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      福娘童話集 > 日本の民話 その2  > 8月の日本民話 
      8月17日の日本民話 2 
          
          
         
源治のタヌキ石 
三重県の民話 → 三重県情報 
      
       むかしむかし、百姓(ひゃくしょう)の源治(げんじ)の庭に、大きな石がありました。 
 この石は大変重たいので、二、三人で力を合わせないとビクともしませんが、時には一人でも軽々と運べるというから不思議です。 
 
 ある日の事、源治がこの石の上に腰をかけて一休みしていると、その石が突然しゃべったのです。 
「源(げん)さん、源さん、わしをこの庭にいつまでも置いておくれよ」 
 それを聞いた源治は、気味が悪くなって 
(こんな薄気味悪い石は、河原(かわら)にでも捨てるか。それとも、どこかの石と交換(こうかん)してもらおうか) 
と、考えました。 
 そこで源治は、隣村の石屋(いしや)の岩八(いわはち)の所へ行って、 
「岩八さん、わしの家の庭に大きな石があるが、引き取ってはくれんかね?」 
と、言いました。 
 岩八はすぐに源治の家に行き、その石を見に来ました。 
「おや、一人で来たのかい? この石はとても一人や二人で持てませんよ」 
 源治が言うと、岩八は、 
「どれどれ」 
と、試しに押してみると、石は簡単に動きました。 
「おや? 見かけによらず軽い石だな。これなら、わし一人でも大丈夫だ」 
 そう言って持ち上げようとすると、今度はビクともしません。 
「はて、おかしいな」 
 そこで岩八は仲間を三人連れて来て、四人で石を運んで行く事にしました。 
「よし、これで大丈夫だ。源治さん、今度はもっと美しい石を代わりに持って来るから、楽しみにな」 
 そう言って岩八が石を持って帰ろうとすると、その石が、 
「源治の庭へ、帰してくれ!」 
と、大声で叫んだのです。 
「ウヒャー! 石がしゃべった!」 
 岩八は驚いて、石を元の所へ運び返したという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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