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2月18日の日本の昔話

かめかつぎ

かめかつぎ
㧡石

日本語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。


あるお正月の事です。

有一年過年个時節,

町へ行った吉四六さんは瀬戸物屋へ立ち寄って、十枚ひと組の皿を五十文で買って来ました。

去街路个吉四六先生,順續去缶仔店,用五十文去買一組十垤个盤仔,


ところが
ってえてみると、十枚あるはずが九枚しかありません
毋過等佢轉到屋下拿出來看,應該十垤變到九垤定定。


瀬戸物屋の主人の重兵衛
(じゅうべえ)が、数え間違えたのでしょう。
缶仔店个頭家重兵衛算毋著敢。


重兵衛はへそ曲がりで有名でしたが、吉四六さんとは顔見知りだったので、二、三日たって町へ行ったついでに店に立ち寄り、

重兵衛搞怪有名,摎吉四六先生當熟識,二、三日後去街路順續去缶仔店,

「重兵衛さん、この間買った、十枚ひと組の皿の事だが、家に戻って数えてみたら一枚少なかったよ」と、言いました。

摎頭家講:「重兵衛先生,這二日在你這買一組十垤个盤仔,轉屋下打開來算正九垤定少一垤。」

ところが重兵衛は、

「そうかい、それは気の毒でしたなあ。じゃ、代金は九枚分だけもらっておくよ」
と、いつもと違って、ニコニコしながら言いました。

毋過重兵衛摎頭過無共樣,笑笑講:

「有影無?該還遺憾哦。𠊎斯收你九垤盤仔个貨款定。」


「おや?重兵衛さん、今日はやけに話が分かるねえ。まあ、代金は九枚分にしなくてもいいから、足りなかった分の皿を一枚もらって行くよ」

「啊?重兵衛先生,今晡日聽毋識你講个話。好啦、貨款係毋係九隻分無相干毋罅一垤𠊎拿走哦。」

そう言って、同じ皿を一枚取った吉四六さんが店を出ようとすると、重兵衛さんがあわてて引き止めました。

恁樣講後,吉四六先生就拿一垤共樣个盤仔,行出店仔,重兵衛先生煞煞摎佢擋下來,

「おいおい、吉四六さん、ちょっと待って!」

「噯噯!吉四六先生等下!」


「なんだい?」

「做麼个?」


「あんた、皿を泥棒するつもりか?ちゃんと皿の代金を置いて行きな」

「你,想愛偷盤仔係麽?買盤仔个錢放等正走!」


さっきとは違って怖い顔の重兵衛さんを見て、吉四六さんは思いました。

看到重兵衛變面,吉四六先生想

(やれやれ、やっぱり本性を現してきたな)

(總算,本性表現出來。)

吉四六さんは、わざと不思議そうな顔をして言いました。

吉四六先生挑挑詐毋知講:

「皿の代金だって? ちゃんとこの間、五十文を払ったじゃないか」

「盤仔錢?前幾日付五十文分你了敢毋係?」


すると重兵衛は、皿の値段が書いた張り紙を突き出して言いました。

重兵衛摎寫等盤仔錢个紙條,拿出來堵分吉四六先生,講:


「この張り紙を読んでみな。

這張紙請看清楚

お前が買った皿は十枚ひと組だと五十文だが、バラ売りだと一枚が六文と書いてあるだろう。

你買个盤仔若係十垤一組五十文,零賣一垤六文錢,寫到清清楚楚,有無?

だから九枚では五十四文。

所以九垤愛五十四文錢,

それに今日の一枚が六文で、合わせて六十文だ。

加今晡日一垤六文總共六十文錢,


この前の五十文を差し引いても、まだ十文が足りないじゃないか」

扣忒前回五十文錢還差十文錢。」


「なるほど、確かに十文足りないな。こいつは、まいった」

「有影,確實毋罅十文錢,這個人,𠊎輸你。

さすがの吉四六さんも、してやられたとばかりに頭をかいて、いさぎよく十文を払いました。

吉四六就係吉四六,分人騙到緊抓頭那,拿十文錢分佢較了利。


「では、代金の十文」

「該就,十文錢拿去!」


代金を受け取った重兵衛は、

拿到錢个重兵衛講:


「どうだい、吉四六さん。あんたも商売上手と聞くが、本当の商売上手とは、おれみたいな者を言うんだよ。あはははははっ」

「仰般,吉四六先生,聽講你乜係當會做生理,真經會做生理个人愛像𠊎恁樣,啊哈哈...

と、大笑いしました。


「・・・!!!」

「・・・!!!」

この大笑いさえなければ、吉四六さんは素直に帰ったのですが、この事が吉四六さんのとんちに火を付けたのです。

假使無在該毋大聲笑,吉四六先生可能斯轉去,這笑聲激發吉四六先生个伶俐想法。


「いや、まったく、あんたにはかなわないなあ。・・・して、ときに重兵衛さん、このかめはいくらするかね?」

「無哪、完全比毋過你哪!...毋過重兵衛先生,這石龜愛賣幾多錢?」

吉四六んはそう言って店先に立ててある、大きなかめを指差しました。

吉四六先生講煞,斯企在店仔頭前,用手指該大石龜。

それは一人ではとてもかつげないほどの、大きなかめです。

該係一儕人罅㧡、盡重个大龜仔。


「ああ、それなら一両だ」

「啊,該愛一兩!」

「安い! 一両とは安いなあ。じゃあ、今日はこのかめも買って帰るとするよ」

「便宜!一兩定定,便宜哪!恁樣,今晡日順續摎龜仔買轉來去。」


「おいおい、吉四六さん、買ってもらうのはありがたいが、こんな大きなかめを、お前一人でかつげるものか」

「噯噯,吉四六先生,盡承蒙你摎𠊎買東西,毋過該大石龜你一儕人敢㧡得贏。」


「なに、平気だよ」

「麼个,放心啦。」

「平気じゃない。三人がかりで、やっと運んで来た代物だぞ」

「無辦法放心,請三儕搬過來个東西。」

「大丈夫。これくらいの物がかつげないようでは、百姓は出来ないよ」

「無問題,這一息仔東西毋贏,還算麽个耕種人。」


「ほう、こりゃ面白い。もしお前さん一人でこのかめがかつげたら、代金はいらん。ただでやろう」

hou,這還生趣,若係你一儕人㧡得贏該大石龜,毋使錢,免費送分你。


そりゃ、本当かい?」

「正經?」


「本当
だとも

斷真!」


「よし、ではかついでみせるよ」

「好,𠊎㧡看哪!

きっちょむさんはそう
うと、近くにあった両手げました

吉四六先生講煞就雙手拿起唇頭个石牯。

「おいおい、吉四六さん。それで一体、何をするつもりだ?」

「噯噯!吉四六先生你到底愛做麽个?」

「なに、このままでは持ちにくいから、この石でかめを粉
にしてやるのさ。そうすりゃあ、何回かに分けて持って帰れるだろう」

「確定,完隻較難㧡,用這石牯,恁樣做得分幾下到來㧡,斯做得㧡轉去。


「あっ、そうきたか!」

「啊,恁仰哦!」


「じゃあ、ここで割らしてもらうよ」

「來、捶分龜仔碎來。

そう言って再び石を持ち上げる吉四六さんを、重兵衛さんはあわてて止めました。

重兵衛煞煞摎又拿起石牯个吉四六擋:

「まて、待ってくれ!」

「等下!」

「いや、待てぬ。今すぐ持って帰るのだから」

「毋,毋等了,想愛這下黏時㧡轉來去。


「しかしそれでは、一両を失ったのと同じだ。いくら何でも、そんなもったいない事は」

「毋過該摎了忒一兩共樣,仰般講就係盡打爽。」


「よし、ではこのつぼを売ってやるよ。一両のところを、たったの百文でどうだ?それがいやなら、ここで割るぞ」

「好,這隻壺仔賣你,值一兩賣你一百文就好,愛麼?若係無愛,該就將龜仔打爛來。」

重兵衛さんは仕方なく、自分の負けを認めました。

重兵衛無法度,認輸。

「ま、まいった。そのつぼを百文で買わせてもらうよ。・・・とほほ、やっぱり吉四六さんは、商売上手だ」

「輸、輸你,用一百文錢摎你買該壺仔。...,還係吉四六先生較會做生理。」


こうして吉四六さんは重兵衛さんから百文を受け取ると、ホクホク顔で帰ったのでした。

吉四六先生得到重兵衛先生一百文錢,歡頭喜面轉屋下去。

 

おしまい

煞了

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