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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 10月の江戸小話 > ゆいごん
10月15日の小話
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ゆいごん
あるところに、とてもへそまがり(→素直じゃないこと)な息子がいました。
その息子の父親が病気になり、もう死ぬという時、父親は息子をまくらもとに呼んで言いました。
「もうすぐわしは、この世からいなくなる。だがわしが死んでも、葬式(そうしき)などはするなよ。死体は、川へ流せばいい」
実はこの父親、へそまがりな息子に普通の葬式をしろと言ったら、必ず普通の葬式をしないと思ったので、わざと反対の事を言ったのです。
(これで息子は、わしが死んだら立派な葬式をしてくれるだろう)
父親がそう思っていると、父親のゆいごんをじっと聞いていた息子は、まじめな顔で言いました。
「安心してください。これまでは親の言う事は何一つきかないへそまがりでしたが、最後ぐらいは言われた通りにしますので、ご安心を」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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