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5月30日の世界の昔話
  
  
  
  金貨のはいったさいふ
  フランスの昔話 → フランスの国情報
 むかしむかし、わかいオンドリが、金貨の入ったさいふを見つけました。
   けれど食いしんぼうのオンドリは、お百姓のおかみさんのさしだしたムギつぶやおかしと、金貨の入ったさいふをとりかえてしまいました。
   それを聞いたお父さんニワトリは、たいへんおこって、
  「さいふをとりもどしてこい!」
  と、いいました。
   オンドリがションボリ歩いていくと、オオカミにあいました。
   オンドリは、いいことを思いつきました。
  「ねえ、オオカミさん、きみにムギつぶになってほしいんだ。そして、ぼくのおなかの中に入ってほしいんだ」
   わけを話してたのむと、オオカミはムギつぶにすがたをかえて、オンドリはそれをのみこみました。
   少し行くと、こんどはキツネにあいました。
   そしてキツネもなかまになり、キビつぶにすがたをかえると、オンドリのおなかに入りました。
   またすすんでいくと、川に出ました。
   川もなかまになり、砂つぶになって、オンドリのおなかの中に入りました。
   オンドリはお百姓の家につくと、ありったけの声でさけびました。
  「ぼくの金貨の入ったさいふをかえしてくれ!」
   すると、お百姓とおかみさんは、オンドリをウシ小屋にとじこめました。
   とたんに、おなかの中にいたオオカミがとびだして、ウシをおなかいっぱいに食べると、にげていってしまいました。
   つぎの朝、それを見たお百姓たちはなきわめき、オンドリをニワトリ小屋にとじこめました。
   するとこんどは、キツネがおなかの中からとびだして、ニワトリをぜんぶ殺してさっさとにげていきました。
   まっ赤になっておこったおかみさんは、オンドリをかまどの中になげこみました。
   とたんに川がとびだして、お百姓の家も畑もおしながしました。
   おぼれてはたいへんと、お百姓たちもにげだしました。
   オンドリは、やねの上にとびあがってよろこびました。
   それからお百姓の家の中に入って、とうとう金貨の入ったさいふを見つけたのです。
おしまい