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1月31日の日本の昔話
泣きべそしゃれこうべ
むかしむかし、ひとりの百姓(ひゃくしょう)がとなり村から家へかえるとちゅう、日がくれたので、近道の墓場の中をとおりました。
すると、なにやらゴロンとしたものをふんづけました。
「やい、よくも、おれのつらをふみおったな!」
おどろいた百姓が、月あかりにすかして見ると、なんと、しゃれこうべ(→ガイコツの頭)をふんづけてしまったのでした。
しゃれこうべが、またどなりました。
「この百姓め、たたってやるぞ!」
ところが百姓も気の強い男で、はんたいにどなりつけました。
「やい、やい。いつおれが、きさまのようなやつに、こんなところでとおせんぼをしろとたのんだ。ひっこめ!」
しゃれこうべも、まけてはいません。
「ひっこめといったって、おれひとりではどうにもならん。イヌのやつが、おれをこんなところへはこんできたんだ。なにもすきこのんで、ここにいるわけじゃあない」
「そんならどうして、おまえをここにはこんできた、イヌのやつにたたらないんだ」
するとしゃれこうべは、ため息をついて。
「あいつらはしょっちゅう、墓場をうろついて、おれたちをひどいめにあわすんだ。ところがイヌでは、たたるにもたたれん。あのれんちゅうときたら運勢(うんせい)がつよすぎて、おれにははがたたないんだ」
「なんだと。それじゃあ、この百姓さまは、イヌよりも運勢がよわいというのか。やい、しゃれこうべ。きさま亡者(もうじゃ→じょうぶつできない死人)のくせして、イヌはつよいからたたらんで、百姓はよわいからたたろうってのか。とんでもねえりょうけんだ!」
「そ、そういわれても・・・」
しゃれこうべは、泣き声になってきました。
「どうか、このあわれな亡者をせめないでください。あんたは、なんて運勢のつよいお方だ。とてもとても、たたるなど思いもよりません。どうかあわれと思って、穴の中へうめてください。おんにきますから」
「おんにきる? アハハハハハッ。おれはおまえのような泣きべそに、おんをきせようとは思わんわい」
百姓はふりむきもせず、さっさと、家のほうへかえっていきました。
いじわるせずに、うめてあげればいいのにね。
おしまい
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