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5月2日の日本の昔話
雷さまとクワの木
雷公摎桑樹
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、お母さんとニ人暮らしの男の子がいました。
頭擺頭擺,有一個哀仔摎倈仔兩儕共下生活。
ある日、お母さんが男の子に言いました。
有一日,阿姆摎倈仔講:
「畑にナスを植えるから、町へ行ってナスのなえを買って来て」
「因為𠊎愛在園肚種茄仔,所以你去街路買茄秧。」
「はーい」
「好。」
男の子は町へ行くと、一番値段の高いなえを一本だけ買って来ました。
倈仔去到街路時節,佢斯買一頭最貴个茄秧。
それを見て、お母さんはがっかりです。
厥姆看著,非常失望。
「お前は何で、もっと安いなえをいっぱい買って来なかったの?一本しかなかったら、育てても大した数にならないのに」
「你仰會毋買多兜較便宜个秧?若係一頭定定,仰般種乜毋會打幾多。」
「うーん、そうだったのか」
「m11,係恁樣嘎?」
でも男の子は、心の中でこう思いました。
毋過,倈仔心肝肚想:
(一本きりでも、この値段の高いなえなら、きっとたくさん実がつくはず)
(準講斯有一頭,這頭最貴个茄秧,定著會打當多茄仔。)
確かにその通りで、ナスのなえは植えたとたんにグングンと伸びていったのです。
無毋著,確實係恁樣,茄仔秧種落去斯gung11 gung11滾大。
「どうだい。やっぱり値段の高いなえは違うだろう?わあ!話している間にも、雲を突き抜けたぞ」
「仰般,總講較貴个茄秧還係無共樣係無?哇!講阿講仔,黏時穿過雲層囉。」
ナスのくきは、雲を突き抜けても成長をやめません。
茄仔樹莖穿過雲還無停。
やがてナスは薄紫の花を咲かせると、それはそれは見事な実をいっぱい実らせたのです。
無幾久,茄仔開淺茄色个花後,斯打當多當靚个茄仔。
次の日の朝、男の子は家からはしごを持ち出しました。
第二日朝晨,倈仔對屋肚擎梯仔出來。
それを見つけてお母さんが、あわてて言います。
厥姆發現後,慌慌張張講:
「こら、どこへ行くつもりだ?ナスを登るつもりなら、危ないからやめなさい」
「噯,你愛去哪位?若係你愛去蹶茄仔樹,該就當危險哦,毋好去。」
「危なくないさ。じゃあ、ちょっくら行ってくる」
「這並毋會危險。好啦,試一下看。」
「だめ!やめなさい!落ちたらどうするの?お父さんも、屋根から落ちて死んだのだから」
「做毋得!停下來!若係跌下來仰結煞?若爸也從屋頂跢下來死忒。」
「大丈夫、大丈夫」
「無問題,無問題。」
男の子はそのまま、ナスの木を登っていきました。
倈仔斯恁樣蹶上茄子樹。
さて、男の子がナスの木を登って雲の上に出ると、そこには立派なお屋敷がありました。
倈仔蹶上茄子樹,走出了雲頂背,該位有一棟當靚个大座屋。
男の子がお屋敷の扉を開けてみると、中にはナスを持ったおじいさんがいました。
倈仔打開大座屋个門來看時節,裡背有一個拿等茄仔个老阿公。
「あっ!それは、おらのナスじゃないか?!」
「啊!該毋係𠊎兜个茄仔嘎?!」
男の子が叫ぶと、おじいさんが言いました。
倈仔大聲噦時節,老阿公講:
「ほう、このナスは、お前さんが植えたナスだったか。おかげで毎日、おいしくいただいていますよ」
「ho11,這茄仔你種个。好得你,逐日都有當好食吃个茄仔哦。」
おじいさんは男の子に礼を言うと、男の子をお屋敷の中に連れて行きました。
老阿公承蒙倈仔,摎佢渡落大座屋。
中には二人のきれいな娘がいて、男の子を一晩中、歌や踊りでもてなしてくれました。
裡背有兩個當靚个細妹仔,佢兩儕為著倈仔,歸暗晡在該唱歌跳舞。
「あれ?みんな、どこへ行ったのかな?」
「唉哦?大家都去哪位了?」
男の子がつぶやくと、ふすまの向こうからおじいさんの声がしました。
倈仔噥噥噥噥个時節,老阿公个聲在紙門隔壁傳過來。
「起きたか。わしらは仕事に行ってくるから、留守番をしといてくれ」
「䟘床了係無。𠊎兜愛去做事,所以你愛掌屋。」
「仕事?雲の上にも、仕事があるのか?」
「做事?雲頂有事愛做嘎?」
「もちろん。これで結構、忙しいのさ」
「當然,毋多講了,當無閒。」
次の朝、男の子が目を覚ますと誰もいません。
第二日朝晨,倈仔醒个時節,無半儕人。
「なら手伝うから、おいらも連れて行ってくれ」
「該𠊎愛摎你𢯭手,所以渡𠊎共下去。」
男のはそう言いながら、ふすまを開けました。
倈仔一頭講一頭打開紙門。
そしておじいさんの姿を見てびっくり。
一看著老阿公嗄著驚一下。
「うわっ!鬼だ、鬼だぁ!」
「哇!鬼,鬼哦!」
何とおじいさんは、頭に二本の角が生えた鬼だったのです。
仰會老阿公係頭那頂生兩支角个鬼。
その横には、二人の鬼の娘も立っています。
脣頭企兩個鬼妹仔。
怖くなった男の子は、真っ青な顔で言いました。
嚇著个倈仔面仔青里里講:
「おいらの肉はまずいぞ。だから食わないでくれ!」
「𠊎个肉當難食,所以毋好食𠊎!」
それを聞いた鬼のおじいさんは、大笑いです。
聽著該个鬼老阿公大笑。
「ワッハハハハ。わしたちは、人間を食べる悪い鬼でねえ。わしらは雨を降らす鬼なんじゃ。ほれ、こんな具合にな」
「哇哈哈哈。𠊎兜毋係食人个鬼。𠊎兜管落水个鬼,斯像恁樣。」
そう言って鬼がたいこを鳴らすと、娘たちがひしゃくで雨を降らせました。
講煞,鬼就大力打大鼓,佢兩個鬼妹仔用杓仔舀水潑下去。
「わかった、おじいさんは、かみなりさまだったのか」
「𠊎知了,老阿公你係雷公係無?」
「そうじゃ、かみなりさまだ。だからこれから、雨を降らせに行くんじゃ」
「係哪,係雷公,𠊎這下愛去落水。」
それを聞いて安心した男の子は、鬼に言いました。
聽到該恁樣講就安心个倈仔,摎鬼講。
「それなら、おいらも一緒に行く」
「恁樣形,𠊎乜摎你共下去。」
「よし、それならこの雲に乗りなさい」
「好啦,該你就騎這雲。」
鬼は足下の雲を大きくちぎると、二人の娘と一緒に男の子を乗せました。
鬼摎腳下背个烏雲舞開析,渡等兩個妹仔摎一個細倈仔騎這雲共下去。
みんなを乗せた雲はすーっと動くと、今から雨を降らせる場所まで移動しました。
大家騎个雲『sud』聲斯飛走了,飛到這愛分佢落水个位所。
雲の端から下をのぞいて、男の子が言いました。
倈仔在雲頂看往下,講:
「あっ、ここはおいらの村だ!」
「啊,這位係𠊎該村莊!」
鬼は立ち上がって、たいこを鳴らしました。
鬼企起來開始打大鼓。
娘の一人が、かがみで光を地上へてらしました。
其中一個妹仔用鏡仔摎光線照到地泥下。
このたいこの音とかがみの光が地上へ届いて、いなびかりとなりました。
大鼓聲摎鏡仔照个光線傳到地泥下,變響雷公摎𥍉爧。
もう一人の娘がひしゃくの水をまくと、それが地上へ届いて大雨となりました。
另外一個妹仔用杓仔舀水,潑到地泥下去,變落大水。
ちょうどその日は、村の夏祭りでした。
堵堵該日,係村莊个夏祭該日。
突然のいなびかりと大雨に、集まっていた村人たちはびっくりです。
忽然間𥍉爧,續等落大水,村民嗄著驚。
「うわあ!夕立だあっ」
「哇!風時水!」
それを雲の上から見ていた男の子は、逃げる村人たちの様子が楽しくてたまりません。
在雲頂看个倈仔,看著這兜村民走到尾瀉屎个樣相,暢到會死。
「ねえ、娘さん、おいらにも、雨のひしゃくを貸してくれ」
「ne53,細阿妹仔,舀水个杓仔借𠊎一下。」
男の子はひしゃくを借りると、面白がって雲の上から雨を降らせました。
這個倈仔借到舀水个杓仔,當歡喜,對雲頂舀水潑下去。
おかげで村は、滝の様な大雨です。
打幫佢,村莊正有像水沖樣恁大个水。
「それっ、それっ。逃げろ逃げろ、早く逃げないと、もっと降らせるぞ」
「就係恁樣、就係恁樣。走哦,走哦,若係你毋遽走,水會落還較多。」
男の子は調子に乗って、何度も何度もひしゃくの水をまきました。
這個倈仔就放勢,一杓又一杓舀水潑下去。
そしてその時、男の子は足を滑らせて、雲の上から落ちてしまったのです。
過後,倈仔打蕩溜從雲層頂溜下去。
「うわっ、助けてくれ!まだ死にたくないようー!」
「阿姆哀,救𠊎!𠊎毋想死!」
男の子は雨の中を落ちていき、下にあったクワ畑の中へ飛び込みました。
這個倈仔在雨中跌下來,跳落下背个桑園肚。
ドッシーーン!
dod shin~!
しかし何と、男の子は運良くクワの木に引っかかって、命だけは助かったのです。
毋過,這個倈仔真好運,卡在桑樹頂,救佢一條命。
これを見て、かみなりさまが言いました。
看著這個情形,雷公講:
「ああ、せっかく、わしの後をつがせようと思ったのに。地面に落ちてしまっては仕方がない」
「啊,𠊎本旦想愛分你繼承,但係跌落地泥下𠊎就無法度了。」
でも、もっと残念がっていたのは、二人の娘たちでした。
無過,最失望个係𠊎兩個妹仔。
二人とも、男の子のお嫁さんになりたいと思っていたからです。
因為兩儕都想愛做倈仔个餔娘。
それからというもの、クワの木のそばには、決してかみなりは落ちないと言われています。
從該量時開始,聽講桑樹脣定著毋會著雷打。
なぜかと言うと、男の子を助けてくれたクワの木へ、かみなりさまが感謝しているからです。
仰恁樣呢,原因係雷公承蒙桑樹救著倈仔。
だから今でも、クワの枝を家の軒下へぶら下げて、かみなりよけにしている家があるそうです。
所以,雖然講係這下,還係有兜人在屋簷下掛等桑樹枝來避雷。
註:カミナリさまとは、雲の上に住む雷神のことで、虎の皮のふんどしをしめて、太鼓を打ちならして雷をおこすといわれています。
註:雷公係生活在雲頂个雷神,聽講纏等虎皮做个纏腰布,打大鼓、響雷公。
昔から、「地震、カミナリ、火事、おやじ」と言われるほど、人々から恐れられる存在でした。
從遠古時代開始,講著『地動,響雷公,火災摎爺仔』人就當驚。
また、人間のおへそをとるといわれていますが、それは、雷のなる天気の時は、気温が急激に下がるため、おなかを出して寝ていると、おなかを冷やして、おなかをこわしてしまうことからきています。
另外,聽講雷公會偷人个肚臍,該係因為在響雷公个天時,氣溫會降低當多,所以愛人注意,睡目个時節若係肚屎現出來,會冷著,肚屎會搣壞忒。
おしまい
煞咧
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