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8月6日の日本の昔話
若者になったおじいさん
變後生个老阿伯
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、猟師のおじいさんがいました。
頭擺頭擺,某個地方有個打獵謀生个老阿伯。
ある日の事、おじいさんは鳥を追いかけているうちに、道に迷ってしまいました。
有一日,老阿伯當當追鳥仔時節嗄撞走。
「もうだめだ、一歩も歩けない」
「無結煞,𠊎一步都無法度行了。」
歩き疲れたおじいさんが座り込んでいると、どこからか一匹のカモシカが現れておじいさんの方に背中を向けます。
行悿了个老阿伯坐下去後,毋知哪位走出一條羚羊,轉身背囊向老阿伯。
「おや?わしを乗せてくれるのか。どこでもいいから、人のいるところへ連れて行ってくれ」
「唉哦,愛載𠊎係無?去哪位都做得,載去有人个所在就好。」
おじいさんがカモシカの背中に乗ると、カモシカは風のようにかけだして、あっという間に立派なご殿につきました。
老阿伯騎在羚羊背囊頂,羚羊開始像風樣走當遽,一下仔就走到盡派頭个宮殿。
すると中から、美しい娘さんが出てきて、
過後,一個當靚个細妹仔行出來,
「お待ちしていました。さあさあ、こちらへ」
と、言って、おじいさんをお風呂場に案内したのです。
講:「𠊎在這等你盡久了,這片,請。」
摎老阿伯安排到洗身間。
そのお風呂は殿さまが入るような立派な物で、ちょうどよい湯かげんです。
該洗身間像國王用个樣,當派頭,水溫堵堵好。
そしておじいさんがお湯に入って、顔や体を洗うとどうでしょう。
所以,老阿伯落去浸,洗面、洗身後變到仰般呢?
しわしわの皮がぺろんと取れて、つやつやした肌になったではありませんか。
憔皮邋𨒇拉到伸紋伸紋,皮亮亮紅螺花赤敢毋係?
「おおっ、なんだか急に元気が出てきたぞ」
「唉哦,仰會一下仔就變恁有元氣。」
お風呂から出て新しい着物を着せてもらったおじいさんは、すっかり若者の姿に変わっていたのです。
洗好身、換著新衫褲出來个老阿伯,完全變成一個後生人。
部屋に案内された若者は、またまた目を丸くしました。
分人安排到房間个後生仔,還係目金金、捩捩轉。
金と銀で出来た部屋はまばゆいほどに光り輝き、山のようなごちそうがならんでいます。
用金、銀去裝潢个房間金晶𥍉亮,還有堆山塞海恁多个料理。
「さあ、どうぞめしあがれ」
「毋使細義,請用!」
若者がごちそうを食べていると、娘さんが琴をひいてくれました。
後生人在該食時節,細妹仔在該彈琴演奏。
「まるで、夢を見ているみたいだ」
「啊,這就像在發夢樣。」
さあ、そんな毎日が何日も続いたある日の事。
這種情形連續幾下日後,有一日。
娘さんが若者に、小さい箱を渡して言いました。
細妹仔拿一隻細盒仔交分後生人,摎佢講:
「あなたのそばにいたくて、今までがまんしてきましたが、今日はどうしても出かけなくてはなりません。この箱には、桜とスミレと梅の形をした、奥の部屋のカギが入っています。桜とスミレのカギは使ってもかまいませんが、梅のカギだけは決して使わないでください」
「𠊎在你身邊,一直忍到這下,但係今晡日無離開做毋得。這隻盒仔裡背有櫻花、紫羅蘭花摎梅花形,係後背房間門个鎖匙。你可以用櫻花抑係紫羅蘭花形个鎖匙,絕對做毋得用梅花形鎖匙。」
「わかった。梅のカギを使ってはいけないのだな。いいさ、どのカギも使わないよ」
「了解,梅花形鎖匙做毋得用哪,好,該斯哪支鎖匙都毋好用!」
若者が約束したので、娘さんは安心して出かけて行きました。
摎後生人約定好了,細妹仔安心出去了。
娘さんには約束しましたが、若者は一人ぼっちになるとさびしくてたまりません。
答應過細妹仔,毋過一儕人當孤栖,難耐。
そこで今まで入った事のない奥の部屋の前に行き、桜の形のカギを差し込みました。
所以,行到從來毋識落去過个後背房間,拿出櫻花形个鎖匙插落去。
すると、どうでしょう。
該會變麼个情形呢?
部屋の中からふんわりと、暖かい春の風が吹いてきました。
對房間裡肚鬆爽个吹來溫暖个春風。
中へ入るとタンポポや桜草が一面に咲いていて、その中に一匹の馬がいました。
落去裡肚後,蒲公英、櫻草花開到榮榮,還有一條馬。
その馬に乗ってみると、馬は桜の木が何百本と生えているところへ連れて行ってくれました。
騎上馬後,馬載等𠊎去到了生有幾下百頭櫻花樹个位所。
どの桜の木も、満開の花が咲いています。
逐頭櫻花樹都開到榮榮。
「なんて、きれいなんだ」
「仰會恁靚!」
若者は夕方までお花見をすると、戻って部屋のとびらを閉めました。
該個後生人看櫻花,直直看到臨暗仔後,正轉去關房間門。
次の日、若者がスミレの形のカギで部屋を開けると、今度はスミレの咲いている野原に変わっていました。
第二日,後生人用紫羅蘭花形鎖匙打開房間時節,這下變成一片開紫羅蘭花个田野。
色とりどりの小鳥たちが、楽しそうに飛び回っています。
花啦必駁个鳥仔快樂个飛來飛去。
若者は時間のたつのもわすれて、夕方まで小鳥をながめていました。
後生人毋記得時間,看鳥仔直直看到臨暗仔。
さてその次の日、若者は梅の形のカギをにぎったまま、部屋の前を行ったり来たりしていました。
第二日,這個後生人揢等梅花形个鎖匙在房間頭前行去行轉。
「梅のカギだけは使わないでくれと言っていたが、梅のカギを使うとどうなるのだろう? きっと素晴らしい梅の花があるんだろうな」
「雖然吩咐過絕對毋好用梅花形个鎖匙,但係若係用梅花形个鎖匙會發生麼个事呢?𠊎揣定著會有當靚个梅花。」
若者はどうしてもがまん出来ず、とうとう娘さんとの約束を破って梅のカギを使いました。
後生人當毋著,最尾還係違背承諾,使用梅花形个鎖匙。
すると、どうでしょう。
過後,變到仰般呢?
思っていた景色とはまるで違い、枯れ木ばかりが風にゆれています。
摎佢想个景色完全無共樣,斯有燥枝落桍个樹仔在風中搖來去。
するとその時、二匹の白ギツネが飛び込んできて若者にたずねました。
該量時,有兩條白狐狸跳落去問該個後生人講:
「わたしたちの娘が、この部屋に入ったきり、もう何年も出てきません。娘に会いませんでしたか?」
「𠊎兜个妹仔落去間肚盡久了,幾下年無出來,你無堵著𠊎妹仔係無?」
「いいや、キツネなんかには・・・。まさか、あの美しい娘さんがキツネか?」
「毋係,狐狸這兜...,該個靚細妹仔敢係一條狐狸?」
若者がびっくりしていると、そこへ娘さんが戻ってきました。
後生人發痴驚時節,細妹仔在對面行轉來。
「どうして、約束を守ってくれなかったのですか。・・・残念ですが、もうお別れです」
「你仰會毋守信用?...盡遺憾,𠊎愛離開了。」
娘さんは若者に箱を渡すと、パッと白ギツネの姿に戻り、二匹の親ギツネと一緒にかけて行きました。
細妹仔摎盒仔交分後生人後,就黏時變轉白狐狸原形,跟等爺哀共下走去了。
気がつくと若者は箱をかかえたまま、山の中の草むらに立っていました。
等佢清醒个時節,後生人企在山頂草竇肚,拿等一隻盒仔。
「なんじゃ?夢だったのか?・・・いや、夢じゃない。娘にもらった箱があるぞ」
「這係麼个事情?發夢係無?...毋係,毋係發夢。細妹仔分𠊎个盒仔還在哦。」
若者が箱のふたを開けると、中からしわだらけの皮が飛び出してきて、若者の体にペタリと張り付きました。
後生人打開盒仔蓋以後,皺皺个皮膚對裡肚走出來黏在後生人个膴身。
すると若者は、元通りのおじいさんにもどってしまいました。
過後,後生人變轉老阿伯。
おしまい
煞咧
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