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3年生の世界昔話(せかいむかしばなし)

雪の女王

雪の女王
アンデルセン童話(どうわ) → アンデルセン童話(どうわ)のせつめい

♪音声配信(html5)
朗読 : 薮崎あずみ  ★☆愛と自由で世界を回せ☆★

 むかしむかし、悪魔(あくま)がカガミをつくりました。
 美(うつく)しいものは、みにくく、まっすぐなものは、よじれて見えるカガミです。
「よしよし、いいものができたぞ」
 天使(てんし)をからかいたくなった悪魔(あくま)は、このカガミを持(も)って、天へ向(む)かいました。
 ところが途中(とちゅう)で、悪魔(あくま)はカガミを落(お)としてしまったのです。
 カガミはくだけてちらばり、そのかけらの一つが、大きな町に住 す)んでいる、カイという男の子の目に入りました。
 ちょうど、仲(なか)よしのとなりの女の子のゲルダと、屋根(やね)の上で絵本を見ているときでした。
 カガミのかけらが目にささったカイは、ずっと仲(なか)よしだったゲルダを、にらみつけていいます。
「おまえなんか、大きらいだ!」
 カイはそういうと、走っていって、雪の女王に会いました。
「おいで。おまえを待(ま)っていたんだよ」
 女王はカイをそりに乗(の)せると、北の国めがけて走っていきました。
 ゲルダは力イが帰ってくるのを待(ま)ちましたが、いつまで待(ま)っても、カイは戻(もど)ってきません。
「カイちゃんを、さがしにいこう!」
 ゲルダは決心(けっしん)すると、人びとにカイの居場所(いばしょ)をたずねました。
「ああ、カイは雪の女王といっしょにいったよ」
「雪の女王? その人は、どこにいるの?」
「ずっーと北の、世界(せかい)の北の果(は)てさ」
 ゲルダは、雪の女王のいる世界(せかい)の北の果(は)てをめざして、ドンドン歩いていきました。
 そしてようやく、雪の女王のすんでいるお城(しろ)にたどり着(つ)きました。
「カイちゃんは、どこにいるのだろう」
 ゲルダが城(しろ)のまわりをウロウロしていると、一匹(1ぴき)のカラスがやってきていいました。
「その子なら、王女さまと結婚(けっこん)して、王子さまになっているよ。つれていってあげるよ」
 ゲルダがカラスと一緒(いっしょ)に、お城(しろ)に入っていくと、ご殿(てん)の奥(おく)で眠(ねむ)っている王子がいました。
「ああ、カイちゃん」
 ゲルダがよぶと、王子は目をさましました。
 よく似(に)てはいるけれど、目をあけた王子は、カイではありません。
 ゲルダの話を聞いた王子は、馬車(ばしゃ)を用意(ようい)してくれました。
 そして、馬車で進(すす)んでいくゲルダをつかまえたのは、山賊(さんぞく)です。
「金を出せ!」
 山賊(さんぞく)は、ゲルダをしばりあげました。
「放(はな)しておやり」
 ゲルダのロープを切ったのは、山賊(さんぞく)の娘(むすめ)です。
 ゲルダは山賊(さんぞく)の娘(むすめ)に、カイの話をすると、こういいました。
「北の女の家にいってごらん」
 娘(むすめ)はゲルダをトナ力イに乗(の)せて、北の女の家にいきました。
「雪の女王のご殿(てん)には、男の子がひとりいる。でも、その子は、なにもかもを忘(わす)れてしまっているのだ。だからその子が、カイだとしても、あんたがだれかわからないだろうよ。それでもいくのかい?」
 北の家の女の言葉(ことば)に、ゲルダはきっぱりと答えます。
「いきます。大好(だいす)きな力イちゃんに、会いにいくわ」
 カイは、雪の女王のご殿(てん)にいました。
「ぼくはどうしたのだろう。仲(なか)よしの友だちがいたはずなのに、その子の名まえも思い出せない」
 つぶやくカイに、女王がいいました。
「おまえの心は凍(こお)ったのだ。ずっと、雪のご殿(てん)にいるほかないのさ」
 ゲルダは、やっとのことで雪のご殿(てん)に着(つ)いて、カイを見つけました。
「ああ、力イちゃん、とうとう見つけたわ。会いたかった」
 ゲルダは、力イにとびつきます。
「きみは、だれなの?」
 たずねる力イを、ゲルダはゆさぶりました。
「ゲルダよ。力イちゃんの仲(なか)よしのゲルダなのよ」
 ゲルダの目から、涙(なみだ)があふれて、カイのまぶたをぬらします。
 するとその涙(なみだ)が、力イの目から、悪魔(あくま)のカガミのかけらを洗(あら)い落(お)としたのです。
「ああ、ゲルダ。ぼくはここで、なにをしていたんだろう」
 ふたりは手をつないで、雪のご殿(てん)から出ていきました。
「あんたの仲(なか)よしを、見つけたのね」
 ゲルダとカイを乗(の)せたトナカイに、手をふったのは、山賊(さんぞく)の娘(むすめ)です。
「もう二度(にど)と、離(はな)ればなれになってはいけないよ。ゲルダほど、あんたを大切に思っている子はいないんだから」
 娘(むすめ)は、カイにいいました。
「わかった。ぼくはずっと、ゲルダのそばにいる」
 カイとゲルダは、自分たちの家に帰るまで、ずっと手をにぎりしめていました。

おしまい

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