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12月19日の世界の昔話
悪魔の花よめにされた娘
ロシアの昔話 → 国情報
むかしむかし、ロシアのある村に、アコーデオンをひくのがとてもうまい男がいて、村の祭りや婚礼(こんれい)には、なくてはならない存在(そんざい)でした。
この男がアコーデオンをひきはじめると、村人たちはみんなおどりだします。
あるとき、この男が森の中をあるいていると、となり村の顔見知りの男が馬車(ばしゃ→詳細)にのってやってきました。
男はアコーデオンひきの顔をみるなり、うれしそうにさけびます。
「ちょうどいいところでであったわい! ちょっとうちの村へきてくれないか? 婚礼があるんだが、アコーデオンひきがいないんで、おまえをむかえにきたんだ」
男はそういうと、アコーデオンひきを馬車にのせて、自分の村へつれていきました。
婚礼があるという家につくと、もう客たちがあつまっていて、花嫁をまっています。
しばらくして花嫁がとうちゃくし、客たちのまえにつれてこられました。
アコーデオンひきは花よめをひと日みて、おやっ? とおもいました。
「これは、うちの村のアーニャじゃないか! 嫁いりするなんて話はきいてなかったが。それにしても、どうしてあんなに首がかたむいているんだろう」
なんだかへんだとはおもいましたが、じきに婚礼がはじまったので、だまっていました。
そのうち酒もりになり、男がアコーデオンをひきはじめると、いつものようににぎやかな歌とおどりがはじまりました。
たてつづけに何曲かひき、くたびれたのでひと休みすることにしました。
手にあせをかいていたので、すぐよこにぶらさがっていたカーテンで、なにげなく手をふくと、その瞬間(しゅんかん)に目のまえのものがパッときえたのです。
気がつくと、アコーデオンひきは森の中の沼のほとりに、一人ポツンとたっていました。
目のまえには大きな切り株があって、その上に馬フンがいくつもならんでいます。
さっきまでここにテーブルがあって、おいしそうなごちそうがいっぱいならんでいたのですが。
男は目をこすって、もう一度たしかめましたが、やっぱり馬フンでした。
「これは悪魔(あくま→詳細)どものしわざだ! 悪魔がとなり村の人たちにばけていたんだ!」
アコーデオンひきはころげるように、自分の村へにげかえりました。
家にもどると、奥さんがいいました。
「ねえあなた、アーニャって娘のことしってるでしょう? あの子ったらかわいそうに、きょう納屋(なや)で首をつって死んだんだって!」
「・・・!」
奥さんの話をきいて、男はビックリ。
(あの娘は、やっぱりアーニャだったんだ。そして、悪魔の花よめにされたんだ)
むかしは、自分で自分の命をたった人は、墓地(ぼち)には埋葬(まいそう)してもらえず、どこか人目につかないところにすてられたのでした。
そういう人は天国へいけず、悪魔のところへつれていかれます。
そして、本当なら生きられたのこりの年月がおわるまで、悪魔のところではたらかされるのです。
また、アーニャのようにわかい娘なら、悪魔の花よめにされるんだそうです。
おしまい