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12月15日の日本民話 2
狐憑き(きつねつき)
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むかしむかし、市場村(いちばむら)と呼ばれる村に住んでいるおばあさんが病気にかかりました。
家族は医者を呼びましたが、医者には病気が治せません。
困った家族は最後の頼みと、おがみ屋(→まじない師)を呼んできました。
おがみ屋はおばあさんの前に座ると何やらぶつぶつ呪文を唱えていましたが、突然、恐ろしい顔つきになってこう言いました。
「私は茶屋谷(ちゃやだに)の稲荷大明神(いなりだいみょうじん)である。
この婆(ばば)は、しばしば私のお宮を荒らすなど、無礼の限りをつくしていた。
婆の病は、その戒めである。
直ちに悪行を悔い改め、たくさんのお供えものをして私をまつれば、許す事もあろうぞ」
びっくりした家族はさっそくキツネの大好きな油揚げをお供え物としてたくさん用意すると、高熱でうなされているおばあさんを連れて茶屋谷まで稲荷大明神にお参りをしたのです。
するとどこからか、
「コーン!」
と、キツネの鳴き声がして、おばあさんの病気はうその様に治ったという事です。
おしまい
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