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8月6日の日本民話

そば喰い像

そば喰い像
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 鎌倉時代の初め頃、浄土真宗(じょうどしんしゅう)を開いた親鸞(しんらん)と言う偉いお坊さんがいたのですが、これはその親鸞が、範宴(はんえん)という名前で修業をしていた頃のお話しです。

  その頃の範宴は他の若いお坊さんたちと一緒に、比叡山(ひえいざん)にこもって修業をつんでいました。
 でも、いくら修行をしても、仏心(ぶっしん)を会得(えとく)する事が出来ません。
「まだ、修行が足りぬのか」
 なやんだ範宴は、都にある六角堂(ろっかくどう)と言う所へ百日参籠(ひゃくにちさんろう)をする事を思いつきました。
 その晩から範宴は誰にも知られないようにと、みんなが寝た後でこっそり山を下り、みんながまだ目を覚まさない明け方のうちに帰ってくるという、つらい修業を始めたのです。

 初めのうちは何事もなく過ぎていきましたが、やがて仲間のお坊さんたちの間で、範宴の朝帰りがうわさされるようになりました。
 このうわさは、偉いお坊さんたちの耳にも入りました。
 そこで偉いお坊さんは、ある夜突然にみんなをお堂に集合させると、一人一人順番に名前を呼び始めたのです。
 そしてついに、範宴の番がまわってきました。
「範宴!」
 お坊さんの重い声がお堂に響くと、不思議な事にいないはずの範宴が答えました。
「はい」
 その声は、確かに範宴の声です。
 偉いお坊さんも仲間のお坊さんたちも、その声を聞いて胸をなでおろしました。
(よかった。ただのうわさであったか)
 安心したみんなは、その後で出された夜食のおそばを食べると、それぞれの部屋に帰っていきました。
 ところが翌朝、早起きをした一人のお坊さんが、朝帰りの範宴とばったり出会ってしまったのです。
「本物の範宴は、今帰ってきた。すると昨日返事をしてそばを食べたのは?」
 仲間のお坊さんたちは、昨日の返事をしてそばを食べた者を探しました。
 そして見つけたのが、範宴が彫った彼そっくりの像だったのです。
 不思議な事にその像の口元には、おそばの青ねぎがついていたのです。

 この範宴の代わりに返事をしておそばを食べた身代わり像は、その後、そば喰い像と呼ばれるようになりました。

おしまい

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