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7月22日の日本民話 2
キツネのお礼
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むかしむかし、あるお寺の裏山に何匹かのキツネが住んでいて、お寺から食べ物の残りをもらっていました。
ある日の朝、一匹のキツネがお寺で飼っているニワトリをくわえて逃げるところを、庭の掃除をしていた小僧(こぞう)さんが見つけました。
「こらっ、何をするんだ!」
小僧さんがほうきを振り上げながら追いかけて行くと、キツネはくわえていたニワトリを本堂(ほんどう)の前に置いて逃げてしまいました。
「これ、何事だ?」
そこへ和尚(おしょう)さんが来たので小僧が説明をすると、和尚さんはキツネが逃げて行った裏山に向かって、大声でキツネを叱りつけました。
「おい、キツネども。よくわたしの言う事を聞いておけ!
お前たちは毎日の様に、寺から食べ物をもらっておる。
言ってみれば、寺で飼っておるイヌやニワトリと同じじゃ。
お前たちは寺で飼われている仲間同士だ。
その仲間(なかま)を捕って食おうとするとは、どういうつもりじゃ。
こういう事をするなら、もうこの山には置いておかぬ。
近いうちに山狩りをして、お前たちを一匹残らず追い払うから、そのつもりでおれ!」
それから、二日後の事です。
小僧さんが墓地(ぼち)で、一匹のキツネが死んでいるのを見つけました。
よく見てみると、ニワトリを盗ろうとしたあのキツネでした。
寿命(じゅみょう)が尽きたのか、キツネはやすらかな顔をしていました。
それを聞いた和尚さんは、そのキツネを手厚くほうむってやりました。
すると、その夜の事です。
何匹ものキツネたちが、和尚さんの部屋の前にきちんと横に並んで座ると、これまで耳にした事のない声をあげて、一匹ずつ去って行きました。
それは、悪い事をした仲間でも手厚くほうむってくれた和尚さんのやさしさに、お礼を言ったのだと言われています。
おしまい
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