福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 >偽物の汽車

1月25日の日本の昔話

にせものの汽車

偽物の汽車

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「ちょこもち」  ちょこもち

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供もぐっすり眠れる睡眠朗読】心ふんわり軽くなる日本昔ばなし特集 元NHKフリーアナ

♪音声配信(html5)
音声 ぬけさくのいちねん草紙

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかし、ある田舎の村に、汽車が通る事になりました。
 ある晩の事、汽車を走らせている運転手の耳に、近づいてくる汽車の音が聞こえてきました。
 シュッポ、シュッポ。
「おや? 前から汽車が? そんなはずは?」
 運転手は、ふと前を見てびっくりです。
 なんと前から、別の汽車が走ってくるのです。
「あっ、あぶない!」
 運転手は慌てて急ブレーキをかけると、急いで汽車を飛び出しました。
 すると不思議な事に、正面から近づいていた相手の汽車が影も形もないのです。
「そっ、そんな馬鹿な」
 しかしこんな事が、それから何度もあったのです。

 そして今晩も不思議な汽車が現れて、走っている汽車に近づいてきました。
 何度も何度も同じ目に会っている運転手は、汽車のブレーキをかけるどころか、反対にスピードをどんどんあげました。
「よし、今夜はだまされないぞ! 幽霊か何だか知らないが、覚悟しろ!」
 シュッポ、シュッポ。
 シュッポ、シュッポ。
 ドカーン!
 二台の汽車は大きな音を立ててぶつかりましたが、そのとたん、不思議な汽車はパッと消えてしまいました。

 さて、その晩遅くに、薬屋の戸を叩く者がありました。
「こんな時間に、誰だろう?」
 店の主人が出てみると、外にいたのはお寺の小僧さんです。
和尚(おしょう)さんがやけどしました。やけどの薬をわけてください」
「それはお気の毒に。それではこれをどうぞ」
「ありがとう」
 小僧さんは薬を受け取ると、走って帰って行きました。

 次の日、薬屋の主人は、和尚さんをおみまいに行きました。
 すると和尚さんは、元気でピンピンしています。
「あの、和尚さま。やけどをされたのでは?」
 薬屋の主人から昨日の話を聞いた和尚さんは、不思議な顔をしました。
「はて。わしはやけどをしておらんぞ。それにわしは一人暮らしで、寺には小僧は一人もおらん。おるのは、裏のやぶに住んでいるタヌキぐらいのものだ。・・・うん、もしや」
 和尚さんは裏のやぶに行くと、タヌキの巣穴をのぞき込みました。
 すると頭にやけどをしたタヌキが、やけどの薬をせっせと塗り込んでいたのです。
「こりゃタヌキ。これは一体、どういう訳だ?」
 和尚さんが尋ねると、タヌキは訳を話しました。
「実は、わたしの家のすぐそばを汽車が通る様になってから、うるさくて昼寝も出来ません。それで汽車に化けて汽車をおどかしていたのですが、ゆうべは突っ込んで来た汽車に頭をぶつけて、ごらんのありさまです」
「そうか。うわさのお化け汽車は、お前だったのか。だが、いつまでもこんな事をしていては、そのうち命を落とすぞ。寺の静かなところにお前の小屋を作ってやるから、そこに引っ越すがいい」
 こうして静かな小屋に引っ越したタヌキは、二度と汽車に化ける事はなかったそうです。

おしまい

前のページへ戻る

     1月25日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
中華まんの日
きょうの誕生花
プリムラ(Primula)
きょうの誕生日・出来事
1938年 松本零士(漫画家)
恋の誕生日占い
外に出るのが大好きな、活発な
なぞなぞ小学校
1人が高くなれば、1人が低くなる物は?
あこがれの職業紹介
クリーニング師
恋の魔法とおまじない 025
友だちを増やすおまじない
  1月25日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
偽物の汽車
きょうの世界昔話
死んだ人たちの集会
きょうの日本民話
落ちたカミナリさま
きょうのイソップ童話
アシとオリーブの木
きょうの江戸小話
叩かれても安心
きょうの百物語
血染めの足型

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ