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3月31日の日本民話 2
じゃんじゃん
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むかし、ある森に、こんな言い伝えがありました。
「この森の下には海が広がっていて、森を掘ると塩水が出て来るそうじゃ」
そこで村の若者たちが言い伝えを確かめようと、長い竹筒(たけづつ)を何本も何本もつないで地面に突き刺してみました。
しかし何本つないでみても、水はいっこうに出ません。
「なんじゃ。言い伝えは、うそか」
若者たちがあきらめて帰ろうとすると、そこへ一人の侍(さむらい)がやって来て言いました。
「ここで、相撲をとってみないか?
そうすれば負けた者が尻もちをつくから、その重みで水が出て来るかもしれん。
それから負けた者は、刀を一本づつこの竹筒の中へ投げ込むんだ
井戸の神さまが怒って、水を出すかもしれんからな」
そこで若者たちは、相撲を始めました。
するとさっそく地面から、
ごーーーっ
と、小さな地響きがおこりました。
「よし、次は刀だ」
そして負けた者が刀を竹筒の中へ落すと、竹筒の底の方から、
♪じゃんじゃん
と、何かが鳴り響きました。
「おおっ、井戸の神さまが怒っているぞ」
若者たちはさらに相撲を続けて、それから何本も刀を竹筒の中に投げ込みました。
するとついに竹筒から水が吹き出して、このあたりは一面は池になったそうです。
おしまい
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