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5月20日の日本民話
  
  
  
  うそつき名人
  岐阜県の民話 → 岐阜県情報
 むかしむかし、源さんという、うそつきの名人がいました。
   ある日、村の田んぼ道を走っているのを見て、村の人たちが言いました。
  「そんなに急いでどこへ行くんだ。それよりも、今日も何かうまいうそをついてくれ」
   でも、源さんは知らん顔です。
  「さすがのうそつき名人も、よほどあわてているとみえて、うそをつくひまもないらしい」
   みんなが大笑いしていると、源さんはこわい顔で、
  「何をのんきなことを! 庄屋(しょうや)さんが死んだというのに、うそなんかついていられるか! これからとなり村へ知らせに行くところだ!」
  と、言って、走っていきました。
  「それはたいへんだ! 庄屋さんがなくなったぞ!」
   村の人たちはビックリして、次々と庄屋さんの家へかけつけました。
   ところが庄屋さんは元気で、楽しそうに庭の手入れをしているではありませんか。
  「しまった。また源さんにやられた。さすがはうそつきの名人だ」
 村の人たちは源さんのみごとなうそに、すっかりかんしんしたという事です。
おしまい