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10月3日の日本の昔話
正体のばれたキツネ
現出原形个狐狸
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある小さな山の茶館に、一人のさむらいが入ってきました。
頭擺頭擺,一個武士行落山頂一坎細細賣茶个店仔。
「ごめん」
「失禮。」
「はい、いらっしゃいませ」
「歡迎光臨,請坐。」
「じいさん、ここのダンゴは、うまいと評判だ。わしにも一皿、もってまいれ」
「阿伯,你這个粄圓當出名,𠊎乜愛買一盤。」
「はいはい。どうぞ、めしあがってくださいませ」
「好,好,請用。」
茶館のおじいさんは、お茶とダンゴをはこんできました。
賣茶店仔个阿伯摎茶、粄圓兜來分佢。
その時、おじいさんはさむらいの顔を見てびっくりしました。
該當時,阿伯看著武士个面嗄著驚。
「あれ、まあ!」
「阿姆哀!」
何と、おさむらいの耳はピーンと三角にとがっていて、顔のあちこちに茶色の毛が生えています。
武士个耳空仰會像針摎三角樣恁尖,滿面這一搭該一搭生豬肝色个毛。
(ははーん、このおさむらいはキツネだな)
(啊哈,這個武士係狐狸敢哪。)
おじいさんは正体を見抜きましたが、キツネはうまく化けたつもりで、むねをはっていばったかっこうをしています。
阿伯看出渠个真面目,狐狸打算變過較像兜,胸脯挺高高盡威風樣。
おかしくなったおじいさんは小さなおけに水を入れて、さむらいの前へ持って行きました。
感覺盡奇怪个阿伯,拿水放落細水桶肚,擐去武士面前。
「おさむらいさま、お顔と耳が少し汚れておいでのようです。どうぞ、この水をお使いください」
「武士大人,你个面摎耳空有息仔屙糟,這水分你洗,請。」
「ふむ、これはどうも」
「m11,承蒙。」
うなずいたさむらいは、おけの中をのぞいてびっくり。
低下頭來个武士,看到桶肚个水面嗄著驚。
(コンコン、これは化けそこなった!)
(kon kon,這係變無成个!)
キツネは、大あわてです。
狐狸非常緊張。
「さあ、おさむらいさま。ごゆっくり、召し上がってくださいませ」
「武士大人,請你定定仔食。」
おじいさんがそう言っても、キツネには聞こえません。
雖然阿伯恁樣講,狐狸還係聽毋入耳。
キツネはダンゴも食べずに、そのまま山の方へ逃げていってしまいました。
狐狸連粄圓都無食,走到尾瀉屎,走到山頂去了。
次の日、おじいさんはたきぎをひろいに、山の中へ入っていきました。
第二日,阿伯上山撿樵,行落樹林肚。
すると、どこからか、
「おじいさん、おじいさん」
と、よぶ声がします。
毋知哪傳來个聲,喊佢:「阿伯、阿伯。」
おじいさんは見回しましたが、誰もいません。
阿伯斡頭去看,無看到半儕。
「はて?何のご用ですか?」
おじいさんが言うと、
阿伯講:「唉,有麼个事?」
「おじいさん、昨日はおかしかっただろう。大失敗だったよ。ウフフフ、アハハハ」
と、笑い声が聞こえてきました。
「阿伯,昨晡日感覺當奇怪無?還失敗哦!哇哈哈!」
聽著大聲在該笑。
「ああ、昨日のキツネさんか。そう言えば、あの時はおかしかったな。アハハハ」
「啊,昨晡日該條狐狸係無?恁樣講起來,該當時係當奇怪哪。啊哈哈!」
おじいさんも、大笑いしました。
阿伯乜哈哈大笑。
おしまい
煞咧
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