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福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 酒の井戸
2014年11月24日の新作昔話
酒の井戸
千葉県の民話 → 千葉県の情報
むかしむかし、年老いた父親と孝行息子が住んでいました。
父親が大の酒好きだったので、親思いの息子は毎日一生懸命働いて、父親に酒を買って帰ったのです。
そんなある日の事、どうしても酒を買うお金が作れなかった息子は、がっかりする父親の顔を思い浮かべながら、とぼとぼ重い足取りで家に帰っていきました。
すると道端の井戸から、何とも良い香りが漂ってくるのです。
「この香りは、酒のようだが」
そこで息子が井戸の水を汲んで舐めてみると、それは何と本物の酒だったのです。
息子がさっそくその酒を家に持って帰ると、一口飲んだ父親は、
「これはうまい酒だ!」
と、とても喜んでくれました。
それから息子は、毎日毎日、井戸から酒を汲んで父親に飲ませたそうです。
ところが不思議な事に、この酒は親子以外の人間が飲むと、ただの水になってしまうのです。
「これはきっと、孝行息子の真心が天に通じたからに違いない」
この話しが広まり、村はいつしか『酒々井』と呼ばれるようになったそうです。
円福院跡には酒々井の地名の起源について記された酒の井の碑が残されているそうです。
おしまい
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