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10月27日の日本の昔話
テングの羽うちわ
天狗个羽毛扇
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、ふく八という、とんちの上手な男がいました。
頭擺頭擺,某隻位所,一個安到福八个細倈仔,非常伶俐。
ある日の事、ふく八はテングが住んでいるという、テング山へ行きました。
有一日,福八去聽講有天狗戴个天狗山。
そして、大きなサイコロをころがしては、
過後,拿出大骰仔來輪。
「うわっ、見える見える、江戸が見えるぞ。京が見えるぞ」
と、おもしろそうに大声で言いました。
「哇,看得著,看得著,江戶看得著,京都看得著。」
盡生趣樣大聲講︰
それを聞いたテングが、ふく八に言いました。
聽著該个天狗,摎福八講︰
「おい、ふく八、おれにもそれを貸せ!」
「噯,福八,該東西借𠊎!」
「いやだ」
「無愛。」
「おれは、テングだぞ」
「𠊎係天狗哦。」
「いやだっと言っているだろう。こんなおもしろい物を、そう簡単に貸せるものか」
「講過無愛借你毋係嘎,恁生趣个東西,仰做得恁簡單借你?」
「・・・お前は、テングがこわくないのか?」
「・・・你啊,毋驚天狗係無?」
「テングなんか、こわくないよ。それより、このサイコロはおもしろいな。ころがしさえすれば、どこでも見えるのだから。・・・うわっ、今度は大阪が見えるぞ」
「天狗該東西有麼个好驚,比起來,這骰仔還較生趣哪,輪一下哪位都看得著,・・・哇,這下看著大阪。」
ふく八は、サイコロに一生けんめいです。
福八盡命輪骰仔。
「おい、ふく八。お前には、こわい物がないのか?」
「噯,福八,你無驚半項東西?」
「あるよ。おれのこわい物は、ぼたもちだ」
「有哦,𠊎驚个東西係紅豆𩜄粄。」
「へえ、あんなおいしい物を?」
「he24,驚恁好食个東西?」
「ああ、名前を聞いただけでも、ゾゾッとする。テングさん、あんたは何がこわい?」
「啊,聽到厥名仔斯會起雞嫲皮,你驚麼个東西?」
「おれは、トゲのあるカラタチ(→中国原産のミカン科の落葉低木)だ」
「𠊎驚个東西係生竻个橘仔(原産中國个橘科落葉灌木)。」
「しめたっ!」
「還好!」
「???・・・なにが、しめたじゃ?」
「???・・・麼个,還好?」
「いや、何でもない。それより今度は、奈良の大仏が見えるぞ」
「無,無麼个,這下看著奈良个大佛哦。」
ふく八は、おどりあがって喜びました。
福八歡喜到開始跳舞。
その様子を見ていたテングは、そのサイコロがほしくてたまりません。
看到該樣仔个天狗,想愛得著骰仔想到耐毋得。
「なあ、お前のサイコロとテングのうちわを交換しないか?このテングのうちわであおぐと、鼻が高くなったり低くなったり出来るぞ」
「噯,你个骰仔摎天狗个羽毛扇斗換好無?用這天狗个羽毛扇撥,鼻空會變高抑細變低哦。」
「うそつけ、そんな事が出来るものか」
「花蓼,這種事情敢做得?」
「なら、見てろよ」
「無該試看哪仔。」
テングは、ふく八の鼻をあおぎながら言いました。
天狗一片拿扇撥福八个鼻空,一片講︰
「ふく八の鼻、高くなれ、高くなれ」
「福八个鼻空,變高,變高。」
するとふく八の鼻はグングンのびて、向こうの山へつきそうになりました。
過後,福八个鼻空gun gun滾緊伸緊長,伸到像會揬著對面个山樣。
「わあ、早く元に戻してくれ」
「哇,煞煞摎𠊎變轉來。」
「それじゃあ、このうちわとサイコロと取り替えるか?」
「該,這羽毛扇做得摎骰仔斗換無?」
「しかたがない、取り替えるから、はやく鼻をちぢめてくれ」
「無法度,若係斗換後,愛遽遽摎𠊎个鼻空變轉來。」
こうしてふく八はテングのうちわを手に入れると、逃げるように帰っていきました。
斯恁樣福八得著天狗个羽毛扇後,瀉等轉去。
サイコロを手に入れたテングは、うれしそうに言いました。
得著骰仔个天狗當歡喜樣,講︰
「まずは、京の都を見物しようかな」
「首先,來看京都風景好哪?」
テングはサイコロをころがしましたが、何も見えません。
天狗輪骰仔,毋過,麼个都看毋著。
「おや?おかしいな、もう一度」
「唉?奇怪哪,再過輪一擺。」
テングは何度もサイコロをころがしましたが、いくらやってもだめです。
天狗輪了幾下到骰仔,毋過,仰般舞都無效。
テングはようやく、ふく八にだまされた事に気がついたのです。
天狗包尾總算知分福八落著了。
「よくもだましたな!この仕返しをしてやるぞ!」
「𠊎分佢落著了,定著愛搣倒轉來!」
テングはふく八が苦手だと言っていたぼたもちをたくさん用意すると、ふく八の家ヘ出かけました。
天狗準備當多福八講過最惱个紅豆𩜄粄,送去福八屋下。
するとふく八の家の回りには、テングの苦手なカラタチがたくさん立ててあります。
過後,福八屋下四圍放當多生竻个橘仔。
「ぬぬっ、これでは家に近寄れん」
「nu~d,恁樣就做毋得偎兼佢屋下。」
テングは仕方なく、外からふく八の家の中へぼたもちを投げ入れると、
天狗無法度,在外背摎紅豆𩜄粄擲落福八屋下裡肚。
「そら、こわがるがよい」
と、言って、帰っていきました。
講︰「噯,嚇佢乜好。」
斯轉去。
するとふく八は、
過後,福八講︰
「これはうまそうだ。いただきまーす」
と、ぼたもちをたらふく食べました。
「這當好食樣,承蒙你」
紅豆粄食到飽𩜰𩜰。
それからのち、ふく八はテングのうちわを使って、鼻が低くて困っている人の鼻を高くしてやり、鼻が高くて困っている人の鼻を低くしてやって、みんなからとても喜ばれたということです。
自該以後,福八用天狗个羽毛扇,摎平鼻个人鼻空變高,摎鼻空昶高个人變較平息仔,大家都歡喜。
おしまい
煞咧
おしまい
おまけ
ささずんと昔話講座 第09話【ふしぎなたいこ】
読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。
知っているようで知らない日本昔話を、ゆっくりの解説でずんちゃんとささらちゃんが学んでいく動画です。
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