪條係公个?哪條係嫲个?試揣看。」
殿さまも家来たちも、どちらがオスでどちらがメスかなんて分かりません。
國主也好家臣也好都揣毋出哪條係公个?哪條係嫲个?
そこで役人たちは、国中の村々を回って尋ねました。
所以,該兜官差去全國各村莊詢問。
「だれか、このなぞかけがわかる者はいないか?わかった者には、殿さまからほうびがもらえるそうだ」
「有人知這個問題無?若係揣著个人,會得著國主獎賞。」
しかし殿さまや家来たちにもわからないことが、村人にわかるはずがありません。
毋過,國主也好家臣也好都揣毋出,村民當然乜毋曉得。
「うむ。誰もわからぬか」
「m11。無人知嘎?」
役人たちがあきらめて帰ろうとすると、あのおじいさんの孫が前に出て言いました。
官差死心愛轉時節,該個阿公个孫仔出來面前講:
「そんなの簡単さ。家の座敷にワタをしいて、ヘビをはわせてみればいい。
「盡簡單,在人客間鋪兜棉仔,放蛇去趖。
一匹はジッとしているし、もう一匹はノロノロはい出すさ。
一條毋會停動,另外一條慢慢趖走。
はい出す方がオスで、おとなしくしているのがメスだ」
趖走該條係公个,恬恬个係嫲个。
「それは本当か?」
「有影無?」
「ああ、うちのおじいさんに聞いたから間違いないさ」
「啊,吾屋下阿公講个,無毋著。」
「なに?確かお前のところのじいさまは、とうのむかしにうば捨て山に捨てたはずでは」
「麼个啊?你該位个老人家,無照頭擺該摎老人家㧒到『拋棄老人家个山』山頂个規定嘎。」
「あっ、いや、その、聞いたのはむかしだ。ずーっとむかしに聞いたんだ」
「啊,毋係,該係頭過聽講个。當久以前聽過。」
「・・・ふむ。とにかく今は、なぞかけの答えを殿さまに知らせねば」
「...fumu,無論仰般,這下𠊎定著愛摎國主報告答案。」
役人たちはそう言うと、お城へと帰っていきました。
該兜官差講煞就轉去城肚。
孫が答えたなぞかけの答えは見事に正解で、それを聞いた隣の国の使いは感心しながら帰って行きました。
孫仔回答个答案非常正確,聽著个鄰國使者非常佩服轉去鄰國。
実はこのなぞかけ、この国の人間がおろか者ばかりの国なら攻め込んでやろうと、隣の国の殿さまが考えたものでした。
實際上,因為鄰國國主想愛利用這隻問題,探看若係這隻國家全係戇人,愛來去攻打佢。
それが見事に正解したので、隣の国の殿さまは、
因為這恁好个答案,鄰國國主講:
「あの国には、知恵者がおる。下手に攻め込んでは、負けるかもしれん」
と、この国に攻め込むのをあきらめたのです。
「該隻國家有一個聰明个人,若係無準備儘採打,無定會輸。」
斯無去攻擊這隻國家。
さて、孫のおかげで助かった殿さまは、城に孫を呼び寄せると言いました。
打幫這個孫仔相救,國主摎孫仔請到城肚來,講:
「そなたのおかげで、この国は救われた。約束通りほうびをやるから、何でも望むがよいぞ」
「好得你,這隻國家正得救,照約定愛分你獎勵,你想得著麼个都做得。」
「あの、何でもでございますか?」
「啊,麼个都做得?」
「そうだ。何でもよいぞ」
「係呦,麼个都做得。」
そこで孫は、殿さまにおそるおそる言いました。
孫仔驚驚忸忸摎國主講:
「ほうびの代わりに、その、うば捨て山に年寄りを捨てるのを、やめるわけには・・・」
「獎勵換做,廢忒摎老人家㧒到『拋棄老人家个山』山頂个規定...」
「ほう。なぜじゃ?」
「hou,為著麼个?」
「実は、あの答えは、おじいさんに聞いたのです」
「實際上,答案係吾公講个。」
「うむ。むかし、じいさまに聞いたそうだな」
「m11。聽講盡久以前,聽若公講个。」
「それが、むかしではなく・・・」
「該,毋係頭過...」
孫から全ての事を聞いた殿さまは、にっこり笑って言いました。
對孫仔該聽著全部事情个國主笑咪咪講:
「よしわかった。そなたの望みを、かなえてやろう。これからは、年寄りを大切にすることを約束しよう」
「了解,為著達成你个願望,從這下開始,保證重視老人家。」
こうしてこの国は、お年寄りを大切にする国になったと言うことです。
聽講這隻國家變到當重視老人家个國家。
おしまい
煞咧
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