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5月4日の日本の昔話
海の上と、畳の上
海上抑係榻榻米頂
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
きっちょむさんの村に、直吉(なおきち)という、親のいない子どもがいました。
在吉四六先生村莊,有一個安到直吉(Naokichi)个人,無爺哀也無子女。
お母さんは病気でなくなり、お父さんも捕鯨船のもり打ちでしたが、あるとき嵐にあって、船と一緒に海の底に消えてしまったのです。
哀仔發病仔死忒了,爺仔在捕鯨船頂鏢魚仔,毋過一擺堵著暴風雨,佢嗄摎船仔共下沉落海底。
それで直吉は小さいときから、生まれた海岸の村を離れて、きっちょむさんの村のおじさんの家に引き取られていたのでした。
所以直吉細細个時節就離開佢出世个海脣村莊,分人渡去戴在吉四六村莊个阿叔屋下。
ですが直吉は、一日として海の事を忘れた事がなく、
但係,直吉從來毋識毋記得大海。
(おれも捕鯨船に乗って、お父さんの様な、立派なもり打ちになるんだ!)
と、いつも考えていました。
(𠊎乜愛在捕鯨船頂,就像阿爸樣,做一個優秀个鏢魚手!)
𠊎一直恁樣認為。
そして、十一になった時、おじさんに自分の決心を話して、生まれた海岸の村へ帰ることになったのです。
等佢十一歲个時節,摎吾叔講出𠊎个決定,然後轉到出世个海脣村莊。
これを聞いた村人たちは、みんなせんべつを持って、直吉へ別れにやってきました。
所有聽著這事情个村民,都帶等送別个禮物,來摎直吉拜別。
「直吉、偉いぞ。それでこそ、お父さんの子だ」
「直吉、當會哦。就係恁仰,正係若爸个倈仔。」
「どうか、立派なもり打ちになってくれ」
「仰般,定著愛做一個優秀个鏢魚手。」
村人たちが口々にはげます中、三平と言う若者が直吉にこう言ったのです。
當村民七個和尚八樣腔時節,一個安到三平个後生人摎直吉講:
「おい直吉、みんなはやたらと無責任にほめているが、捕鯨船に乗ってもり打ちをするなんて、あまり感心な事ではないぞ」
「噯,直吉,逐個人都儘採、無負責任个稱讚,但係坐等捕鯨船去鏢魚仔,並毋係盡分人欽服个事哦。」
すると直吉はびっくりして、三平に聞きました。
然後直吉著下驚問三平。
「三平さん。それはまた、どういうわけだ?」
「三平先生,這又係麼个原因?」
「聞けば、お前のお父さんは海で死んだそうじゃないか。つまり、親の死んだ不吉な海で働くなんて、縁起でもないと思ったのさ」
「𠊎聽講若爸死在海上毋係嘎?所以𠊎認為在爺仔過身个危險个海上工作毋係盡吉利。」
「・・・・・・」
「......」
この言葉に、さっきまで喜んでいた村人は、しーんと静まりかえりました。
對這兜話,頭下感覺歡喜个村民,恬靜下來了。
そして直吉は、突然に嫌な事を言われて、泣き出しそうな顔をしています。
直吉忽然間,聽人講該得人惱个事情,一張面臉像形愛噭出來樣。
すると、この話を後ろの方から聞いていたきっちょむさんが、前に進み出て三平に尋ねました。
在後背聽著這隻故事个吉四六先生行到頭前來,問三平:
「三平、ちょっと聞くが、お前のお父さんはどこで亡くなったんだい?」
「三平,請問你一點,若爸死在哪位?」
「直吉のお父さんとは違って、ありがたい事に、ちゃんと自分の家のたたみの上で亡くなったさ」
「摎直吉个厥爸無共樣,謝天謝地,佢死在自家屋下榻榻米頂。」
「ふーん。それで、おじいさんは?」
「m11。該若公呢?」
「おじいさんだって、同じ事さ。直吉のお父さんのように、海で死んではいないさ」
「吾公又乜共樣。佢無像直吉个阿爸恁樣死在海町。」
それを聞いて、きっちょむさんはニッコリほほえみました。
聽著該,吉四六先生笑咪咪講︰
「それでは、三平。直吉が海へ行くのを、お前が反対するのはおかしいぞ」
「所以,三平。你反對直吉出海个理由還奇怪。」
「なんだって?」
「仰會恁樣呢?」
「だって、そうだろう。親が亡くなったところが不吉といえば、お前の家は、お父さんばかりか、おじいさんも亡くなったんだろ?」
「就算係恁樣,若係講爺哀死忒个位所係不祥之地,該若屋下,毋單淨係若爸,還有若公死在該咩?」
「それは、・・・そうだが」
「該...係哦。」
さすがの三平も、返事に困ってしまいました。
連三平也盡難回答。
すると、そばにいた庄屋さんが直吉の肩を叩いて言いました。
過後,在佢身旁个莊長也拍直吉个肩頭,講:
「直吉、立派なもり打ちになってくれよ」
「直吉,請定著愛做一個優秀个鏢魚手。」
「うん。がんばるよ!」
「好,𠊎會煞猛打拚!」
こうして直吉はみんなに見送られて、元気よく村を出て行きました。
因為恁樣,直吉在大家歡送之下,盡有精神个離開村莊。
おしまい
煞咧
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