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3月22日の日本の昔話
まゆにつば
提高警覺
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある山寺に、とてもかしこい小僧がいました。
頭擺頭擺,有一間廟,戴一個當伶俐个細沙彌。
ある日の夕方、小僧は和尚(おしょう)さんに用事を頼まれて、町へ行く事になりました。
有一日臨暗仔,和尚有事情拜託細沙彌去街路。
「では和尚さま、行ってまいります」
「和尚師父,𠊎來去街路了。」
こうして小僧が山道を歩いていくと、一匹のいたずらダヌキが町の酒屋のでっち(→住み込みで働く子ども)に化けて、後ろから声をかけました。
細沙彌順等山路行等去,一條盡綻个狸仔,變做街路酒店个學徒,在後背喊佢:
「ちょっと待ってくれ。夕方はキツネやタヌキに化かされすいから、和尚さんに町まで一緒に行く様に言われて来たんじゃ」
「等𠊎一下,臨暗仔係狐狸精、貍仔精會出現个關係,和尚師父交待愛摎你共下去。」
「それはご親切に。ところで、でっちどんはいつ山寺へこられました?」
「承蒙你个好意哦,毋過細學徒幾時到廟來?」
「ああ、ほんのさっき、店の届け物を届けに来たばかりです」
「啊!頭下堵堵送東西來。」
タヌキのでっちは、すました顔で答えました。
狸仔變个學徒詐戇應講。
でも町の酒屋は、昨日来たばかりです。
街路該酒店頭家昨晡日正來過。
(さては、いたずらダヌキだな。何をたくらんでいるか知らんが、反対にだましてやろう)
(還綻个狸仔哪,毋知有麼个陰謀,𠊎看計使計。)
小僧はだまされないおまじないに、まゆにつばをつけると、ニッコリ笑って言いました。
細沙彌為著毋中計提高警覺,笑咪咪講:
「これは、良い道連れが出来て良かった。ところで、でっちどん。この前に貸した百文(→三千円ほど)のお金、確か今日返してくれる約束でしたね」
「有這恁好个伴共下行還好哪!毋過,細學徒,前回借去个一百文錢(約三千丹)確實講好今晡日愛還𠊎。」
「えっ?そうなの?」
「e24,敢有?」
タヌキはびっくりしましたが、でっちに化けているのがばれてはいけないので、しぶしぶ百文を渡しました。
狸仔著驚著,但係變做洒店个學徒做毋得分佢認出來,高不將拿出一百文錢出來分佢。
「はい。約束の百文」
「這係講好个一百文錢。」
小僧はニッコリ笑って受け取ると、また言いました。
細沙彌笑咪咪收起錢來又講:
「そうそう、そう言えばその前に貸した二百文も、今日返してくれる約束でしたよ」
「有影有影,照講前一回借去个二百文錢乜講今晡日愛還。」
「えっ? 二百文も?」
「e24, 二百文錢乜?」
タヌキは仕方なく、二百文を差し出しました。
狸仔無辦法又交出二百文錢。
すると小僧は、またニッコリ笑って言いました。
細沙彌笑咪咪收起錢來又講:
「そう言えばひと月前に小判(→7万円ほど)を一枚貸したのも、今日返してくれる約束でしたよ」
「照恁樣講,一隻月前借个一隻金幣(約七萬円)乜講今晡日愛還哦!」
「そっ、そんな・・・」
「該,該種...」
こうしてタヌキは、小僧に有り金を全て取られてしまいました。
狸仔現有个錢分細沙彌拿淨淨。
でも小僧は、まだ言います。
細沙彌又講:
「ああ、そう言えばその前にも貸したお金があった」
「啊!照恁樣講,頭過還有借錢。」
するとそれを聞いたタヌキは、
狸仔聽著講一句
「忘れ物をしたので、すぐに帰ります!」
「有東西毋記得,無遽兜轉去做毋得!」
と、あわてて逃げ出したそうです。
慌慌張張瀉屎馬走忒了。
おしまい
煞咧
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