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福娘童話集 > 百物語 > 八月
8月20日の百物語
(8月20日的日本鬼故事)
ろくろっ首
長顜頚(頸)
・日本語 ・日本語&中国語
むかしむかし、旅から旅を続ける一人の男がいました。
到好久以前、有個喜歡四處走的遊客。
ある日の事、日が暮れてきたので、男は浜松(はままつ→静岡県南西部)の近くにある村の宿屋に泊まる事にしました。
就有天、天暗了、男的就準備到浜松(現静岡県南西部)附近村子裡面邏條旅店歇一腳。
その夜はあいにく、泊まり客がたくさんいました。
這天人正好又剛滿。
そこで男は美しい女の旅人と一緒に、一つの部屋のまん中にびょうぶをたてて一夜を過ごす事になりました。
這就變成男的和一條長到好乖的女的共擠一條房了、中間就隔個屏風。
夏の夜だったので、いつまでたってもむし暑く、ねむたくてもなかなかねむれません。
因是夏夜、白天熱晚上也熱、想睡也要著熱醒。
男は夜ふけになって、やっと、うとうとしはじめました。
後面到大半夜男的才來點瞌睡準備睏了。
びょうぶの向こうでねている女の人も、やはりねむれないのでしょうか。
屏風那邊的女的估計也是睡不著。
いつまでもモゾモゾしていましたが、そのうちに急に起き上がる気配がしました。
就到床上翻來覆去的樣子、一哈又像是哦突然站起來了。
(はて。便所にでも行くのかな?)
廁所?
男はそう思いましたが、けれども隣はすぐに静かになりました。
男的這麼想、但是一哈又安靜落來了。
ところがしばらくすると、びょうぶの向こう側から生あたたかい風が吹いてきました。
過一陣女的那邊又是吹過來一陣暖風。
そして女の人の白い顔がびょうぶの上にのびあがって、フワフワと部屋の中を動き始めたのです。
屏風上面就看到女的臉搭上去的、慘白慘白的、這就開始到屋裡亂飛。
男はビックリして、ゴクリと息を飲み込みました。
男的也是著骸定到那裡了、聲都不敢作。
(さては、隣の女はろくろっ首だな)
這是條長顜頚怪啊。
男は寝たふりをしながら、暗い部屋の中を動き回る女の白い首を見ていました。
男的裝自己睡著了、偷偷到蛆卵黑的屋裡頭看到長顜頚的。
女の首は男の足もとの方へ行ったかと思うと、びょうぶの上を伝わって天井の方へものぼって行きます。
眼看這腦殼對到男的踋過來了、又上到屏風上面的天花板高頭去了。
細くなった白い首が、クネクネとのびていきます。
那顜頚就一直變細長到長到長。
男はろくろっ首が少しでも悪さをしたら、飛びかかっていって長い首をひきちぎってやろうと思いましたが、けれどもろくろっ首は何も悪さをしません。
男的想要是突發一個甚麼萬一、就幫長顜頚過扯斷起來、但是別個甚麼壞事都覓(沒)做。
ただフワフワと、楽しそうに部屋の中を動き回っているだけでした。
就好開心的到屋裡這裡哪裡飛。
だけどそのうちに女の白い首は半分開いた雨戸(あまど)の間から、するりと外へ抜け出して行きました。
但是一陣過去、長顜頚從開了一半的門窗哪裡跑到外面玩去了。
(はて。どこへ行くのだろう?)
這是去甚麼地方哦。
どうせねむれないので、男は頭をあげると、ろくろっ首がのびていくあとを追って雨戸の間から外へ出て行きました。
反正也睡不著、自己也從門窗裡面出了去、看長顜頚是搞甚麼去了。
美しいろくろっ首は宿屋の前の通りを横切って、お地蔵(じぞう)さんのたっている林の中へ入って行きました。
腦殼出了旅店、也不延到路走、就橫到馬路往有地藏的林子裡面去了。
そして林の奥にある池のほとりまでフワフワのびて行くと、ヘビの様に長い舌を出して池の水をペロペロとなめはじめたのです。
差不多就到林子附近的水池、就吐出來一條蛇差不多的舌頭、開始舔水吃。
(何だ、水を探していたのか。
原來是要吃水啊。
のどがかわいていたので、こんなところへ水を飲みに来たのだな。
喉嚨渴跑到這地方吃水來了、
そう言えば、おれものどがかわいたな)
不過我這也有點渇了
そっとあとをつけてきた男は、木のかげにかくれてゴクリとのどをならしました。
跟到後面的男的就躲到後面樹影子裡面的、這就咽了一哈喉嚨
その時、水を飲んでいたろくろっ首が男の方を向いて、ニヤリと笑ったのです。
突然、喝水的長顜頚就對到男的方向看了、陰笑。
(しまった。見つかったかもしれん)
稀爛、被發現了。
男は急いで宿屋へ戻り、また雨戸の間から部屋の中に入ると、何くわぬ顔をしてねむってしまいました。
男的馬上往旅店方向跑、從門窗進屋、一副甚麼都不曉得的樣子往床上一躺。
さて、次の日の朝の事です。
這就港第二天一早
男より早く目を覚ました女が、びょうぶのかげから男に声をかけてきました。
女的醒的早就到屏風後面喊男的。
「昨日の晩は、ずいぶんむし暑かったですねえ。よくねむれましたか?」
昨天那麼熱、你還真睡到著啊。
「まったく。本当に、むし暑かったですなあ」
這季節是特別熱。
男はそう答えながら、ふとんを片付けてびょうぶをとりのぞきました。
男的邊港也整理鋪蓋移開屏風。
女の人はカガミに向かって、髪の毛をととのえていました。
女的正對到鏡子、理自己頭髮。
「暑かったけれど昨日は疲れていたのか、わたしはぐっすりとねむって夢一つ見ませんでした」
昨天熱是熱、估計我人累很了、睡到好舒服、連夢都覓(沒)做
男はわざと、とぼけた事を言いました。
男的故意港些混淆視聽的話。
「あら、そうでしょうか? あなたさまは、不思議な事をなさいましたが」
真的?不過我看你是做了些怪事。
女の人は口元に手をあてて、笑いをおさえながら言いました。
女的幫嘴巴就唔到、邊笑邊港。
「はて。わたしが不思議な事を?
啊、我有甚麼事?
それは、どういう事ですか?
怎麼港?
不思議な事をしたのは、むしろあなたではないですか」
明明就是你好吧。
男が、少し怖い顔で言い返すと、
男的用有點著骸到表情到港。
「あら、わたしが不思議な事? わたしがいったい、何をしました?」
那你就港我做了甚麼事讓我聽哈子。
と、言うのです。
女的這就港了。
「それなら、言ってやりましょう。
あなたは美しい顔をしているが実はろくろっ首で、この部屋の雨戸から抜け出して、向かいの林の中にある池へ水を飲みに行ったではないですか!」
那我就港了啊
你雖然長得乖、不過實際上是個長顜頚、昨天從屋裡面偷偷跑出去、到外面林子水池喝水去了、我港覓錯吧。
すると女の人が、ケラケラと笑いながら言いました。
女的又是笑的不得了、
「あなたさまは、ご自分の事に気づいてないのですか?」
蠢、看來你連自己都不曉得。
「何をです!」
啊!
「この部屋は、二階ですよ」
這裡是二樓唉。
「・・・あっ!」
啊啊!
「ようやく、気がついたのですね。
あなたさまが首をどんどんと長くのばして、ずっとわたしのあとをつけてきた事を。
曉得了吧、你晚上偷偷摸摸一直幫顜頚伸長到後面跟蹤我。
夜中にこっそり女のあとをつけるなんて、あまりいいご趣味とは言えませんね」
晚上偷偷跟到別個屁股後面、我看你也不是一個好人。
「・・・・・・」
男的不做聲了。
男はこの時はじめて、自分もろくろっ首である事に気づきました。
這才發現自己原來也是一個長顜頚。
女のろくろっ首はニコニコ笑いながら、男のろくろっ首に言いました。
女的就笑到對男的港
「ここでこうして出会ったのも、何かの縁。どうです、似た者同士これから旅を続けませんか?」
我們能碰到一起也是神奇、這之後也準備一起吧?
「・・・いえ、せっかくの申し出ですが」
但是男的卻是客氣了一哈婉拒了。
男は急いで旅のしたくをすると、どこへともなく去って行ったという事です。
男的馬上趕路、不曉得到底是去了哪裡了。
おしまい
结束
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