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3月26日の日本の昔話

八匹のウシ

八匹のウシ

日本語&客家語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も眠れる癒しの睡眠朗読】日本昔話特集⑦ 元NHKフリーアナ(絵本読み聞かせ)

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制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
蜂の折り紙はち   牛の折り紙うし

 むかしむかし、金持ちの旦那の家に、村一番のとんち男が駆け込んで来ました。
「旦那。とても珍しい物があったので、お知らせに来ました」
「珍しい物とは、何だね」
「それが、たのきのまたに、ハチが巣(す)を作っているのですよ」
「何じゃと!」
 この地方ではタヌキの事を、たのきと呼んでいます。
「タヌキの股にハチが巣を作るなんて、いくら何でもそんなバカな」
「本当ですよ。本当に、たのきのまたに、ハチが巣を作っているのですよ」
「そうは言っても、とても信じられん」
「うそではありません。もし本当だったら、どうしますね?」
「そうだな。わしが持っている八匹のウシを全部やろう」
「よしきた。では、ご案内します」
 とんち男は旦那を、近くの田んぼに連れて行きました。
 すると田んぼの中にある木の股に、ハチがせっせと巣を作っているのです。
「ほれ、ご覧の通り、田の木の股にハチが巣を作っているでしょう。さあ、約束通り八匹のウシを頂きます」
「しまった。だまされた」

 男にウシを後で渡すと約束した旦那が、とぼとぼ家に帰るとおかみさんが尋ねました。
「あれ、あんた。そんなにがっかりしてどうしたの?」
「それがな・・・」
 旦那から訳を聞いたおかみさんは、ニッコリ笑って旦那に言いました。
「それなら何も、八匹全部やる事はありませんよ。一匹で充分です」
「しかし、八匹と約束してしまったから」
「まあ、わたしに任せておきなさいよ」
 おかみさんはそう言うと一匹のハチを捕まえて来て、そのハチを一番やせたウシの尻尾に結びつけました。
 そこへとんち男が八匹のウシをもらいに来ると、おかみさんはウシのお尻を指差して言いました。
「はい、約束の、はちひきのウシです」
 それを聞いたとんち男は、思わず手を叩いて言いました。
「なるほど、確かにハチ引き(八匹=ハチ引き)のウシだ。こいつはやられたな」 
 とんち男はおかみさんのとんちに感心して、ハチを尻尾に付けたやせウシを連れて帰りました。

おしまい

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