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11月7日の日本の昔話

お坊さんの贈り物

お坊さんの贈り物

 むかしむかし、空海(くうかい)という名の、旅をしながら村から村へと歩く、お坊さんがいました。
 ある冬の日、宿(やど)が見つからないうちに夜が来ました。
「どこかに、とめてくれる家はないかな?」
 でも、きたないお坊さんの姿を見て、とめてくれる家はありませんでした。
 とうとう、雪がふってきました。
 村はずれまで来ると、一軒のまずしい家がありました。
「雪にふられて困っておる。今夜、ひと晩とめてくだされ」
 すると中から、おばあさんが出てきて。
「あれまあ、お気の毒に。こんなところでよかったら、さあ、どうぞ」
 おばあさんは、お坊さんをいろりのふちに座らせると、おわんにお湯を入れてあげました。
「食べる物もなくてのう。せめて、お湯でも飲んでくだされ。からだがあったまりますから」
 お坊さんは、両手でおわんをかかえるようにしてお湯を飲みました。
 冷えきった体が、どんどんあたたかくなってきます。
「ありがとう。まるで、生き返ったようだ」
 お坊さんが礼を言うと、
「あしたの朝は、きっとなにか作りますから」
 おばあさんが、申しわけなさそうに頭をさげました。
 するとお坊さんは、ふところから米を三粒ほど出して、
「すまんが、これでおかゆを煮てくれ」
と、いいました。
「へええ、これでおかゆを・・・」
 おばあさんはビックリしましたが、言われたように、なべに三粒の米を落とし、それにたっぷりとお湯を入れ、いろりの上にのせました。
 すると、どうでしょう。
 なべの中には、たちまちおいしいおかゆがあふれて、グツグツと煮えはじめたのです。
「さあ、おばあさんもいっしょに食ベなされ」
 そのおかゆのおいしいこと。
 こんなにおいしいおかゆを食べたのは、生まれてはじめてです
「はあ、ありがたや、ありがたや」
 おばあさんは、涙を流して喜びました。
 そしてふしぎなことに、おかゆはいくら食ベても、ちっともなくならないのです。
「ありがとうございました。きたないふとんですが、ここでやすんでください」
 おばあさんは、たった一組しかないふとんにお坊さんをねかせて、自分はわらにもぐってねました。
 つぎの朝。
 お坊さんは、おばあさんがねているうちに起き出し、また、ふところから米を三粒ほど出して、からっぽの米びつの中ヘ落としました。
「しんせつなおばあさん、いつまでも元気でいておくれ」
 そういって家を出ようとしたら、おばあさんがあわてて起きてきて、
「お坊さん、待ってください。いも汁でもつくりますから」
「ありがとう。でも、わたしはもう出かけなくてはいけない。あとで、米びつをあけるがよい」
 お坊さんはそう言うと、おばあさんの家を出ていきました。
「また、きてください」
 おばあさんは雪の中のお坊さんに向かって、そっと手を合わせました。
「そういえば、米びつをあけろと、言っていたが」
 おばあさんが米びつをあけてみますと、なんと、中には米がびっしりつまっているではありませんか。
 そればかりか、ふしぎなことに、毎日食べても米はなくなりません。
 この米のおかげで、おばあさんはいつまでも元気に暮らしたということです。

おしまい

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