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11月12日の日本の昔話
へくさ穂(ほ)
和尚と小僧の笑い話
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「癒しの森っ子」
むかしむかし、ある山寺に、和尚さんととんちのきく小僧さんがいました。
ある日、二人はそろって粟(あわ)の穂(ほ)を取りに出かけました。
ところが小僧さんは大きくて取りやすい物ばかり選んで、小さくて取りにくい穂は全部残していきます。
それを見た和尚さんが、小僧さんに注意しました。
「こら! なまけないで、小さい穂も取りなさい」
すると小僧さんが、負けじと言い返しました。
「和尚さま。
この小さい穂はへくさ穂といって、とてもくさくて食べられたものではありません。
だからわたしは、わざと取らないようにしているのです」
「ほう、そうか。なら、へくさ穂がどれだけくさいか、わしが試してやる」
こうして大きい穂の粟飯と小さい穂の粟飯をたきわけて、へくさ穂と言われた小さい穂がどれだけくさいかを試すことになったのです。
もちろん、へくさ穂なんてうそだったので、小僧さんは困ってしまいました。
(どうしよう。小さい方がくさくないと、和尚さまに怒られてしまう。なにか、うまい方法は・・・。そうだ)
ゆらゆらとおいしそうに炊きあがる湯気を見て、小僧さんはある名案を思いつきました。
小僧さんは小さい穂の粟飯のおかまのふたを開けると、
(へっへへ。これならくさくなるぞ)
と、お尻を突き出して、
♪ぷーー
と、おならをして、すぐにふたを閉めたのです。
さて、粟飯が炊きあがると、小僧さんは何くわぬ顔で和尚さんを呼びました。
「さあ、和尚さま。わたしの言葉が嘘か本当か、しっかりと確かめて下さい」
「ほう。自信ありげだな。だが、ふたを取ればわかることだ」
和尚さんはまず、へくさ穂のなべのふたを取りました。
すると湯気と一緒に、小僧さんがしたくさいおならのにおいがぷーんと立ち上って来ました。
「うむ、確かにこれはくさい」
次に大きい穂のなべのふたを取ると、こちらは美味しそうないいにおいです。
「なるほど。確かに、お前の言う通りだ」
和尚さんはすっかり感心して、それからは大きな穂ばかり取らせたという事です。
おしまい
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