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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >八月
8月22日の百物語
捨てられた女房
弃妇
翻訳者 広東省恵州学院 王菊
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、都のはずれに、たいそう貧乏な男が住んでいました。
很久很久以前,有一个很穷的男人住在京城的郊外。
ところがその男の知り合いが、とても出世して遠い国のお殿さまになったのです。
但是,那个男人的老朋友出人头地了,成为了远方的领主。
そこで男は、そのお殿さまの家来として、ついて行く事になりました。
于是,那个男人就决定去给那个领主当家臣。
「これでやっと、自分にも運が向いて来たぞ」
“那么这下我也可以时来运转了吧”,
と、喜んでみたものの、男には旅の支度をする金さえありません。
男人这么想着,非常高兴,但男人连去的路费都没有。
それで男は長い間連れそった優しい女房を捨てて、金持ちの家の新しい女をめとり、その女に金を出してもらう事にしたのです。
因此,男人把在一起很久的温柔的老婆抛弃了,娶了一个有钱人家的女子,从那个女人那里拿到了钱。
ところが新しい女房はわがままで、男に不平ばかり言っています。
但是,新的老婆非常任性,老是对男人发牢骚。
そのうちに男は、だんだん前の女房が恋しくなってきました。
不久之后,男人开始渐渐地怀念起以前的老婆,
けれど金を出してもらった手前、新しい女房を追い出す訳にもいきません。
但是,总不能刚拿到钱就把新老婆赶出去吧。
「今の女房とは、形だけの夫婦。・・・ああっ、貧乏でもよいから、前の女房と暮らしたいのう」
“我和现在的老婆只是形式上的夫妻,哎、、、就算穷一点也没关系,真想和以前的老婆一起生活。”
男は次第に、そう思う様になっていました。
男人的这种想法越来越强烈了。
そのうち何年かたち、殿さまは、また京へ戻る事になったのです。
这样又过了几年,那个领主又要回京都了。
「これで、あいつに会う事が出来る」
“这下子,我就可以见到以前的老婆了。”
男は京に着くと新しい女房を実家へ帰して、すぐに元の自分の家へ戻りました。
男人到了京都,就把新老婆送回了娘家,之后马上回到了自己以前的家。
ところが家についてみると、とても人が住んでいるとは思えないほどのひどい荒れようです。
然而,男人回到家一看,发现家里十分荒凉,不像是有人住的样子。
「これが、わしの家だろうか?」
“这是我的家吗?”
と、男は門の前に立ちすくみました。
男人呆呆的站在门口,这样想着。
「女房の奴、わしを恨んで出て行きおったに違いない。・・・いや、悪いのはわしだ。女房をせめても仕方ない」
“老婆那个家伙,肯定是因为恨我离开了啊,哎、、、做错事的人是我,也不能怪她”
そう思いながらも中に入ってみると、いつもの場所に女房が座っているではありませんか。
男人一边这么想,一边走进房子里面,发现老婆就坐在以前一直坐的位置上。
「お前、待っていてくれたのか!」
“你,是在等我吗!”
男は女房のそばへかけ寄り、しっかりと抱きしめました。
男人跑到了老婆的跟前,紧紧地抱起了她。
「あなた、お帰りなさい」
“亲爱的,你回来啦!”
女房は文句一つ言わず、嬉しそうに男の顔を見ました。
老婆连一句怨言都没有,很高兴地看着男人的脸。
「許してくれ。
“请原谅我,
わしが、悪かった。
是我不好,
わしの女房は、お前だ。
我的老婆是你啊,
もう決して、離すまいぞ」
我已经决定了,再也不离开你了。”
二人は夜のふけるのも忘れて語りあい、明け方になって、やっと寝床に入ったのです。
两个人互相倾诉,整整说了一个晚上,等到天亮了,才回房睡觉了。
久しぶりの我が家に、男は安心してぐっすりと眠りました。
在久违的家中,男人安心地一下子就睡着了。
それから、どのくらいすぎたでしょう。
不知道过了多久,
男が目を覚ました頃には、もう日が差し込んでいました。
男人醒来的时候,太阳已经高高升起了。
「いやあ、よく眠った」
“啊,睡得太舒服了”
と、女房を見て、男は、
这时,男人看到了老婆,
「あっ!」
“啊”
と、驚いて、飛び起きました。
喊了一声,吓得跳了起来。
それもそのはず、何とそこには、骨だけになった女房の死骸が横たわっているのです。
这也难怪,睡在他旁边的是早已变成白骨的老婆的尸骸。
「これは一体、どうした事じゃ!?」
“这到底都是怎么一回事。”
男は寝まきのまま隣の家へ飛び込み、妻の事を尋ねました。
男人就这样穿着睡衣跑到邻居家里,询问自己老婆的事。
すると、隣の家の人が言いました。
这时,邻居家的人说,
「ああ、その人なら去年亡くなられましたよ。
“啊,那个人啊,去年就去世了啊。
何でも、ご主人が新しい奥方を連れて遠い国へ行ってしまったとかで。
好像是因为那个人的丈夫娶了新的老婆去了远方,过度伤心造成的。
それはひどく、悲しんでおられてのう。
そのうち病に倒れられたご様子じゃったが、看病する人ものうて、死んでしまわれたそうな。
看她的样子是在那个时候才病倒了的,连看护的人都没有,就这样死了。“
お葬式をする人とてなく、亡骸もそのままだというので、怖がって近寄る人もありません」
因为没人帮她办葬礼,所以尸骸就这样一直放在那里,太可怕了所以没有人敢靠近那边。
「では、昨日あったのは、女房の幽霊だったのか」
“那么,昨天那个人,是老婆的幽灵吗?”
そう思うと男は急に恐ろしくなり、そのまま逃げ出すと、どこかへ消えてしまいました。
就这样想着,男人一下子变得很害怕,就这样的逃走了,不知道消失在什么地方。
おしまい
結束
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