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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >四月
八つ化けずきん
百变头巾
翻訳者:中国廣東省恵州学院 陳怡彤
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、あるところに、いたずら者の和尚(おしょう)さんがいました。
很久很久以前,在某个地方,有个淘气顽劣的住持和尚。
ある日、和尚さんが村はずれの道を歩いていると、道はずれのやぶの中で一匹のキツネが古びた手ぬぐいを前にして、化け方の練習をしているのです。
有一天,住持走在村子尽头的道路上,在路的尽头的灌木丛里,有一只狐狸在一个老旧的手巾面前,做着变装的练习。
「これは、おもしろい」
“这可真是有趣”
和尚さんがのぞいているとも知らず、キツネは手ぬぐいを頭に乗せ、クルリンパ! と若い娘になりました。
不知道住持在偷看的狐狸把手巾放在头上,“玛尼玛尼哄!”变成了一个年轻的少女。
「ははーん、あの手ぬぐいが化け道具なんじゃな。
何とかだまくらかして、ちょうだいするか」
“哈哈哈,那个手巾不就是变装的道具嘛。
要做点什么才能骗到手呢”
和尚さんは、わざと知らん顔で歩き出しました。
住持,脸上故意装作不知道的样子走出来。
するとキツネが化けた娘が、しゃなりしゃなりとやってきます。
这时,由狐狸变的少女,装作优雅的样子走了过来。
和尚さんは、キツネが化けた娘に向かって言いました。
住持对狐狸变的少女说。
「これは、美しい姉さまじゃのう。
だが、化け方がなっとらん。
上の方はよいが、足元がまだまだだな」
“这可真是一位美丽的小姐嘛。
但是,变装变得不好。
上面的部分很好,但是下面脚的部分还差得远啊。”
正体を見破られたキツネは、ビックリして元の姿に戻りました。
被识破原形的狐狸,吃了一惊变回了原来的样子。
「どこの和尚さまかぞんじませぬが、わたしの化け方はそんなに駄目ですか?」
“虽然不知道你是哪里来的住持,但我的变装方法那么差吗?”
「駄目、駄目。まだまだ未熟じゃ。そこへいくと、このわしはどうだ? キツネには見えんだろう?」
“不行,不行。还很不熟练呢。我(的变装)怎么样?无论去到哪里,都看不出我是狐狸吧?”
「えっ? キツネなんですか? わたしはてっきり、本物の和尚さまかと思いました」
“咦?你是狐狸吗?我还以为你一定是真正的住持呢”
「そうじゃろう。何しろわしの化け道具は、有名な『八つ化け頭巾(ずきん)』だからな」
“是吧。毕竟不管怎么说,我的变装道具可是有名的‘百变头巾’啊”
そう言って和尚さんは、かぶっていた頭巾を見せびらかしました。
这样说着的主持,炫耀着正戴着的头巾。
もちろん、この頭巾は普通の頭巾です。
当然,其实这头巾只是普通的头巾。
でも、和尚さんの言葉を信じたキツネは、うらやましそうに言いました。
但是,狐狸相信了主持说的话,很是羡慕地说。
「へえ、これがあの八つ化け頭巾か。・・・いいな」
“哦,这就是那个百变头巾吗。...。真好啊”
「どうだ、何ならお前の手ぬぐいと、取りかえてやろうか?」
“怎样,要是和你的手巾换的话怎么样?”
「ほっ、本当ですか! それはもう、是非とも」
“啊,是真的吗!那,请一定要和我换”
こうして和尚さんは、キツネの化け手ぬぐいを手に入れたのです。
就这样住持就拿到了狐狸的变装手巾。
「よしよし、うまくいったぞ」
“好啦好啦,顺利到手了”
和尚さんが寺へ帰ると、寺から寺へと見回り役をつとめる僧正(そうじょう→一番偉いお坊さん)さまが、お供の小坊主を連れてやって来ました。
住持回到寺庙后,担任去各个寺庙巡视的大法师(大法师→地位最高的和尚),带着随从的小和尚回来了。
二人を迎えた和尚さんは、こんな事を言いました。
去迎接两个人的住持,说了这样的话。
「お務め、ご苦労さまです。この廊下の先に二つの部屋がございますから、どちらでもお気にめす部屋でお休みくださりませ。わしは、お茶の仕度をしてまいります」
“您工作辛苦了。这个走廊的前头有两个房间,无论是哪个,请挑选喜欢的房间休息吧。我去准备茶水。”
「ほう、それはありがたい」
“哦,那真是太感谢了”
僧正さまはそう言うと、廊下の先の片方の部屋のふすまを開けました。
大法师说完,打开了在走廊的前面的一侧的房间的拉门。
するとそこには、若くてきれいな娘がニッコリ笑って座っていました。
这时,就在那里,坐着一位正在微笑着的年轻漂亮的少女。
僧正さまは、顔をまっ赤にしながら、
大法师红着脸,说道。
「ああ、いや、わしはおなごには興味はないんじゃよ」
“啊啊,这可真是的,我对女人可没有兴趣啊”
小坊主の手前、僧正さまはそう言ってふすまを閉めると、もう片方の部屋のふすまを開けました。
大法师对在跟前的小和尚说完后,关上了拉门,打开了另一边的房间的拉门。
するとそこには、ありがたい仏像がまつってありました。
这时,在那里,有着非常珍贵难得的佛像。
「おお、これこそが、わしにふさわしい。なんまいだ、なんまいだ」
“哦,这才是适合我的。阿弥陀佛、阿弥陀佛”
僧正さまは、まじめな顔してお経を唱えたものの、やはりさっきのきれいな娘が気にかかります。
虽然大法师用认真的表情诵读着佛经,但还是很在意刚才那个漂亮的少女。
そのうちに小坊主がいねむりを始めたので、僧正さまはこっそりと隣の部屋へ行ってみました。
不知不觉中,小和尚开始打瞌睡睡着了,所以大法师偷偷的到隔壁房间去了。
すると娘がニッコリして、
这时,少女微微一笑,说道,
「まあ、お坊さま、お酒を一杯。ささ、えんりょなさらずに」
と、上等の酒をついできました。
“哎呀,大和尚,不要顾虑那么多啦,喝一杯酒吧。”然后倒了上等的酒。
憎正さまは、たらふく飲んで上機嫌です。
大法师喝饱了以后心情非常好。
そして下心を出して、娘の肩に手を置こうとしたその時、娘が突然、カッ! と目を見開いて、不動明王(ふどうみょうおう)さまになったのです。
于是有了别的企图,在把手放到少女的肩膀的时候,少女突然,“啪”地一下睁开了眼睛,变成了不动明王(佛)。
「この生臭坊主め! 仏に仕える身でありながら、酒を飲んだ上におなごに手を出したな!」
“你这个臭秃驴!本身是侍奉佛祖的,不仅喝了酒还想对女人出手!”
「ひゃあ、お許しくださいませ!」
“不是,请原谅我!”
僧正さまは、裸足のまま外へと逃げ出してしまいました。
大法师光着脚就逃到外面去了。
実は、娘も仏像も不動明王も、みんな和尚さんのいたずらだったのです。
其实,少女和不动明王的佛像,都是住持的恶作剧罢了。
おしまい
完
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