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      12月15日の日本民話 
          
          
         
ヤモリと釘 
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       むかしむかし、ある春の日の事、江戸のある家で雨よけの板がくさったので、板を取り替える事にしました。 
 さっそく大工がくさった板をはぎとって見ると、なんとその下に体をくぎに打たれたヤモリがいて、くるくるくるくると回っていたのです。 
「やれやれ。背中から腹まで、くぎを打たれておるわい」 
「これでは回るばかりで、逃げられん」 
 大工たちが騒いでいるところへ、家の主人も出て来て、 
「ははあ。これはきっと五年前、この家をなおしたとき、釘を打たれたものにちがいない」 
と、言いました。 
 すると大工たちは、 
「へーえ、それにしても五年もの長い間、どうして生きておったものかのう」 
と、不思議がりました。 
 そこで大工が調べてみると、近くの壁にヤモリが行き来した道らしい一すじのあとがついていたのです。 
「そうか。この道を通って五年もの間、仲間が食べ物を運んでいたというわけか」 
「なるほど」 
「こんなヤモリでも、情というものはあるんじゃな」 
「ヤモリよ、お前もよい仲間を持ったものだ」 
 みんなは仲間を助けたヤモリたちに感心し、釘に打たれたヤモリを助けてやったという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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