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11月14日の日本の昔話
ウマかたのゆだん
牽馬運貨人大意
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、人をだますキツネが住んでいるとうげがありました。
頭擺頭擺,某隻位所,山崠頂戴一條專門搣衰人个狐狸。
このとうげを行き来するウシかたやウマかた(→ウシやウマを引いて、荷物を運ぶ人)は、時々このキツネにだまされて荷物を取られてしまいます。
來到這山崠頂个牽牛運貨抑係牽馬運貨人,輒常分這條狐狸落著,騙走貨物。
ところが一人だけ、
毋過斯有一儕,
「おれは魚を仕入れる時、とうげのキツネのために安い魚を買って来て、それをキツネに食べさせてやっている。だからおれは、キツネに荷物を取られる事はない。荷物を取られるのは、頭が悪いやつらだ」
「𠊎買魚貨个時節,特別去買兜較便宜个魚仔分山崠頂个狐狸食,所以𠊎个東西毋會分狐狸拿走,東西分狐狸拿走儕係頭腦毋好个人。」
と、いつもじまんしているウマかたがいました。
長透逞个牽馬運貨人恁樣講︰
ある日、このウマかたがとうげにさしかかると、木のかげから呼び止める声がしました。
某日,牽馬運貨人來到山崠頂時節,樹影下有喊佢頓恬个聲。
ウマかたが振り向くと、キツネがかみしも(→正装)を着て立っていました。
牽馬運貨人斡頭去看,狐狸著等武士禮服企等在該。
「実は今晩、せがれが嫁をとります。そこでいつも魚をくださるあなたさまを、お客としておまねきしたいのですが、いかがでしょう?」
「事實暗晡夜吾倈仔討餔娘,因為你長透拿魚仔分𠊎食,所以想愛請你做貴賓,毋知好無?」
キツネはかしこまって、あいさつをしました。
狐狸盡誠心个邀請。
「そんな事を言って、そのすきに荷物の魚を取るのではあるまいな?」
「恁樣講起來,該下仰會毋摎魚貨拿走呢?」
「何をおっしゃいます。キツネにも、礼儀というものがあります。それにお荷物が心配でしたら、我が家の庭に運ばせましょう。お荷物が見えるところにあれば、あなたさまもご安心でしょう」
「講該麼个話,狐狸乜有禮俗,假使煩惱你个貨物,該就摎佢拿到吾庭院去,若係放在你看得著个位所,可以放心。」
「まあ、そう言う事なら」
「好,既然恁樣講。」
ウマかたはキツネに案内されて、山の中に入って行きました。
牽馬運貨人照狐狸个帶路,行上山頂。
「さあ、こちらへどうぞ」
「這片請!」
キツネの屋敷に入ると、キツネはごちそうとお酒でウマかたをもてなしました。
行落狐狸屋下後,狐狸準備當多酒、菜招待牽馬運貨人。
ウマかたの荷物はよく見える庭に置いてあるので、ウマかたも安心してごちそうになりました。
牽馬運貨人个貨物放在庭院看現現,所以佢盡放心食。
「ああっ、久しぶりに満腹だ」
「啊,盡久無食到飽𩜰𩜰。」
ウマかたが大きくなったお腹をさすっていると、そこにきれいな姉さんギツネがやって来て言いました。
牽馬運貨人用手比食到飽𩜰𩜰个大肚屎時節,該片一個靚膩膩个狐狸阿姊行過來,講︰
「だんなさま、おふろはいががですか?よろしければ、お背中を流させていただきたいのですが」
「老爺,洗身好無?若係做得,摎你鑪背囊。」
「それはありがたい。では、さっそく」
「承蒙,這下斯來去。」
ウマかたがおふろに入ると、ちょうどいい湯加減です。
牽馬運貨人洗身時節,水堵堵好燒。
すっかり良い気持ちになっていると、ウマかたの耳のそばで怒鳴り声がしました。
心情當好時節,牽馬運貨人耳空脣有人大聲咄。
「だれだ!わしの田んぼに入っているやつは!」
「係麼儕!落𠊎个田竇肚?」
「なっ、なに。田んぼ?」
「麼,麼个,田?」
ウマかたがハッと気がつくと、そこはおふろではなく田んぼでした。
牽馬運貨人忽然間注意著,該位毋係浴堂係田。
「しまった!だまされたか」
「壞了,分人落著了!」
見ると荷物はなくなっており、ウマだけがのんびりと草を食べていました。
查看一下,東西毋見忒了,伸一條馬閒亍亍在該食草。
おしまい
煞咧
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