福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 11月の日本昔話 > えんまになった、権十おじいさん

11月2日の日本の昔話

えんまになった、権十おじいさん

えんまになった、権十おじいさん

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

♪音声配信(html5)
音声 Saya

♪音声配信(html5)
音声 ハッサン ハッサンの窓

 むかしむかし、芝居(しばい)がさかんな村がありました。
 少しでも時間があると、大人も子どももみんな芝居の練習をしています。

 ある年の事、この村で一番芝居の上手な権十(ごんじゅう)おじいさんが、ポックリと死んでしまいました。
 おじいさんはあの世へつながる暗い道を一人ぼっちでトボトボと歩いていると、むこうから金ぴかの服を着たえんま大王がのっしのっしとやって来ました。
「こら、そこの亡者(もうじゃ→死んだ人)」
「へえ」
「へえではない。返事は『はい』ともうせ。それに何じゃ、お前のすわりようは」
「へえ。その、腰がぬけましたので」
「ふん、だらしない。・・・ところでお前、確かしゃば(→人間の住む世界)では、芝居をやっておったそうだな」
「へえ、よくご存じで。しかしわたしのは芝居ともうしても、にわか芝居(→しろうとの芝居)でして」
「そうか。そのにわか芝居とやらでかまわんから、ここでやってみせろ」
「あの、えんまさまは、芝居がお好きでございますか?」
「いや、見た事がない。しかし、しゃばの者は芝居を見て楽しんでおると聞く。そこで、芝居をしておったお前が来ると聞いて、わざわざここまで来たのじゃ。さあ、芝居とはどのようなものか、やってみい」
「へえ、やってみいとおっしゃいましても、わしはこの通りの亡者でして、衣装も何もございません」
「衣装がなくては、芝居が出来ぬのか?」
「へえ、出来ませぬ。もし、あなたさまが衣装を貸してくだされば、地獄(じごく)の芝居をやってごらんにいれますが」
 そこでえんま大王は、自分の衣装をぬいで貸してやりました。
 こうして、えんま大王がおじいさんの衣装を着て亡者となり、おじいさんがえんま大王の衣装を着てえんま大王になりました。
「では、芝居をはじめろ」
「へえ。さっそく、はじめましょう」
 おじいさんはすっかり元気になって、すっくと立ちあがりました。
「まずは、えんまのおどりでござい」
 おじいさんがえんま大王の服を着ておどっていると、そこへ赤鬼と青鬼がやって来ました。
「もし、えんま大王さま」
 たちはおじいさんの前に両手をついて、ペコペコ頭を下げました。
「えんま大王さま。そろそろ、お戻りくだされ」
「ただいま亡者どもが団体でまいりまして、地獄は大忙しでござります」
 その時、亡者の衣装を着たえんま大王が、あわてて言いました。
「このたわけめ! えんま大王は、このおれだぞ」
 すると赤鬼と青鬼が、えんま大王をにらみつけました。
「こらっ! 亡者のくせに何をぬかす。お前は、はよう地獄へまいれ」
「いや、だから、おれがえんまだ。おれが、本物の大王だ」
「無礼者!」
 赤鬼は持っていた金棒で本物のえんま大王をバシッバシッと打ちのめして、地獄へ引きずって行きました。
「さあ、えんま大王さま、お急ぎください」
 こうしてえんま大王の服を着た権十おじいさんは青鬼に連れて行かれ、そのまま本当のえんま大王になったという事です。

おしまい

前のページへ戻る


     11月 2日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
阪神タイガースデー
きょうの誕生花
背高泡立草(せいたかあわだちそう)
きょうの誕生日・出来事
1982年 深田恭子(女優)
恋の誕生日占い
パワフルで存在感が強い
なぞなぞ小学校
パンはパンでも、誰も食べないパンは?
あこがれの職業紹介
家具職人
恋の魔法とおまじない 307
習い事が上達するおまじない
  11月 2日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
えんまになった、権十おじいさん
きょうの世界昔話
幽霊の宝物
きょうの日本民話
魂が入った竜
きょうのイソップ童話
モグラの親子
きょうの江戸小話
けちの親子
きょうの百物語
しかばねをねらう娘

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ