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3月1日の日本の昔話
ツルの恩返し
白鶴報恩
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福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
♪音声配信(html5) |
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音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
むかしむかし、貧しいけれど、心の優しいおじいさんとおばあさんがいました。
頭擺頭擺,有一個非常貧苦但係心肝當好、盡慈祥个老阿伯摎老伯姆。
ある寒い冬の日、おじいさんは町へたきぎを売りに出かけました。
有一隻冷天當冷个一日,老阿伯出去街路賣樵,
すると途中の田んぼの中で、一羽のツルがワナにかかってもがいていたのです。
半路田中央,有一隻白鶴分捕獸網網著,當當在該奮。
「おお、おお、可愛そうに」
「唉哦!還衰過哪!」
おじいさんは可愛そうに思って、ツルを逃がしてやりました。
老阿伯想著恁衰過,斯摎白鶴放走。
するとツルは、おじいさんの頭の上を三ベん回って、
過後,白鶴斯在老阿伯頭那頂捩三輪。
「カウ、カウ、カウ」
「呱!呱!呱!」
と、さもうれしそうに鳴いて、飛んで行きました。
像人盡歡喜樣叫三聲就飛走去。
その夜、日暮れ頃から降り始めた雪が、コンコンと積もって大雪になりました。
該暗晡,自臨暗仔開始落个雪,緊堆緊多續變大雪。
おじいさんがおばあさんにツルを助けた話をしていると、表の戸を、
老阿伯摎佢今晡日救白鶴个事情講分老伯姆聽个時節,
トントン、トントン
と、叩く音がします。
聽著前門有人ton ton滾搉門。
「ごめんください。開けてくださいまし」
「失禮,請你開門!」
若い女の人の声です。
係後生細妹仔个聲。
おばあさんが戸を開けると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。
老伯姆開門看到一個細妹仔滿頭那白雪企在該。
おばあさんは驚いて、
老伯姆著驚一下。
「まあ、まあ、寒かったでしょう。さあ、早くお入り」
と、娘を家に入れてやりました。
「好!好 !盡冷知無,遽遽落來。」
喊細妹仔落屋肚來。
「わたしは、この辺りに人を訪ねて来ましたが、どこを探しても見当たらず、雪は降るし、日は暮れるし、やっとの事でここまでまいりました。ご迷惑でしょうが、どうか一晩泊めてくださいまし」
「𠊎來這就近拜訪朋友,毋過滿哪仔都尋無,落雪,又暗了,好得尋著這,盡麻煩你,做得分𠊎 歇一暗晡無?」
娘は丁寧(ていねい)に、手をついて頼みました。
細妹仔當客氣伏在地泥下拜託。
「それはそれは、さぞ、お困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」
「該,該,實在無結煞,你若係無嫌這位所,請你毋使客氣留下來過夜。」
「ありがとうございます」
「承蒙你!」
娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどをして働いて休みました。
細妹仔當歡喜,該暗晡𢯭手煮夜還有撿揫好勢正去歇睏。
あくる朝、おばあさんが目を覚ますと、娘はもう起きて働いていました。
第二朝晨老伯姆睡醒就看著細妹仔早就䟘床做事咧。
いろりには火が燃え、鍋からは湯気があがっています。
地爐个火起著咧,鑊肚个燒水煮滾咧。
そればかりか、家中がきれいに掃除されているのです。
還毋只這兜,屋乜拚著清俐清俐咧。
「まあ、まあ、ご飯ばかりか、お掃除までしてくれたのかね。ありがとう」
「好,好,毋單淨飯煮好了連屋又掃淨,承蒙你!」
次の日も、その次の日も大雪で、戸を開ける事も出来ません。
第二日後連續落幾下日雪,門續打毋開。
娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。
細妹仔摎老阿伯个肩頭捉龍。
「おお、おお、何て良く働く娘さんじゃ。何て良く気のつく優しい娘さんじゃ。こんな娘が家にいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」
「哦!哦!恁會做事个細妹仔。性體還好个細妹仔,屋下有個這種細妹仔毋知有幾何哦!」
おじいさんとおばあさんは、顔を見合わせました。
老阿伯、老伯姆你看𠊎𠊎看你。
すると娘が、手をついて頼みました。
細妹仔伏等拜託:
「身寄りのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」
「無親無戚个細妹仔,請兩位老人家收留𠊎。」
「おお、おお」
「哦,哦!」
「まあ、まあ」
「好,好!」
おじいさんとおばあさんは喜んで、それから三人貧しいけれど、楽しい毎日を過ごしました。
老阿伯、老伯姆當歡喜,以後三儕雖然貧苦,毋過逐日過著盡快樂。
さて、ある日の事。
過後有一日
娘が機(はた)をおりたいから、糸を買ってくださいと頼みました。
細妹仔想愛用織布機織布,拜託老阿伯買紗線。
おじいさんが糸を買ってくると、娘は機の回りにびょうぶを立てて、
老阿伯去買紗線个時節,細妹仔用屏風圍等織布機,並吩咐講:
「機をおりあげるまで、決してのぞかないでください」
と、言って、機をおり始めました。
「織好以前絕對毋好偷看織布機。」
就開始織布。
キコバタトン、キコバタトン。
Kid2lid2kog2log2。
娘が機をおって、三日がたちました。
細妹仔織好,過忒三日。
ようやく機をおり終えた娘は、
拚命摎布仔織好个細妹仔講:
「おじいさま、おばあさま、この綾錦(あやにしき→美しい布の事)を町へ売りに行って、帰りにはまた、糸を買って来て下さい」
「老阿伯,老伯姆這兜綾錦拿去街路賣,愛轉來个時節順續買兜紗線轉來。」
と、娘は空の雲の様に軽い、美しいおり物を二人に見せました。
細妹仔摎像雲恁輕、恁靚个布分兩老看。
「これは、素晴らしい」
「這布仔還好哦!」
おじいさんが町へ売りに行くと、それを殿さまが高い値段で買ってくれました。
老阿伯拿去街路去賣,分城主大人用當高个價數買出去。
おじいさんは喜んで、糸を買って帰りました。
老阿伯盡歡喜,又買紗線轉去。
すると娘はまた、機をおり始めました。
細妹仔又開始織布。
「ねえ、おじいさん。あの娘はいったいどうして、あんな見事な布をおるのでしょうね。・・・ほんの少し、のぞいてみましょう」
「呢,老阿伯,該個細妹仔到底仰般會織出恁靚个布仔來。...來偷看一下好啦。」
おばあさんがびょうぶのすきまからのぞいてみると、そこに娘はいなくて、やせこけた一羽のツルが長いくちばしで自分の羽毛を引き抜いては、糸にはさんで機をおっていたのです。
老伯姆在屏風个縫偷看个時節,無看到細妹仔,斯看著一个瘦夾夾个白鶴,高擎擎、滿身血漬漬,在該挷自家个毛,摻在紗線肚織布仔。
「おじいさん、おじいさんや」
「老阿伯,老阿伯!」
おどろいたおばあさんは、おじいさんにこの事を話しました。
分佢嚇著个老伯姆摎這事情同老阿伯講。
キコバタトン、キコバタトン・・・。
Kid2lid2kog2log2......。
機の音が止んで、前よりもやせ細った娘が布をかかえて出てきました。
織布機个聲音停忒咧,比頭擺還較瘦个細妹仔抔等布仔出來。
「おじいさま、おばあさま。もう、隠していても仕方ありませんね。
「老阿伯,老伯姆,無辦法再過掩磡下去咧,
わたしは、いつか助けられたツルでございます。
𠊎係識受著你幫助个白鶴,
ご恩をお返ししたいと思って娘になってまいりました。
為著報答你个恩情所以變做一個細妹仔,
けれど、もうお別れでございます。
毋過這下拜別个時節到咧,
どうぞ、いつまでもおたっしゃでいてくださいませ」
祝你永久康健。」
そう言ったかと思うと、おじいさんとおばあさんが止めるのも聞かず、たちまち一羽のツルになって空へ舞い上がりました。
講煞,毋顧老阿伯、老伯姆个阻擋,一下仔斯變做一隻白鶴,飛上天頂去咧。
そして家の上を、三ベん回って、
在屋頂飛三輪,
「カウ、カウ、カウ」
「kau,kau,kau。」
と、鳴きながら、山の向こうへ飛んで行ってしまいました。
緊叫緊飛到對面山頂去。
「ツルや。いや、娘や。どうかお前も、たっしゃでいておくれ。・・・今まで、ありがとう」
「白鶴啊。毋係,妹仔啊。你乜愛康健,...恁久以來,承蒙你。」
おじいさんとおばあさんは、いつまでもいつまでもツルを見送りました。
それからのち、二人は娘のおった布を売ったお金で幸せに暮らしました。
老阿伯、老伯姆常透望佢轉來,過後兩儕靠賣該細妹仔織个布仔,賣錢過等幸福个日仔。
おしまい
煞咧
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