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1月29日の日本の昔話
(1月29日的日本故事)
イラスト thin-p@A'sf
聴き耳ずきん
翻譯頭巾
・日本語 ・日本語&中国語 ・客家語 ・日本語&客家語
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、周りをグルッと山で囲まれた山奥に、一人のおじいさんが住んでいました。
好久好久以前、有條老人家住到山裡面、又有好多山圍到他這座山。
おじいさんは毎日朝になると、しばを入れるしょいこを背負い山へ入って行きました。
老人家每天早上就背到裝柴籃子上山。
そして、一日中しばを刈っているのです。
一天一夜都到砍柴。
今日もしばを一杯背負い、山から出て来ました。
今天也是幫籃子裝滿才下山。
「さて、ボツボツ帰るとするか。うん? あれは何じゃ?」
おじいさんが帰ろうとすると子ギツネが一匹、一生懸命木の実を取ろうとしていました。
「はて、キツネでねえだか」
この子ギツネ、足が悪いらしく、いくら頑張ってもうまく木の実が取れません。
才剛準備下山
就剛看有一條狐狸
他想吃樹上的東西
但是它腿有點問題
就是摘不落來樹上的東西。
「よしよし、わしが取ってやろう。・・・よっこらしょ。さあ、これをお食べ。それじゃあ、わしは行くからな」
老人家看到狐狸這條樣子就幫果子摘了過狐狸吃了。
子ギツネは、おじいさんの親切がよほど嬉しかったのか、いつまでもいつまでも、おじいさんの後ろ姿を見送っていました。
小狐狸也是得了果子吃、看到老人家走、它就一直到後面看到。
そんなある日、おじいさんは町へ買い物に出かけましたが、帰りがすっかり遅くなってしまいました。
老人家有一天出去買東西、時間太久趕不回去。
「急がなくては」
すっかり暗くなった日暮れ道をおじいさんが急ぎ足でやってきますと、丘の上で子ギツネが待っていました。
老人家就急到往屋走、這天已經開始黑了、剛好坡上就有條小狐狸像是等到他一樣的。
「あれまあ、こないだのキツネでねえだか」
這不是之前的那條嘛、老人家還認出來了。
何やら、しきりにおじいさんを招いている様子です。
おじいさんは、キツネの後をついて行きました。
狐狸好像是想幫老人家往甚麼地方帶
老人家也就到後面跟到狐狸。
子ギツネは悪い足を引きずりながら、一生懸命におじいさんをどこかへ案内しようとしています。
因為這狐狸它之前也是踋不怎麼好、走起來也是顛簸。
ついたところは、竹やぶの中のキツネの住みかでした。
狐狸是幫老人家帶到自己屋裡面去了。
「ほう、ここがお前の家か」
キツネの家にはお母さんギツネがおりましたが、病気で寝たきりの様です。
お母さんギツネが、何度も何度もおじいさんにおじぎをしています。
息子を助けてもらったお礼を、言っている様に見えました。
喔、你們就住到這裡啊。
這些狐狸是一屋
大點的那一條母的、好像有甚麼病、就一直趴到
但是好像是認得到老人家的樣子
可能是因為小狐狸的原因
そのうち、奥から何やら取り出して来ました。
それは、一枚の古ぼけたずきんでした。
「何やら汚いずきんじゃが、これをわしにくれるというのかね。では、ありがたく頂いておこう」
おじいさんは、お礼を言ってずきんを受け取ると、元来た道を一人で帰って行きました。
子ギツネは、いつまでもおじいさんを見送りました。
老人家到了狐狸屋
狐狸還送的有老人家一個東西。
那是一條看起來好舊的頭巾
也不怎麼乾淨
但是也是狐狸送的
老人家也就接了
也蠻感激的
走的時候
小狐狸就一直到後面看。
さて、あくる日の事。
おじいさんが庭でまきを割っていますと、ヒラリと、足元に何かが落ちました。
「これはゆんべ、キツネからもらったずきんじゃな。・・・ちょっくらかぶってみるか」
おじいさんはずきんをかぶって、またまき割りを始めました。
すると、
第二天一早
老人家又繼續砍柴
踋旁邊一個東西落了落來
就是昨天狐狸送的頭巾
老人家試到戴了一哈
又開始砍起柴來了
「家の亭主ときたら、一日中、巣の中で寝てばかり。今頃は、すっかり太り過ぎて、飛ぶのがしんどいなぞと言うとりますの」
「ほう、痩せのちゅん五郎じゃった、おたくの亭主がのう」
何やら聞いた事もない話し声が、おじいさんの耳に聞こえて来ました。
我屋裡的那條、一天只曉得睡、現在都飛起來都辛苦。
我屋那條是瘦的個卵卯翻天。
老人家耳朵裡面不曉得為甚麼出現這些。
「はて、確かに話し声がしたが、誰じゃろう?」
家の中をのぞいて見ましたが、誰もいません。
「裏林のちゅん吉が、腹が痛くてすっかり弱っとるそうじゃ」
「それは、木の実の食べ過ぎじゃあ」
おじいさんは、また声に気がつきました。
旁邊也沒看到人、但又有港話的聲音。
老人家又聽到了
好像是港林子裡面有那條鳥東西吃太多、
肚子痛沒力氣。
「おかしいのう。誰か人がいるようじゃが、・・・やっぱり誰もおらん」
應該是有人、但是又看不到。
おじいさんは家をグルリと一回りして、ヒョイと上を見上げました。
幫屋裡都盤查了一邊、這一抬頭看天上、
「うん? もしかしたら、このずきんのせいでは」
是不是我這個頭巾喔?
おじいさんは、ずきんを脱いだりかぶったりしてみました。
老人家脫了又帶帶了又脫。
「やはりこれか」
キツネがくれたこのずきんは、これをかぶると動物や草や木の話し声が聞こえるという、不思議なずきんだったのです。
真的是。
這條頭巾可以聽到動物和植物他們港話。
おじいさんはキツネがこんなに大切な物を自分にくれた事を、心からうれしく思いました。
老人家也米想到狐狸跟自己過得是這麼好的東西、笑了個卵卯翻天、狐狸甚至幫這麼重要的東西都跟自己過了。
さて次の日から、おじいさんは山へ行くのがこれまでよりも、もっともっと楽しくなりました。
這之後的每一天、老人家上山砍柴都好開心。
ずきんをかぶって山へ入ると、小鳥や動物たちの話し声がいっぱい聞こえてきます。
包到頭巾、每天聽他們港甚麼。
枝に止まって話している小鳥。
木の上で話しているリス。
みんな楽しそうに、話しています。
鳥啊、松鼠啊、還有一些、每天港的話都好有味
おじいさんは山でしばを刈りながら、小鳥や動物のおしゃべりを聞くのが楽しくて仕方ありません。
老人家每天上山砍柴、他就喜歡聽這些。
「わたしゃ、喉を傷めて、すっかり歌に自信がなくなっちまった」
「そんな事ございませんよ。とっても良いお声ですわ」
「そうかな、では、いっちょう歌おうかな」
何と、虫の話し声まで聞こえるのです。
おじいさんはこうして、夜通し虫たちの歌声に耳を傾けていました。
一人暮らしのおじいさんも、これで少しもさびしくありません。
老人家他聽到
一條蟲港他喉嚨不舒服怕自己唱歌不好聽
但是另外一條又讓他唱
老人家他就聽了一夜
一個人住也米的一點孤單的感覺。
そんなある日の事。
おじいさんが山からしばを背負って下りて来ますと、木の上でカラスが二羽、何やらしゃべっています。
有一天
老人家背柴下山
看到樹上的兩條烏鴉好像在港甚麼
おじいさんは聴き耳ずきんを取り出してかぶり、耳をすましますと、
老人家就幫頭巾取出來帶到。好甚聽到
「長者(ちょうじゃ)どんの娘がのう」
「そうよ、もう長い間の病気でのう。この娘の病気は、長者どんの庭にうわっとるくすの木のたたりじゃそうな」
地主他屋女好像是得病了
原因是院裡面种的一根楠樹
「くすの木のたたり? 何でそんな」
「さあ、それはくすの木の話を聞いてみんとのう」
聽港是被楠樹詛咒
老人家這就準備去聽哈子
看樹怎麼港
カラスのうわさ話を聞いたおじいさんは、さっそく長者の家を尋ねました。
長者は、本当に困っていました。
老人家就這麼往地主屋裡面去了
地主看起來是真的著急
一人娘が、重い病気で寝たきりだったからです。
おじいさんはその夜、蔵の中に泊めてもらう事にしました。
地主也就一個女、現在也是到床上不可以起來。
晚上老人家就睡到倉庫裡面
ずきんをかぶって、待っていますと。
帶起頭巾、就那麼一直等到。
「痛いよー。痛いよー」
蔵の外で、くすの木の泣き声らしきものが聞こえます。
這就聽到外面楠木到喊痛
くすの木に、なぎの木と、松の木が声をかけました。
梛樹和松樹就問啊、問楠木為甚麼要喊痛、又到哭。
「どうしました、くすの木どん?」
「おお、こんばんは。まあ、わたしのこの格好を見て下され。新しい蔵がちょうど腰の上に建ってのう。もう、苦しゅうて苦しゅうて」
楠木他就港
其實是因為建的新的倉庫、新倉庫這就港好卡到楠木腰上、一直壓到它。
「それは、お困りじゃのう」
「それでのう、わしは、こんな蔵を建てた長者どんを恨んで、長者どんの娘を病気にして困らせているんじゃ」
其他樹木也表示同情
楠樹他就繼續港
港他恨幫倉庫建到自己腰上的地主、楠木也要讓地主的女也和它一樣、讓地主心裡也不舒服。
蔵の中のおじいさんは、くすの木たちのこの話を聞いて、すっかり安心しました。
(蔵をどかしさえすれば、娘ごの病は必ず良くなる)
這些都被倉庫裡面的老人家聽到了
不過曉得原因他也安心了
這麼到只要幫倉庫移個地方
地主他女的病也肯定可以好了
次の日。
おじいさんは、長者にこの事を話しました。
長者は、すぐに蔵の場所を変える事にしました。
第二天
老人家就把這個事跟地主港
地主也是跟到就把倉庫移了個地方
それから何日かたって、蔵の重みが取れたくすの木は、元気を取り戻して青い葉をいっぱいに茂らせたのです。
那後面、楠樹也不得被倉庫壓到了、一哈就長出和之前一樣的葉子。
長者の娘も、すっかり元気になりました。
長者は大喜びで、おじいさんにいっぱいのお宝をあげました。
地主他女也是可以下床了
地主他也開心、就跟老人家過好多好多財寶。
「これは、キツネがくれたずきんのおかげじゃ。キツネの好物でも買ってやるべえ」
おじいさんはキツネの大好きな油あげを買って、山道を帰って行きました。
老人家曉得這都是狐狸跟他過的頭巾才有的結果
就跟狐狸帶了好多喜歡吃的油豆腐
往狐狸那條坡去了
おしまい
结束
※ この「聴き耳ずきん」の朗読とイラストは、以下の方々よりご提供を受けております。
おはなしパタくん 2009年2月3日号
日本の昔話「聴き耳ずきん」
http://patakun.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-f57e.html
出演:山口真依
音楽・演出・イラスト:thin-p@A'sf
企画・制作:A'sf
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A'sf へのリンク
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