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福娘童話集 > 百物語 > 三月

3月10日の百物語
(3月10日的日本鬼故事)
ろくろ首を退治した坊さん

ろくろ首を退治した坊さん
飛天腦殼

日本語 ・日本語&中国語

♪音声配信(html5)
朗読者 ; 創作活動のサイト 『Web団 零点』

むかしむかし、回竜(かいりゅう)と言う、旅のお坊さんがいました。
到好久以前有一個喊回龍的雲遊和尚。

たまたま甲斐の国(かいのくに→山梨県)へ来た時、山道の途中で日が暮れてしまいました。
有天就遊到甲斐了(現山梨縣)、也差不多天黑、人就還到山路上。

「仕方がない。今夜はここで野宿するか」
也是只能先到野地裡面過一夜了。

回竜は、元は名のある侍で、怖い物知らずです。
回龍原來也是個拿刀砍人的狠腳色、還有點小名氣、不怕鬼神。

ゴロリと道ばたの草の上に寝ころぶと、そのまますぐにいびきをかき始めました。
隨便邏塊草皮一躺就開始打鼾了。

さて、どのくらい眠ったでしょう。
這是來了個人

「・・・もしもし。・・・もしもし」
喂喂

と、呼ぶ声に目を覚ますと、一人の木こりが立っていました。
和尚被喊起來、是個山上砍柴的。

「お坊さま、こんなところで寝ていてはいけませんよ。
和尚、這地方睡不得了。

この山には人を食う恐ろしい化け物がいて、何人もの旅人が襲われました。
山上有鬼、吃人。

よかったら、わたしたちの小屋へ来ませんか?」
你到我屋來算了。

「それはそれは、ご親切に」
那也是感謝。

回竜が木こりの後をついて行くと、山の中に一軒の粗末な家が建っていました。
和尚就跟到砍柴的、走到木頭房子裡去了。

家の中には案内してくれた男のほかに、三人の男と一人の女がいました。
屋裡面還有其他人、三男一女。

貧しい身なりをしているのに、どこか礼儀正しくて、とても木こりとは思えません。
都是群農民、還跟你客套三四的、有點不可思議。

そこで回竜は、思い切って尋ねてみました。
和尚就問了

「みなさんは、もしかして都の人ではありませんか?」
你們莫都是城裡人啊。

すると、一番年上の男が言いました。
最大的老杆子就港。

「はい、おっしゃる通り。
元は、都の侍でした。
你看出來了
我本來也是個佩刀的。


お恥ずかしい事ですが、訳あって人を殺してしまい、家来とともにこうして山の中に暮らしながら、自分の犯した罪を反省しているしだいです」
為點事就幫人殺了、也是和屋裡人一起躲到山裡面、也順便反省一哈、自身罪則。

「それは、よくぞ話してくれました。
你也真是肯港。

そういうお心なら亡くなった方も、きっとあなたたちを許してくださるでしょう。
你有這條心、別個也是可以安心走了。

わたしもお経をあげて、亡くなった方のめいふくを祈りましょう」
我也一起唸經幫你超度、你殺的人

そう言って回竜は夕食をいただいた後、夜遅くまでお経を呼んでいました。
吃完飯、晚上和尚也就開始念了。

もうすっかり夜もふけて、隣の部屋からは物音ひとつ聞こえてきません。
後面大夜、也都靜了。

「さて、そろそろわたしも眠るとするか」
和尚自己也準備睡了

回竜は立ちあがって、戸の破れから何気なく隣の部屋をのぞきました。
這就起身、剛好從門窗破口的地方看到隔壁屋。

「うん? ・・・これは!」
骸一跳。

回竜は、思わず息を飲み込みました。
不敢呼吸了

何と布団の中には、首のない体が五つ並んでいるではありませんか。
床上躺的五條人都是米得腦殼。

「さては、人食いお化けにやられたか。お気の毒に」
還以為他們是著鬼幫腦殼吃了。

回竜は恐ろしさも忘れて、部屋に飛び込みました。
跟到上前關心情況。

ところがどこにも血の跡がなく、どの体も動かされた様子がありません。
但是也米看到血啊、身上也是像米著動過。

「おかしいぞ?」
怪事

しばらく考え込んでいた回竜は、ふと、ろくろ首の話を思い出しました。
和尚就想問題、突然想到飛天腦殼。

首の伸びるろくろ首は、体から首を離して遠くへ散歩に行くと言います。
飛天腦殼可以持(伸)好長、還可以頭身分離、飛起來散步。

「さては、あの五人がろくろ首であったか。よし、もう二度と首が戻れない様に、こいつらの体を隠してやろう」
原來這五條都是鬼怪、我幫他們身體全收起來、讓他們邏不到、回不去。

回竜は床板をはがすと首のない体を次々と下へ投げ込み、元の様に床板をはめて外へ出ました。
和尚就幫地板揭開幫肉體甩進去、幫地板填回去之後就走出去了。

外には生暖かい風が吹いていて、その風に乗って人の話し声が聞こえてきます。
外面吹的是暖流、別個港話的聲音也被風帶過來。

回竜がその話し声の方に近づいていくと、五つの首が、あっちへゆらゆら、こっちへゆらゆら飛びまわりながら話していました。
靠近聲音的地方、五條腦殼飛這裡飛哪裡、邊飛邊港。

「あの坊主め、よく太っていて、なかなかうまそうじゃ」
一條和尚還敢這麼肥、看起來就好吃。

回竜を案内してきた、木こりのろくろ首が言いました。
港這話的就是帶和尚回來的砍柴鬼。

「しかし、いつまでもお経を読まれては、近寄る事も出来ん。
一直唸到經、暫時動不到他

だが、もうだいぶ夜もふけた。
這麼夜

今頃は、すっかり眠り込んでいるはずだ。
他現在也該睡了啊

誰か、様子を見て来い」
你看那個快去看哈。

一番年上のろくろ首が、言いました。
最大的鬼港。

すると女のろくろ首が、フワフワと飛んで行ったかと思うと、すぐに戻って来ました。
就去女鬼、馬上回來。

「大変です!
出事了!

坊主の姿が、見えません!
和尚不見了

それに、わたしたちの体がどこにも見当たらないのです!」
我們下半身也不見了。

「何だと!」
啊!

一番年上のろくろ首は、みるみる恐ろしい顔になりました。
老杆子鬼一哈變得好駭人

髪の毛を逆立てて、歯をむきながら目をつり上げる姿は、さすがの回竜もぞっとするほどです。
頭髮全豎起來的、牙齒持出來、眼睛鼓起來、不怕鬼的和尚看到估計都怕。

「体がなくては、死んでしまうぞ。こうなったら何としても坊主を探し出し、八つ裂きにしてくれるわ!」
下面不見我們就要死啊、快點幫和尚邏到起來、搞死他。

五つのろくろ首は、ものすごい顔で火の玉の様に飛び交い、回竜を探し始めました。
五條鬼腦殼就開始認真了、這就開始邏和尚。

回竜は、じっと木の後ろに隠れていましたが、ついに五つのろくろ首は回竜の姿を見つけ出しました。
等鬼邏到的時候、發現和尚是躲到樹後頭的。

「よくも、わしらの正体を見破ったな!」
被你發現了啊、和尚。

五つのろくろ首は、一度に回竜目掛けて飛びかかってきます。
腦殼就向到和尚來。

しかし回竜は、近くの木をすごい力で引き抜くと、
和尚幫樹一扯、提起來了。

「ふん! 昔取った杵柄(きねづか)! きさまら何ぞに、負けんぞ!」
我以前是搞甚麼的、看你們是都不曉得啊。

と、いきなり、一番年上のろくろ首を叩き落としました。
老杆子腦殼著這一哈、就落地上飛不起了。

「ぎゃーーーっ!」
叫聲

ろくろ首は、叫び声をあげて頭から血を流しました。
飛天腦殼慘叫、血狂冒。

「さあ、かかってこい!」
你們來啊!

回竜は木をブンブンと振り回して、ろくろ首を次々と叩きのめしていきました。
和尚像刷甚麼樣的、飛天腦殼一樹一個。

回竜にやっつけられた五つのろくろ首は、ふらふら飛びながら暗闇の中に消えていきました。
五條鬼打不贏一個和尚、最後也是都跑了。

回竜が山の家に戻ってみると、血だらけになった五つのろくろ首が、白い目をむいて転がっています。
和尚也跟到回去、五條腦殼像死魚一樣翻到哪裡的。

「さても、恐ろしい目にあったものだ。しかしろくろ首とはいえ、元は人間のはず。・・・成仏せいよ」
你們雖然是鬼、但也是人變的、我也是超度你們成佛。

回竜は五つのろくろ首に手を合わせると、夜明けの山道をゆっくりと下って行きました。
和尚行個禱告、也是慢慢從天剛亮的山路上下去了。

おしまい
结束

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