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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >七月
7月10日の百物語
ものを言うネコ
会说話的猫
翻訳者 広東省恵州学院 陳暁玲
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、山城の国(やましろのくに→京都府の南部)に清養院(せいよういん)と言う、お寺がありました。
很久很久以前,山城的一个国家(在京都府的南部),有个叫做清养院的寺庙。
ある夏の夜の事、お腹をこわした和尚(おしょう)さんが便所に入っていると、庭の木戸(きど→庭や通路の入口などにもうけた、屋根のない開き戸の門)から、
夏天的一个夜晚,一个闹肚子的和尚刚进去厕所,就从庭院的栅栏门(设立在庭院或通道的入口等等,没有屋顶且敞开窗的门)听到
「これ、これこれ」
と、呼ぶ者がいます。
有人这样喊着:“喂,喂,喂”
(はて? 今頃、誰が訪ねて来たのか?)
(咦?这个时候,谁来拜访寺庙呢?)
不思議に思った和尚さんが窓から外を見てみると、部屋の中から和尚さんの飼っているネコがかけ出して来て、庭へと飛び降りました。
觉得不可思议的和尚透过窗向外面看去,只见和尚养的猫从屋里跑出来,向庭院飞跳过去。
そしてネコは慌てて木戸のところへ行くと、カギをはずします。
然后,猫慌慌张张地朝栅栏门那里走去,打开了门。
すると、一匹の大きなネコが現れて、
这时,一只大大的猫出现了,
「こんばんは」
と、人間の言葉でしゃべったのです。
它用人类的话语说道:“晚上好。”
(ネコが、しゃべるなんて!)
(猫居然会说话!)
和尚さんがびっくりしていると、大ネコはお寺のネコの案内で部屋に入って行きました。
在和尚感到很吃惊的时候,那只大猫在寺庙的猫陪同下向屋里走去。
和尚さんが便所の中でじっと耳をすましていると、大ネコが言いました。
和尚一直在厕所里认真地听着,这时大猫说话了。
「今夜、町で踊りがあるから、一緒に行かないか?」
“今晚,镇上有舞会,要不要一起去?”
「うん、そいつは面白そうだ。・・・でも、うちの和尚さんの具合が悪いので、今夜は行けないよ」
“恩,听起来好像挺不错的样子。。。。。可是,我家的和尚今晚身体不舒服,今晚我去不了哦。”
「うーん。そいつは残念だな。では、すまないが手ぬぐいを一本貸してくれないか」
“嗯。。。那真是太遗憾了。哦,不好意思,可以借条手巾给我用用吗?”
「ごめん。その手ぬぐいも、和尚さんがひまなく使っているので、持ち出すわけにはいかないよ」
“不好意思啊,那个手巾也是,和尚不离身地用着它,我不能把它借给你哦”
「そうか。・・・それじゃ、今夜はあきらめるとするか。おじゃましたな」
“这样啊。。。那今晚就算了,打扰了。”
「ごめんね。せっかく誘ってくれたのに」
“实在对不起你的特意邀请”
お寺のネコは大ネコを庭の木戸まで送って行くと、再び部屋に戻って行きました。
寺庙的猫把大猫送到庭院的栅栏门那里,大猫走后,它就再次回到屋里。
(わしの病気を心配して遊びにも行かないとは、何てやさしいネコなんだ)
(因为我生病了担心我而自己不去玩,这是多么善良的猫啊。)
和尚さんはうれしくなって、便所を出るとすぐに部屋へ戻りました。
只见猫一动不动地在和尚的被子上蹲着
ネコは和尚さんの布団の横で、じっとうずくまっています。
(因为我生病了担心我而自己不去玩,这是多么善良的猫啊。)
和尚さんは、ネコの頭をなでながら言いました。
和尚一边摸着猫的头一边说。
「わしの事なら、もう大丈夫。
“我的身体已经没事了。
気にしないで、お前も踊りに行って来い。
不用担心,你也去参加舞会吧。
この手ぬぐいを、あげるから」
这个手巾也给你拿去。”
和尚さんは、手ぬぐいをネコの頭に乗せてあげました。
和尚把手巾放在了猫的头上。
するとネコは何も言わずに、外へ走って行きました。
这时,猫什么也没说,往外面跑出去了。
そして二度と、戻っては来ませんでした。
而且再也没回来了。
ネコがいなくなって、和尚さんはがっかりです。
猫不在了,和尚很沮丧。
そして、この事を物知りな老人に話したら、
于是,和尚把这件事告诉了见识广泛的老人,
「それは、ネコがしゃべるのを和尚さんに聞かれてしまったからですよ。
据说老人这样回应说:“那是因为你听到了猫说话的声音啊
ネコはしゃべるようになると、飼い主を噛み殺すと言いますからね。
据说如果猫开口说话了,就会咬死饲养着它的主人哦。
でもそのネコは、よっぽど和尚さんを大切に思っていたので、だまって出ていったのですよ」
と、教えてくれたそうです。
但是那只猫把你看得很重要,所以才一言不发地跑了哦”
おしまい
結束
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