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11月27日の日本の昔話
すもう取りと、貧乏神
揇腰交摎窮苦神
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、つるぎ山という、すもう取りがいました。
頭擺頭擺,一個安到刀山(tsurugi yama)个揇腰交選手。
はじめはガリガリの小さな体でしたが、いっしょうけんめいけいこをして、ズンズン大きくなりました。
最先身體瘦夾夾,經過盡命牯練黏時變砸磳。
「はやく大関(おおぜき→むかしは大関が一番強い位でした)になって、お母さんに喜んでもらうんだ」
「較遽升到大関(頭擺大関係第一強),分哀仔歡喜一下。」
つるぎ山は大関になるために、毎日きびしいけいこを続けました。
刀山為著升大関,逐日連連續續接受嚴格鍛鍊。
ところがある日から、つるぎ山は急に弱くなってしまいました。
毋過,有一日開始,刀山一下仔變弱。
自分よりも体の小さい者にも、コロコロと負かされてしまうのです。
摎比自家身體較細个人比賽又乜分人舞著滾滾碾輸忒。
「さっきのは、ちょっとゆだんしたからだ。もうゆだんしないぞ。さあこい!」
「頭下因為無細義,毋會再過無注意,來啊!」
でもやっぱり、いくらがんばってもコロコロと負けてしまいます。
總係,仰般出力乜分人舞著滾滾碾輸忒。
「もうだめだ。残念だが、すもうをやめよう」
「無用囉,遺憾,下二擺無愛揇腰交了。」
そして、お世話になった親方(おやかた)に言いました。
然後對照顧佢个師父講︰
「わたしは、もう限界です。田舎へ帰ってお母さんのそばで働くので、ひまをください」
「𠊎,盡步了,轉莊下吾姆身邊做事,請你恩准。」
しかし親方は、つるぎ山をはげましました。
毋過,師父鼓勵刀山講︰
「調子の悪い時は、誰にでもある。もう少し、ガマンするのだ。負けてもけいこを続ければ、必ず強くなる」
「身體情況毋好麼儕乜會堵著,較忍耐兜,雖然輸忒繼續練習,一定會變強。」
けれどつるぎ山は親方の家を逃げ出して、お母さんのいる田舎へ帰ったのです。
但係,刀山對師父屋下逃走,轉去厥姆莊下。
「お母さん、すもう取りになりましたが、どうしても大関になれそうもありません。これからは田舎で働くので、お母さんのそばへおいてください」
「阿姆,做一個揇腰交選手就好,毋過,無論仰般都無想愛做大關,這下開始在莊下做事,請分𠊎留在阿姆身邊。」
手をついてあやまるつるぎ山に、お母さんはきびしく言いました。
哀仔對雙手貼地會失禮个刀山嚴厲講︰
「いけません!そんな意気地なしは、お母さんの子ではありません。もう一度、親方さんのところへ帰って、しっかりけいこをしてごらんなさい。大関になるまでは、二度と帰ってはいけません!」
「做毋得,恁無增志,毋係吾倈仔,再過倒轉去師父該位,認真練習看,升到大關前毋好轉來。」
「でも」
「毋過。」
「はやく、親方さんのところに帰りなさい!」
「遽兜,倒轉去師父該位!」
「・・・はい」
「・・・好。」
そこまで言われれば、仕方がありません。
分人講到恁樣,實在無法度。
つるぎ山は親方のところへ、帰ることにしました。
刀山高不將倒轉去師父該位。
その帰る途中に、けわしい山があります。
倒轉去个半路有一座當嶇个山。
つるぎ山が山を登っていると、
刀山蹶山个時節,
「おーい、おーい」
と、誰かが後ろから呼びました。
「噯ー,噯ー。」
後背有人喊。
それは頭の毛がボウボウとのびていて、体はやせて骨と皮ばかりの老人です。
該係一個鬞頭絞髻,瘦夾夾皮包骨个老貨仔。
「わたしに、何か用かね?」
「尋𠊎有麼个事情係無?」
「さようです。ヘヘヘへ。わたしをおいてきぼりにしないでくださいよ。今朝はうっかりして遅れましたが、わたしたちは、いつも一緒でしょう。さあ、行きましょう」
「係啊,hehehehe,毋好摎𠊎㧒在後背毋插𠊎,朝晨無細義較慢兜仔,𠊎俚一直共下,好,行了。」
「・・・?いつも一緒だって?お前は一体、誰だ?」
「・・・?一直共下?你到底係麼儕?」
「わたしですか。ヘヘヘへ。わたしは、貧乏神(びんぼうがみ)です。いつもあなたに、ついているのですよ」
「𠊎係無?hehehehe,𠊎係窮苦神,長透跈等你哊。」
つるぎ山はビックリして、貧乏神の顔をにらみつけました。
刀山著驚一下,詳細看窮苦神个面。
「わかったぞ!お前がついているから、わたしはすもうに負けるのだな。そうだろう!」
「知了!因為有你跈等,𠊎揇腰交正會輸忒,係恁樣無!」
「ヘヘヘへ。その通りですが、ちょっと違います。
「hehehehe,係恁樣,毋過有滴仔爭差。
わたしがいるから弱くなったのではなく、あなたが弱いから、わたしがやって来たのです」
毋係因為𠊎正變弱,係因為你弱𠊎正會來。」
「わたしが弱いだと!なにを言う、わたしはすもう取りのつるぎ山だぞ!」
「講𠊎弱!講麼个,𠊎係揇腰交个刀山呢!」
「ヘヘヘへ。あなたのどこが強いのですか?ちょっと負けが続いたからといって、親方のところから逃げ出して、お母さんに泣きつくお人が」
「hehehehe,你哪位強?因為連連續續輸,對師父該逃走,在哀仔面前噭个人。」
「なっ、なんだと!!」
「麼,麼个!!」
つるぎ山は大声で怒鳴りましたが、しかし貧乏神の言う事も間違いではありません。
刀山大聲噦,毋過,窮苦神講个無毋著。
(確かに、貧乏神の言う通りだ。わたしが意気地なしだから、貧乏神がやってきたのだ。よし、元気を出そう。貧乏神なんかに、負けてたまるか!)
(確實,像窮苦神講个,𠊎自家恁無增志,窮苦神正走出來,好,拿出精神來,輸分窮苦神仰做得!)
つるぎ山ははだかになってまわしをしめると、貧乏神に言いました。
刀山脫光衫褲,著等肚襠褲,對窮苦神講︰
「貧乏神!ひとつ、すもうをとろうじゃないか」
「窮苦神!來揇擺腰交愛無?」
「ヘヘへへ。すもうですか?まあ、とってもいいですが、でも、わたしの方が勝ちますよ」
「hehehehe,揇腰交係無?好,還好,毋過,𠊎會贏哦。」
「そんな事はない。勝つのは、このつるぎ山だ!」
「無該種事,贏个人係刀山!」
「いいえ、意気地なしのあなたでは、わたしに勝てませんよ」
「毋係,像你恁無增志,毋可能贏𠊎。」
「勝てないかどうか、ためしてみるがいい!」
「會贏、會輸,試看就知!」
つるぎ山は、ドシン、ドシンと、しこをふんでから、貧乏神に組み付きました。
刀山doshin、doshin滾,開使蹬腳,揇等窮苦神。
そして全身に力を込めて、
用完身个力,
「えいっ!」
と、貧乏神を投げ飛ばしたのです。
「eid!」
聲、摎窮苦神擲出去。
「おみごと!あなたはきっと、大関になれますよ」
「還湛斗!你定著得著大關。」
貧乏神はそう言って、消えてしまいました。
窮苦神恁樣講後斯毋見忒。
そのとたん、つるぎ山の体に力がわいてきました。
該下,刀山歸身變到當有力。
力があふれ出て、自分でも強くなったのがわかります。
自家乜知當有力、變強了。
つるぎ山は元気いっぱいで、親方の家に帰りました。
刀山精神飽滿倒轉去師父屋下。
そしてつるぎ山はけいこをつんで、それから三年目、ついに大関になる事が出来たのです。
經過嚴格个訓練累積經驗,第三年,總算得著大關。
おしまい
煞咧
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