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9月13日の百物語
(9月13日的日本鬼故事)
雄ジカの目

雄ジカの目
鹿眼

日本語 ・日本語&中国語

むかしむかし、ある山里に一人の侍が母親と召使いの三人で、わびしく暮らしていました。
到好久以前、山村裡面、武士跟他媽還帶條夥計三人一起住到的。

その侍は狩り好きで、毎日の様に弓矢を持って山に出かけては、ウサギやイノシシなどの仕留めた獲物を母親に得意気に見せるのでした。
武士喜歡打獵、每天都提到弓上到山裡面去、幫打到的兔子還有野豬一些帶回去到自己媽面前顯擺。

しかし母親は、狩りばかりしている息子をいましめる様に言います。
但是他媽卻一直教育他

「お前は、生き物を殺し過ぎですよ。
港這些動物什麼的不能殺太多、你已經殺過頭了。

山の動物の命も人の命も、同じ命です。
港人命是命、山裡面的動物也是命、人跟動物有差、但命無差。

命をそまつにすると、いつかむくいを受けますよ」
也是喊他兒要積陰德納冥利、不然遲早要有報應的。

しかし息子は母親の言葉を気にも止めず、また山へと出かけて行くのでした。
但是他兒根本就不信這些、還是天天幫山上。

やがて母親は息子をいさめる気力もなくなり、病の床につく様になってしまいました。
後面媽也是老啦、連港自己兒的力氣都覓得了、害病就癱床上的。

さて、母親が寝ている部屋には古い床の間があって、先祖代々伝わっている掛け軸が一本かかっています。
而他媽房裡放展品的地方、是從屋裡上面好多代傳落來的一卷掛軸吊到的。

これは都にいたご先祖さまが偉いお方から頂いた物で、一頭の雄(おす)ジカが力強い筆で見事に描かれています。
這還是自己先人到城裡面的時候著大人物賞賜的、畫裡面描的正是一頭雄鹿、強勁有力、筆功雄厚。

掛け軸の雄ジカは優しさと怪しさの混じった目でこちらを見つめており、まるで生きたシカの目をはめ込んでいるかの様に見えます。
卷中雄鹿以一種帶到柔和以及怪異的目光看到這邊的、那神情真實到好像就是幫兩顆真的眼珠子鑲嵌到畫裡面去了。

売ればかなりの金額になるので、息子はこの掛け軸を売りたいと思っていますが、母親はこの雄ジカの掛け軸をとても気に入っており、息子がいくら言っても決して手放そうとはしませんでした。
這畫卷賣了話就是一筆大錢、兒就想幫它賣了、但是母親喜歡硬是捨不得、不管兒港甚麼都是不放手。

ある日の事、息子はいつもの様に山へ出かけましたが、その日は山中を駆け巡っても小鳥一匹見つかりません。
有天、兒和往常一樣的往山上去、但是轉了大半圈是連條鳥都覓看到。

「なんと言う日だ。まるで山から生き物が、消えてしまったようだ」
今天這是條甚麼鬼、硬就是像一山的東西都不見完了啊。

日が暮れかけて、辺りが薄暗くなってきました。
這都太陽下山了、邊上也暗了起來。

「仕方ない、今日は帰ると・・・」
看來今天就只好放手了

その時、遠くの方にキラキラと光る物が見えました。
這時遠處一條甚麼發光的東西就著兒發現了。

「暗くてよく見えぬが、あれはシカの目が光っているのか?」
也是港烏漆麻黑卵看不清楚的、但估計肯定就是鹿眼睛發出的光。

息子は矢を弓につがえると、キラキラと光る物目掛けて矢を放ちました。
兒搭弓、對到光點就是一箭過去。

ビューン!
破風聲

「よし、仕留めた! 確かに手ごたえはあった!」
好傢伙!成了。

息子はすぐに確かめたいと思いましたが、もう辺りは真っ暗なので危険です。
就想馬上過去看打得的甚麼條甚麼、但是一片黑也是危險。

「場所は覚えた。また明日にしよう」
就幫地方記到、等明天天亮。

山から帰って来た息子が家に入ると、いきなり召使いの娘が走り寄って来て言いました。
兒先是馬上歸屋、這屋裡夥計看兒回來馬上跑過來。

「大変です! 奥さまが、奥さまがお苦しみです。早くお部屋へ」
港媽人不行了。

「なにっ!」
兒著骸一大跳。

息子が急いで母親の寝ている部屋に行くと、中からただならぬうめき声が聞こえてきます。
往媽的房間去、這就聽到一陣陣人已經不行的呻吟。

「母上! 母上! お気を確かに!」
兒邊跑到邊幫自己媽喊到的。

息子がふすまを開けて部屋に入ると、不思議な事に母親の姿はなく、ただ寝巻きだけが脱ぎ捨ててあります。
推開紙拉門進屋、這就覓看到自己媽、旁邊就一件脫到的睡衣。

「これは、・・・はっ!」
唉、啊!

息子は、ふと床の間の掛け軸を見て、ぶるぶると身震いをしました。
兒一眼剛好看到呈放物品處哪裡的那張掛軸、人就一直到抖。

何と掛け軸の雄ジカの目に、自分が放った矢が突き刺さっているではありませんか。
畫中雄鹿眼睛已經著射穿、而那根弓箭、和自己的一摸一樣。

そして矢の突き刺さった目から、まっ赤な血が吹きこぼれていたのです。
而且從眼睛的傷口處、血還一直到往外面潽(溢)

「母上! 母上! 誰かおらぬか! 誰か!」
看到如此景象、兒這就想馬上喊人來。

息子は家中を夢中で探し回りましたが、母親の姿も、先ほどまでいた召使いの娘の姿も見つける事は出来ませんでした。
屋裡面是亂跑一通、莫港是自己媽了、現在是條原先的那條夥計人都不見了。

その時、息子の脳裏に母親の言葉が思い浮かびました。
兒這時想到媽港的話啦。

命をそまつにすると、いつかむくいを受けると。
不能殺生啦、要有報應的啦。
五濁塵世皆自愛起、生生流轉、互害自害無止息


「・・・これが、これが生き物の命をそまつにした、むくいなのか」
這難道就是報應來了?

侍はただ一人、魂が抜けた様に立ち尽くすばかりでした。
武士這一哈就像條甚麼樣的、失了魂樣的站哪裡的。

おしまい
结束

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