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福娘童話集 > 百物語 > 六月
6月17日の百物語
(6月16日的日本鬼故事)
雨の小坊主
雨童
・日本語 ・日本語&中国語
むかしむかし、京都のある町に、新兵衛(しんべえ)という心優しい商人がいました。
好久以前、京都街上、有個喊新兵衛的心好商人。
新兵衛は着物屋の主人でしたが、今では店を息子にまかせて気楽な隠居(いんきょ)生活です。
本來自己是個衣服店老闆、現在也是幫店子交起自己兒、養老去了。
暇さえあれば、好きなうたい(→能や狂言)の稽古に精を出す毎日でした。
一閒落來、就練習他那條最喜歡的遊藝。
ある雨の日の事、隣町まで稽古に行った新兵衛が仲間たちと世間話をしているうちに、もう夜更けになっていました。
有個雨天、這練到練到就練到鄰村去了、跟認得到的扯好久卵談、這都半夜啦。
「おや? もうこんな時刻でしたか」
都這時啦。
新兵衛は仲間たちに別れを言うと、一人だけ反対の方角へ帰って行きました。
這人也就開始散啦、他們都是一起、新兵衛自己一個、反方向回去。
昼間からの雨はまだしとしと降り続いており、道にはいくつも水たまりが出来て、ちょうちんの灯に光っています。
這雨從白天下到現在、路上都是些水坑、被提燈照亮。
その水たまりをよけながら、うたいの一節を口ずさんでいると、あるお屋敷の大きな門の下に白い物がちらりと見えました。
嘴巴裡面念到謠曲、避開一個個水坑、眼睛一渺、看到個屋大門口一個甚麼白色的東西到。
(はて。何だろう?)
這是個甚麼東西?
ちょうちんを向けながら近づいて行くと、門の下に六つか七つばかりの男の子がしょんぼりと立っていて、足元に落ちる雨だれを見つめていました。
提燈靠近、門前面是個六七歲的小孩、一個人站哪裡、踋邊上還看得到水到滴。
(こんな夜ふけに、この子は何をしているのだ?)
小孩這半夜到這裡是搞甚麼。
きちんとした身なりからすると、家出でもなさそうです。
身上衣服都也還好、不像是父母不要的小兒。
男の子は新兵衛と目が合うと、恥ずかしそうに目をふせました。
男的和新兵衛撞個對眼、有點害羞就幫腦殼勾落去了。
そして門の下から雨の中へ飛び出して、新兵衛の家の方向に歩き始めました。
這就奔雨裡面去了、朝新兵衛屋裡的方向走。
「これこれ、待ちなさい。
どこまで行くのじゃな?
莫跑、你在是要去哪裡啊?
雨にぬれては体に毒だから、ほれ、わたしのかさに入りなさい」
被雨打溼要害病的、來到我傘裡面來。
新兵衛が言っても、男の子は水をふくんだぞうりをぴたぴたと音をさせながら、振り向きもせずに歩いて行きます。
大人喊話也是、拖到帶水的草鞋發出達達達的聲音、頭也不回的往前走。
「これ、わたしの家は、もうすぐそこだ。
遠くまで行くのなら、わたしの家に寄りなさい。
体を拭いて、かさを貸してやろう」
就快到我屋了
你要是地方遠就先進屋
我幫你擦哈水、過你把傘。
新兵衛は後ろから子どもにやさしく声をかけましたが、子どもが黙ったままなので、今度はあれこれと思いをめぐらしました。
新兵衛看小兒不做聲、就開始想東想西。
(しょんぼりと門の下に立っていたが、さびしそうな顔はしていなかったな。
そうすると、奉公先の仕事が終わって、親の元に帰るところなのかもしれない)
雖然港看小兒站到門口、不過樣子也覓(沒)好著孽、可是是剛好到那屋做完事、回娘老頭哪裡哦。
そう思うと、新兵衛は男の子がいじらしくなってきました。
新兵衛頓時就有种感同身受的情感映射出來。
新兵衛も子どもの頃に苦労をして、今の立派な店を持つ事が出来たのです。
新兵衛自己小時候也是好辛苦、現在長大了才有自己的店子。
「ほれ、ほれ。遠慮せずに、かさにお入り」
來、莫怕、到傘裡面來。
新兵衛はかさを持つ手を伸ばしながら、前を歩く男の子に言いました。
新兵衛幫傘往前面伸、對前面小兒港。
ですが男の子はあいかわらず黙ったまま、ぴたぴたとぞうりの音をさせています。
男兒依舊一樣、用草鞋繼續幫路走到、發出達達達的聲音。
新兵衛の頭に、また別の考えが浮かびました。
新兵衛又開始想一下亂七八糟糕的了。
(待てよ。
そう言えば、雨だれを見つめていた目は、何かを思いつめた悲しい目だったぞ。
きっと、この子の父親か母親が病気で急に亡くなってしまい、どこぞのお寺さんへでも知らせに行くところかもしれないぞ)
新兵衛又想第一眼看到小兒的時候
他站到屋簷下看滴水的那種淒涼
肯定是父母那個死了
現在趕快去廟裡邏和尚。
そう思うと、新兵衛はますます男の子の事が気になりました。
這麼一想、新兵衛又更加對小兒上心了。
自分の家はもうすぐそこで、大きなスギの木の下の茶屋のかどを曲がったところです。
屋裡已經快要到了、就是大衫樹底下茶館拐角的地方。
「わたしの家は、あそこのかどを曲がればもうすぐだ。このかさと明りを持って行きなさい。遠慮はいらないよ」
我屋在拐個彎就到啦、你就幫傘和燈籠捏去吧、不要緊的(沒關係)。
すると男の子が、ようやく立ち止まって、初めて振り返りました。
小兒終於停落來了、第一次回頭。
「・・・?!」
!!???
新兵衛は思わず、息を飲み込みました。
新兵衛一哈安靜了。
なんと男の子の顔には、たまごの様な三つの目玉と大きな口しかなかったのです。
原來是這個男兒的臉就根本只有、三顆雞蛋那麼大的眼睛和一張嘴巴。
「うーん」
啊啊
新兵衛はそのまま、気を失ってしまいました。
新兵衛著一骸、昏死過去了。
翌朝、新兵衛はある大きなお寺の墓場に倒れているところを、お寺の人に見つけ出されました。
第二天早上、廟裡面的和尚發現、新兵衛就趴到廟裡的墳場的。
さいわいにも新兵衛はすぐに元気を取り戻しましたが、不思議な事にそのお寺は新兵衛の家とは全く反対の方角の山のふもとだったそうです。
幸好是覓甚麼大礙、人馬上就醒了、怪事、自己倒地的地方竟然是離自己屋完全反方向的山腳下。
おしまい
结束
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