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3月29日の日本の昔話
掛け声の代金
加油聲个價值
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかし、あるとても大きな木を、二人の木こりが切ることになりました。
頭擺頭擺,有二個倒樹个工人,愛倒一頭當大个樹仔。
「ほう。これは立派な木だ。さぞかし高い値で売れる事だろう。さて、どうやって切り倒そうか?」
「hou,這頭樹仔還靚哦!定著做得賣盡好个價數。愛仰般倒呢?」
すると、もう一人の木こりが言いました。
過後,另外該個倒樹仔个工人斯講:
「よし、お前切れ。わしが掛け声をかけて、拍子をとってやるから」
「恁仰好啦,你來鋸,𠊎來大聲加油,打拍仔。」
「それなら、拍子を頼むぞ」
「該好,請打拍仔!」
そこで一人はまさかりを打ち込み、もう一人が後ろで切り株に腰をかけながら、
所以,一儕拿大斧頭剁,另外一儕坐在後背个樹頭頂,
「よいしょ!よいしょ!」
「yoishio!yoishio!」
と、掛け声で拍子を取りました。
大聲喊,又打拍仔。
こうして、大きな木は切り倒されたのです。
斯恁樣斯摎樹仔倒下來。
そして二人は、その木を木商いの旦那の所へ持って行くと、旦那は結構な額で木を買い取ってくれました。
兩儕摎樹仔拿去木材買賣个大頭家該位,頭家用盡高个價數摎佢買。
「思ったよりも金になったな」
「比想愛个較多。」
「ああ、もうかった。もうかった」
「啊,賺著了!賺著了!」
「さあ、金は山分けにしよう」
「錢平分,一儕一半。」
掛け声をかけた木こりがそう言うと、木を切り倒した木こりが嫌な顔をしました。
後背加油拍手該個倒樹工恁樣講个時節,倒樹仔該儕牙研鼻皺講:
「何で山分けなのじゃ?木を切ったのはおれで、お前は掛け声をかけていただけだろう」
「仰愛平分呢?倒樹仔个係𠊎,你斯出張嘴定定。」
「何を言う。掛け声は大事や役目だぞ。だからおれにも半分くれ」
「講該麽个話,加油乜盡重要个事呢!𠊎乜愛分一半。」
「いいや、半分もやれん。おれは汗水流していたのに、お前は切り株に座って、のんびり煙草を吸っていたじゃないか」
「做毋得對半分,𠊎做汗到流脈落,你坐在樹頭頂,閒綽綽在該食煙毋係嘎?」
「いいや、山分けだ。どうしても半分もらうぞ」
「毋係,一儕一半,仰般都愛對半分。」
「いいや、半分もやれん」
「毋係,做毋得對半分!」
「それなら、裁判をしてもらおう」
「無斯尋該公當人裁判。」
と、言うことになり、二人は代官所へと行きました。
兩儕去官廳,
そこでお代官に判断を下してもらおうとしたのですが、お代官もこんな判断は初めてなので、どうして良いのかわかりません。
請代官來判,毋過代官無識判過,毋知仰般判較好。
そこで今度は、名奉行と名高い、南町奉行の大岡越前守(おおおかえちぜんかみ)にお裁きをお願いしたのです。
「所以這下去有名个名奉行、南町奉行大岡越前守該,請佢來判。」
事情を聞いた越前は、二人の木こりに尋ねました。
佢就問二個倒樹仔个工人:
「まずは、お前が木を伐ったのだな」
「先問你,樹仔倒下來吂?」
「へい、わしがまさかりで、『カーン、カーン』と木を切り倒しました」
「he~,𠊎用大斧頭『kan,kan』滾,摎樹仔倒下來个。」
「うむ、すると、もう一人のお前が、掛け声をかけたのだな」
「m11,該你了,斯在脣頭加油定定係無。」
「へい、わしが、『よいしょ、よいしょ』と、拍子をとってやりました」
「係,𠊎『yoishio!yoishio!』大聲加油,打拍仔。」
「うむ。お前が『カーン』で、お前が『よいしょ』か」
「m11,你『kan,kan』,你『yoishio!yoishio!』係無?」
「へい」
「係」
「へい」
「係」
「そうか。それで、木商人からもらったお金は、どこにあるのだ?」
「恁仰係無,木材商拿來个錢這下放在哪在哪位?」
「へい、わしが持っております」
「he~,這下在𠊎這。」
「うむ、それではここに出してみなさい」
「m11,拿出來看一下。」
「へい。これです。五十文もくれました」
「係,在這,拿著五十文錢。」
「よしよし、確かに五十文だ」
「好!好!確實五十文錢。」
越前はそのお金を受け取ると、それを庭にばらまきました。
越前拿起錢後委在天墀坪。
するとお金が、チャリーン、チャリーンと、心地よい音を立てます。
錢跌落地泥下,發出叮叮噹噹盡好聽个聲。
それを見て、不思議そうな顔をする木こりたちに、越前が言いました。
越前摎該看著該情况,面色盡奇怪个二個倒樹仔个工人講:
「拍子を取った木こりよ。その方、今のお金が鳴る音を聞いたな」
「打拍仔个倒樹工人啊,這下聽著錢叮噹響个聲無?」
「はい。確かに聞きましたが、それが?」
「有,確實聽著了,還了?」
「うむ。お前の仕事は音を出すだけだったのだから、その代金も音だけで十分であろう」
「m11,你做个事係出嘴定,所以你得个乜係錢个聲就嶄蠻好了。」
この判決を聞いて、木を切った木こりは喜んで頷き、掛け声の男もしぶしぶ頷きました。
聽著這種判決,用斧頭倒樹仔个工人非常歡喜頷頭,打拍仔加油該個盡毋甘願个頷頭。
「へい。ありがとうございます!」
「he~,承蒙你!」
「・・・へい。わかりました」
「...he~,了解了。」
「うむ。これにて、一件落着!」
「m11,又辦好一件事!」
おしまい
煞咧
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