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3月26日の日本の昔話
八匹のウシ
八條牛
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、金持ちの旦那の家に、村一番のとんち男が駆け込んで来ました。
頭擺頭擺,有錢个老爺屋下,一個莊內最伶俐个人走過來。
「旦那。とても珍しい物があったので、お知らせに来ました」
「老爺,有一種非常寳貴个東西,愛報你知。」
「珍しい物とは、何だね」
「恁寶貴个西東,係麽个呢?」
「それが、たのきのまたに、ハチが巣(す)を作っているのですよ」
「該係,糖蜂仔在貍仔腳脥下作竇啦!」
「何じゃと!」
「你講麽个呀!」
この地方ではタヌキの事を、たのきと呼んでいます。
這位摎狸仔(tanukiたぬき)安著tanoki(たのき)。
「タヌキの股にハチが巣を作るなんて、いくら何でもそんなバカな」
「在貍仔腳脥下作竇,仰會有恁戇!」
「本当ですよ。本当に、たのきのまたに、ハチが巣を作っているのですよ」
「正經个哦,正經在貍仔腳脥下作竇哦!」
「そうは言っても、とても信じられん」
「講係恁仰,還係毋相信。」
「うそではありません。もし本当だったら、どうしますね?」
「毋係講耗漦,假使斷眞恁仰,該愛仰般?」
「そうだな。わしが持っている八匹のウシを全部やろう」
「若係正經有,𠊎該八條(日語:八匹hachibikiはちびき牛)牛,全部分你。」
「よしきた。では、ご案内します」
「就恁決定,請你帶路。」
とんち男は旦那を、近くの田んぼに連れて行きました。
伶俐个男仔人渡老爺去就近个田該位。
すると田んぼの中にある木の股に、ハチがせっせと巣を作っているのです。
田(taた)肚有頭樹仔(kiき),糖蜂仔煞猛在該樹椏作竇。
「ほれ、ご覧の通り、田の木の股にハチが巣を作っているでしょう。さあ、約束通り八匹のウシを頂きます」
「請看,田肚个樹(田(taた)肚)仔樹椏頂,糖蜂仔在該作竇無?你該八條牛照約束分𠊎了。」
「しまった。だまされた」
「還毋結煞,分你落著了。」
男にウシを後で渡すと約束した旦那が、とぼとぼ家に帰るとおかみさんが尋ねました。
摎男仔人聘好个老爺,過後正交分佢,就無氣無脈行等轉去,女主人問佢。
「あれ、あんた。そんなにがっかりしてどうしたの?」
「唉哦,你,做麼會恁仰無精無神?」
「それがな・・・」
「該會係為著...」
旦那から訳を聞いたおかみさんは、ニッコリ笑って旦那に言いました。
女主人聽了老爺解釋後笑咪咪講:
「それなら何も、八匹全部やる事はありませんよ。一匹で充分です」
「係恁樣形,毋使八條牛全分佢,一條斯罅了!」
「しかし、八匹と約束してしまったから」
「毋過,聘好愛八條。」
「まあ、わたしに任せておきなさいよ」
「交分𠊎斯好!」
おかみさんはそう言うと一匹のハチを捕まえて来て、そのハチを一番やせたウシの尻尾に結びつけました。
女主人講煞就去促个蜂仔來,綯在最瘦該條牛个牛尾。
そこへとんち男が八匹のウシをもらいに来ると、おかみさんはウシのお尻を指差して言いました。
伶俐个男仔人為著八條牛來个時節,女主人指該牛尾講:
「はい、約束の、はちひきのウシです」
「這係照聘个,拖等糖蜂仔个牛。」
それを聞いたとんち男は、思わず手を叩いて言いました。
男仔人聽佢恁仰講,拍手應:
「なるほど、確かにハチ引き(八匹=ハチ引き)のウシだ。こいつはやられたな」
「有影、確實係拖等糖蜂(はち引き:八匹。日語發音相同hachibiki)个牛。𠊎輸了!」
とんち男はおかみさんのとんちに感心して、ハチを尻尾に付けたやせウシを連れて帰りました。
伶俐个男仔人對女主人个伶俐非常欽佩,牽等尾項綯等糖蜂仔个瘦夾夾該條牛轉去。
おしまい
煞咧
說明︰這係用日本話,共音無共意思來詏嘴發展出來个故事。
タヌキ(又乜講tanoki)の股︰田の木の股
はち引き:八匹。日語發音相同hachibiki
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