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12月17日の百物語

なぞなぞばけもの

なぞなぞ化け物

 むかしむかし、旅のお坊さんが、山のふもとの村にやって来て頼みました。
「どうか、一晩、泊めてくださらんか?」
 しかしどこの家も、お坊さんを泊めてくれません。
 そこでお寺はないかとたずねると、村人がこう言いました。
「あるにはあるが、あの荒れ寺には行かんほうがええ。
 あの寺には夜になると、なぞなぞをかける化け物が現れるんだ。
 そしてなぞなぞがとけんと、化け物に命を取られてしまう。
 今までに、何人の和尚(おしょう)が殺された事か」
 ところが旅のお坊さんは、怖がるどころかうれしそうに言いました。
「わしは、なぞなぞが大好きでな。化け物のなぞなぞをといて、化け物の正体を見破ってやろう」

 その夜、荒れ寺に着いたお坊さんが本堂でお経を唱えていると、どこからか生臭い風が吹いて来て、破れたしょうじに顔の長い化け物の影がうつりました。
 そしてお坊さんに、こう言ったのです。
「木へんに春の、ていてい小法師(こぼうし)はおるか?」
「そんな者は、おらん。お前は、誰じゃ?」
「トウヤのバズ。わしの正体を当ててみい」
「それは簡単。トウヤは、東の野原。バズは、馬の頭。つまり、東野の馬頭。お前は東の野原で死んだ、馬の頭の化け物であろう。引っ込め!」
 お坊さんに言い当てられた化け物は、
「ヒェーン!」
と、逃げてしまいました。

 しばらくすると、また生臭い風が吹いて来て、破れたしょうじに立派なヒゲを生やした化け物の影がうつりました。
「木へんに春の、ていてい小法師はおるか?」
「そんな者は、おらん。お前は、誰じゃ?」
「ナンチのダイリ。わしの正体を当ててみい」
「それは簡単。ナンチは、南の池。ダイリは、大きな鯉。つまり、南池の大鯉。お前は南の池で死んだ、大鯉の化け物であろう。引っ込め!」
 お坊さんに言い当てられた化け物は、
「ヒェーン!」
と、逃げてしまいました。

 しばらくすると、またまた生臭い風が吹いて来て、破れたしょうじにとさかのある化け物の影がうつりました。
「木へんに春の、ていてい小法師はおるか?」
「そんな者は、おらん。お前は、誰じゃ?」
「サイチクリンのヘンソクケイ。わしの正体を当ててみい」
 今度は少し難しいなぞなぞでしたが、お坊さんは少し考えて言いました。
「サイチクリンは、西の竹の林。ヘンソクとは、一本足。ケイは、鶏(ニワトリ)。つまり、西竹林の片足鶏。お前は西の竹やぶで死んだ、一本足のニワトリの化け物であろう。引っ込め!」
 お坊さんに言い当てられた化け物は、
「ヒェーン!」
と、逃げてしまいました。

 しばらくすると、またまた生臭い風が吹いて来て、破れたしょうじに立派なツノを生やした化け物の影がうつりました。
「木へんに春の、ていてい小法師はおるか?」
「そんな者は、おらん。お前は、誰じゃ?」
「ホクソウレイバのロウギュウズ。わしの正体を当ててみい」
「何だ、簡単すぎてつまらん。ホクソウレイバとは、北の葬礼場(そうれいば→おはか)。ロウギュウズは、年を取って死んだ牛の頭の化け物。つまり、北葬礼場の老牛頭。お前は北の葬礼場で死んだ、年寄りの牛の頭の化け物であろう。引っ込め!」
 お坊さんに言い当てられた化け物は、
「ヒェーン!」
と、逃げてしまいました。

「さて、これで東西南北の化け物が出つくしたわい」
 お坊さんが寝ようと横になると、今度は床下から生臭い風が吹いて来て、破れたしょうじに頭の大きな化け物の影がうつりました。
「やい、坊主。よくも、わしら化け物の正体を見破って、仲間を追い返したな!」
「お前は、誰じゃ?」
「木へんに春のていてい小法師とは、わしの事だ。さあ、正体を当ててみい」
「簡単、簡単。木へんに春は、『椿(つばき)』。ていてい小法師とは、わらをたたく木づちの呼び名。つまり椿の木で作られた、木づちの化け物であろう。引っ込め!」
 お坊さんに言い当てられた化け物は、
「ヒェーン!」
と、逃げてしまいました。
 そしてそれっきり、化け物は現れませんでした。

 翌朝、お坊さんを心配した村人たちが、荒れ寺にやって来ました。
 村人たちは、お坊さんが無事だったので、驚いた様子です。
「お坊さま、よくぞご無事で。化け物たちが、現れなかったですか?」
「出たぞ。東の野原で死んだ馬の頭や、南の池で死んだ鯉や、西の竹やぶで死んだ一本足のニワトリや、北のお墓のそばで死んだ牛の頭の化け物どもがな。
 その化け物どもが、寺の床下に住む椿の木づちに会いに来たが、わしが全ての正体を見破って追い返してやった。
 わしは今からそれらを残らず拾い集めて、ねんごろにとむらってやるつもりだが、お主たちも手伝ってくれんか」
 お坊さんはそう言って床板を外すと、このお寺を作る時に使われたきり置き忘れられた椿の木の木づちを取り出しました。

 人に使われていた道具は、忘れたままにされると魂が宿って化け物になると言われています。
 また、誰にも知られる事なく死んだ動物たちも、化け物になる事があると言われています。

 お坊さんは村人たちと一緒に化け物になった四匹の死体を集めると、木づちと一緒に供養をしてやりました。

 そしてお坊さんは村人たちに頼まれて、このお寺の和尚さんになったそうです。

おしまい

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