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5月21日の日本民話
  
  
  
  ヒョウのかわのやね
  佐賀県の民話 → 佐賀県情報
 むかしむかし、唐津(からつ→さがけん)の町に、かんねどんとよばれている変わり者がいました。
   ある日の事、かんねどんが近くの村に出かけていくと、りっぱな家をたてているところにぶつかりました。
  「柱も太いし、よい家じゃ」
  「まるで、御殿(ごてん)のようだ」
   村の人たちがあつまって、みんなで家をほめています。
   かんねどんもそう思いましたが、かんねどんはへそまがりだったので、
  「こんな家が御殿ようじゃと? おれの家など、ヒョウのかわで、やねをふいてあるわい」
  と、いばって言いました。
  「へえ、ヒョウのかわでやねがふいてあるとは豪勢(ごうせい)じゃのう。ぜひとも見せてもらいてえ」
  「いいとも、いいとも。ついてくるがいい」
   かんねどんは、村の人たちを家へ連れてきました。
  「これがそうだ。よくみろ」
   かんねどんは、たわらをかぶせただけの、とてもそまつな家を指さして言いました。
  「おいおい、これのどこがヒョウのかわだ」
  「おんぼろだわらではないか。バカにするな!」
   村の人たちがさわぐと、かんねどんがいいました。
  「米のたわらをかぞえるとき、村では一俵、二俵というじゃろが。つまり、俵(たわら)とかいで、ひょうとよむ。そのひょうのかわで、やねがふいてあろうが」
  「・・・・・・」
  「・・・・・・」
 村の人たちは、あっけにとられて何もいえませんでした。
おしまい