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9月22日の世界の昔話
幸せになった、のらネコ
アメリカの昔話 → アメリカの国情報
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
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制作: ユメの本棚
むかしむかし、子どものいない、おじいさんとおばあさんがいました。
ある日、おばあさんが言いました。
「おじいさん、家には子どもがいないから、せめてかわいそうなのらネコを一匹飼(か)ってやろうではありませんか」
「それはいい考えだ。よし、わしが探してこよう」
おじいさんはそう言うと、のらネコ探しに出かけました。
歩いていくと、向こうから白くてかわいらしいネコがやって来ました。
「おや? おおっ、なんてかわいいネコだ。おいで、おいで」
「ニャオ」
おじいさんはネコを抱きあげる、ネコの首を見ました。
「おや、首にスズか。お前は、のらネコじゃないね。残念だけど、わしはのらネコを探しているんだ」
おじいさんは白いネコを下におろすと、また歩き出しました。
それからずいぶんと歩きましたが、どうした事か、のらネコがまったく見つかりません。
「ああっ、くたびれた」
おじいさんが公園のベンチで休んでいると、あちこちからネコたちが集まってきて、
「ニャア、ニャア、ニャア、ニャア」
と、おじいさんを取りかこみました。
実はこのネコたち、さっきの白い飼いネコから、のらネコを探しているおじいさんがいると聞いて集まってきたのです。
「ニャアー、ニャアー、ニャアー(おじいさん、ぼくたちはのらネコです。飼ってください)」
集まって来たネコたちには、三毛(みけ→ネコの毛色で、白・黒・茶の3色の毛がまじっているもの)もいますし、白いのも、黒いのも、ぶちも、大きいのも、小さいのもいます。
「これは、たくさんいるね。一匹、二匹、三匹・・・。なんと、千匹もいるぞ。これだけいると、わしには決められないな。家に帰って、おばあさんに決めてもらおう」
おじいさんは千匹のネコたちを連れて、家に帰りました。
おばあさんは、おじいさんのあとから千匹のネコたちが庭に入って来たのでビックリです。
「まあ、まあ、たくさんのネコですこと」
「なあ、おばあさん。どのネコを、家で飼おうか?」
のらネコたちは自分を飼ってもらおうと、仲間を押しのけて前に出てきました。
「ニャン、ニャン(おばあさん、わたしが一番きれいですよ)」
「ニャア、ニャア(いいえ、あたしが一番よ)」
「ニャーォ、ニャーォ(おいらの声は、とってもいい声だぜ)」
「ニャーゴ、ニャーゴ(ぼくは、ネズミを捕るのが得意ですよ)」
ネコたちは、とうとうけんかをはじめました。
ニャア、ニャア、フギャ、フギャ、ギャオ、ギャオと、もう大変な騒ぎです。
おばあさんは、あきれて言いました。
「けんかをするネコは、飼う事は出来ません。もう、お帰りなさい」
「フニャー(何だ、つまんないの)」
千匹のネコたちは、すごすごと帰っていきました。
するとその一番最後に、やせこけたぶちネコがいました。
このぶちネコは、みんながけんかをしている間、
「ミャー、ミャー、ミャー(ぼくなんか、やせっぽちでみにくいから、だめだろうな)」
と、庭(にわ)の木のかげで、ションボリとしていたのです。
そのやせこけたぶちネコを見て、おばあさんが言いました。
「おじいさん、あんなにやせたネコがいますよ」
「本当だ。きっとおとなしいからエサを取れずに、あんなにやせてしまったのだろう。・・・どうだい、あのネコを飼ってやっては」
「ええ、そうしましょう」
おじいさんとおばあさんは、やせこけたぶちをお湯できれいに洗うと、家の中へ入れてやりました。
こうしてぶちは、おじいさんとおばあさんにかわいがられて幸せに暮らしました。
おしまい
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