|
|
福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話 >百七十歳の九尾キツネ
3月31日の日本の昔話
百七十歳の九尾キツネ
埼玉県の民話 → 埼玉県情報
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も眠れる癒しの睡眠朗読】日本昔話特集⑦ 元NHKフリーアナ(絵本読み聞かせ)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「眠りのねこカフェ」
日本語&客家語
むかしむかし、あるお寺の小僧さんにキツネが取りついて、突然こんな事を口走りました。
「我は、この寺の境内に住んでおるキツネじゃ。
この間、旅に出てある村の庭先にいたニワトリを取って食ったところ、村人たちに追われてひどい目にあった。
何とかここまで戻ってきたが、今年で百七十歳になるため、もう体が言う事をきかぬ。
どうか我を神としてまつって、毎日供え物をしてくれぬか」
その話を聞いて、和尚さんは怒り出しました。
「百何十年も前から、この寺の境内に住み着いていると言うが、わしは今までお前の事など聞いた事がない。
大体、年老いて食べるのに困ったから、毎日食べ物を供えてくれとは、何たるものぐさじゃ。
すぐに小僧の体から離れて、どこかへ立ち去れ!
さもなくば、お前をたたき出してやるぞ!」
和尚さんは鉄の棒を持ち出してきて、すごいけんまくです。
ところがキツネの方は、落ちつきはらって言いました。
「うそではない。
百年以上も前に、我を見たという話を聞いた者が必ずいるはずじゃ。
証拠を見せてやるから、年寄りを集めてみよ」
そこで和尚さんは庄屋をはじめ、村のお年寄りたちをお寺の境内に呼びました。
そしてキツネの言う証拠を、見せてもらうことにしたのです。
「我を神としてあがめ、供え物をしてくれれば、これからのち、火災、干ばつ、病気などの心配はいらぬぞ。
それでは、証拠を見せてやろう」
キツネはそう言うと小僧さんの体から離れて、九本の尻尾のある正体を見せたのです。
するとお年寄りの間から、驚きの声が上がりました。
「おおっ! これは九尾ギツネじゃ。子どもの頃に聞いた事がある」
そのむかし、村にはこの九本の尻尾を持つ九尾ギツネが住んでいたのです。
そこで和尚さんと庄屋さんたち相談をして、お寺の門前にある小山の南側に小さな祠をつくって、この九尾ギツネを神としてあがめる事にしたそうです。
おしまい
|
|
|