福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 3月の百物語 > 妖怪の恩返し

3月29日の百物語

妖怪の恩返し

妖怪の恩返し

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「櫻井園子」  櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》

♪音声配信(html5)
音声 ひかる

 むかしむかし、ある村の川のふちに、妖怪が現れるという、うわさがたちました。
 何でもそれは黒い着物を着た体の細長い妖怪で、顔がぬめぬめしているそうです。

 ある日の事、そのうわさを聞いた村一番の力持ちが、
「よし、おれがその妖怪の正体を確かめてやろう」
と、刀を持って川のふちへと出かけました。

「妖怪よ、出て来い! このおれさまが、退治してくれよう!」
 すると風もないのに柳の枝がさあーっとなびいて、川の中から妖怪が現れました。
 確かに黒い着物を着た細長い妖怪で、顔がぬめぬめしています。
 普通の男なら腰を抜かしてしまうでしょうが、さすがは妖怪退治をしようとする若者で、怖がるどころか腰の刀を抜いて斬りつけたのです。
「出たな妖怪! 覚悟!」
 妖怪はその刀を何とかわかすと、若者に手を合わせて頼みました。
「お待ちください。
 わたしは、近くの沼に住む大ウナギの母親です。
 実は、この間の大水で流されて来た大木の根っこが、わたしのねぐらの入口に引っかかってしまい、子どもが中に閉じ込められてしまいました。
 わたしの力ではどうする事も出来ないので、これを取りのぞいてくれる人を探そうと、ここへ現れたのです」
「なるほど、そういうわけだったのか。よし、おれが何とかしてやろう」
 若者は大ウナギの妖怪に案内されて沼にやって来ると、ふんどしひとつで沼に飛び込みました。
 潜ってみると、大木の根っこが横穴の入口に引っかかっています。
「これだな、よし」
 若者は自慢の力を込めて、木の根っこを取り除いてやりました。
「ありがとうございます。
 おかげさまで、子どもが助かりました。
 本当に、ありがとうございます」
「礼はいい。では他の者がびっくりするから、もう出て来るんじゃないぞ」
  若者はそう言うと村に帰って行き、大ウナギの妖怪は若者の姿が見えなくなるまで若者に手を合わせていました。

 さて次の朝、若者が仕事に出かけようとすると、大ウナギの母親のお礼なのか、家の外には沼の小魚やエビなどが山の様に積まれていたという事です。

おしまい

前のページへ戻る


     3月29日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
マリモの日
きょうの誕生花
アリッサム(Alyssum)
きょうの誕生日・出来事
1982年 滝沢秀明 (タレント)
恋の誕生日占い
誠実で、明るく元気
なぞなぞ小学校
山に登った人が、必ずする事は?
あこがれの職業紹介
ホテルスタッフ
  3月29日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
掛け声の代金
きょうの世界昔話
ネズミとゾウ
きょうの日本民話
大工の神さまと天人
きょうの日本民話 2
比良の八荒
きょうのイソップ童話
ヒツジ飼いとオオカミの子
きょうの江戸小話
手品の種
きょうの百物語
妖怪の恩返し

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ